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在留資格「特定活動」は50以上の種類がある在留資格です。種類によってできる業務が異なるため、雇用時には指定書を確認して、自社で雇っても問題ないか確かめなくてはなりません。
このコラムでは、在留資格「特定活動」の指定書の見方を詳しく解説。また、あわせて確認する必要のある「資格外活動許可」についてもまとめています。内容を参考にして「特定活動」の在留資格を持つ外国人を適切に雇用しましょう。
目次
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「特定活動」は許可されている活動が多岐にわたるため、概要を理解するのが難しい在留資格といえるでしょう。ここでは、「特定活動」とはどのような在留資格なのかを解説します。
特定活動は、多様化する外国人の活動に対応するためにできた在留資格です。日本は国際化が進み、来日する外国人もどんどん増加しています。それに伴って、既存の在留資格に当てはまらない「その他」の活動を日本で希望する外国人が増えてきました。しかし、在留資格の新設には法改正が必要で、すべての活動ごとに新しく在留資格を作っていてはキリがありません。解決策として、日本政府は「特定活動」という在留資格を創設し、そのなかで既存の在留資格に当てはまらない各活動を個別に許可するようにしました。
特定活動の在留資格ができたことにより、さらに多くの外国人を日本に受け入れやすくなったといえるでしょう。
在留資格「特定活動」で許可される活動は「出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動」「告示特定活動」「告示外特定活動」の3つに分類されます。
「出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動」は、入管法で規定されている活動を指します。たとえば、日本の施設で研究活動を行う際は「特定研究活動」、自然科学や人文科学の分野で情報処理に係る業務をする場合は「特定情報処理活動」です。また、上記の活動をする外国人の配偶者や子どもに付与される「家族滞在活動」も、入管法で規定されている特定活動に当たります。
告示特定活動は、ある程度申請者が多いことを理由に法務大臣があらかじめ告示している活動のことです。定期的に許可される活動が増えたり削除されたりします。
代表的な種類は、海外の外国人学生が日本企業でインターンシップを行う際に付与される「特定活動9号」やワーキングホリデーのための「特定活動5号」などです。許可されている活動は、制限なく業務ができる種類からできる仕事が限られている種類、就労が許可されていない種類と多岐にわたります。
告知特定活動で告示されている活動に当てはまらない、法務大臣が個々の外国人に認める活動を告示外特定活動といいます。人道的に必要と判断されたときに許可されるケースが多いようです。告示外特定活動は初めて在留資格を取得する外国人には許可されず、海外からの申請もできません。すでにほかの在留資格で日本に在留している外国人が「在留資格変更許可申請」をすることで取得できます。
許可される活動の例は、大学などを卒業後も継続して行う就職活動や在留資格が失効したあとの出国準備などです。
関連記事:「就労ビザ(在留資格)は難しくない!全19種類のうち外国人採用に関わるビザはどれ?」
ここでは、在留資格「特定活動」のなかで特に取得者の多い種類について、掘り下げて解説します。
本邦大学卒業者に付与される特定活動は、一般的に「特定活動46号」と呼ばれています。日本の大学もしくは大学院を卒業したうえで、「日本語能力試験のN1に合格」または「BJTビジネス日本語能力テストで480点以上取得」という、高い日本語能力を持つ外国人に付与される在留資格です。
特定活動46号の在留資格を取得すると、ほかの在留資格では許可されていない工場勤務やタクシードライバーの仕事もできます。ただし、日本の大学などで身に付けた高度な日本語能力を活かす業務内容を含まなくてはなりません。たとえば、工場の場合はほかの外国人への指導業務、タクシードライバーであれば通訳をかねた観光案内などです。
海外の大学に在学中の外国人が日本で報酬を受け取るインターンシップを行う際は、特定活動の在留資格が付与されます。ただし、1年を超えない期間かつ、大学の修業年限の2分の1を超えない期間のインターンシップでなくてはなりません。
報酬の有無や滞在期間によっては、ほかの在留資格の申請が必要です。報酬がない90日以上のインターンシップは「文化活動」、報酬がなく90日以下の場合は「短期滞在」の在留資格を申請します。
ワーキングホリデーで来日する外国人にも、特定活動の在留資格が付与されます。ワーキングホリデーとは、滞在費を現地で働きながら確保しつつ休暇を過ごす活動のことです。国際交流が目的の制度で、日本と二国間協定を結んでいる国の18~30歳の外国人が対象とされています。特定活動の在留資格でワーキングホリデーをできるのは、最長で1年間です。在留期間は短いものの、職種の制限がないうえ正社員としての雇用もできます。
就職が卒業までに決まらなかった外国人留学生は、在留資格「特定活動」を取得すれば継続して日本で就職活動を行えます。期限は取得後6ヶ月ですが、延長すれば最長で1年間引き続き在留可能です。
外国人の親が高齢かつ母国に身よりが全くない場合、特定活動の在留資格を取得すれば日本に呼び寄せられる可能性があります。ただし、人道的に特別な配慮が必要と判断された場合に限られており、取得するのは非常に難しいです。
在留資格の変更や更新申請が不許可になると、帰国の準備が整うまでに在留期限を迎えてしまうケースがあります。そのままだと不法滞在の状態になり、さまざまな罰則を受けなくてはなりません。また、今すぐ帰国しろといわれてもなかなか難しいでしょう。しかし、特定活動の在留資格を申請して許可されると、30日前後の期間、在留可能となります。その間に出国準備を進められるよう配慮されています。
この項目で紹介した特定活動46号は「在留資格「特定活動46号」とは?就ける仕事や雇用するメリットを解説!」のコラムで詳しく解説しているので、参考にご覧ください。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」」
特定活動の指定書とは、外国人にどのような活動が許可されているかが具体的に書かれた書類のことです。在留資格「特定活動」の許可が下りたら、在留カードとともに交付されます。
指定書には、特定活動のうちどの活動が許可されているのかが記載されています。特定活動の在留資格で許可されている活動は多岐にわたりますが、在留カードの在留資格の欄には「特定活動」としか記載されていません。しかし、指定書を見れば詳しい活動内容が分かるようになっています。
特定活動の指定書は在留資格の申請が許可され、入管で在留カードを受け取る際に一緒に渡されます。在留カードのようなICカードではなく、通常は、A5の紙タイプの書類です。
特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際は、雇用契約を締結する前に必ず指定書を確認しましょう。ここでは、指定書のある場所や確認方法を解説します。
特定活動の指定書は、外国人のパスポートの内ページにホチキスで留められています。在留資格について確認する際は、在留カードと一緒にパスポートも持参するよう外国人に伝えましょう。
採用選考時に特定活動の指定書を見る際は、まず在留カードから確認するようにしましょう。在留カードの表面の在留資格欄に「特定活動」、就労制限の有無欄に「特定活動指定書により指定され た就労活動のみ可」もしくは「在留資格に基づく就労活動のみ可」とあれば、就労できる可能性があります。
在留カードの確認をしたら、特定活動の指定書と照らし合わせてみましょう。まず、氏名と国籍・地域欄に書いてある内容が在留カードの記載内容と相違ないかを確認してください。そのあと、大枠のなかに書かれている活動内容が自社で行う業務と合っているかをチェックします。もし相違がなければ雇用が可能です。
関連記事:「ホテル業界で外国人を雇用するには?在留資格ごとの業務や注意点」「ホテル・旅館で就労可能なビザとは?知識を身につけて外国人雇用を始めよう」
特定活動の指定書に書かれている内容は、許可されている活動によって異なります。ここでは、指定書に書かれている文章の例を紹介するので、見方の参考にしてください。
【継続就職活動の場合】
就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
【出国準備の場合】
本邦から出国する準備のための活動および日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)
【高度人材の場合】
次の機関との契約に基づいて行う自然科学若しくは人文化学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務に従事する活動、又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
機関名 ▲▲株式会社
特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際に、指定書の確認を怠ると「不法就労助長罪」に問われるリスクが高まります。
在留資格「特定活動」は、種類によって就労の可否が異なります。就労が許可されていても、業務内容に制限がある場合も少なくありません。しかし、どのような業務が許可されているかは、指定書を見ないと分からないのです。
もし、本来許可されている活動外の業務を行わせたら、雇用主は不法就労助長罪に問われます。罰則の内容は3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方です。企業にとって大きな損失になるので、特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際は、必ず指定書を確認しましょう。
万が一外国人が特定活動の指定書を持っていなかった場合、就労資格証明書を発行してもらうように伝えましょう。就労資格証明書は、外国人ができる活動を法務大臣が証明する文書です。指定書がなくても、就労資格証明書を見れば雇用の可否を判断できます。就労資格証明書は、外国人の住居地を管轄する出入国在留管理官署の窓口のほか、オンラインでも申請可能です。基本的には当日に発行できるので、雇用契約を結ぶ前に本人に申請をしてもらい雇用の可否を確認しましょう。
参照元 出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請」
「特定活動」は、ほかの在留資格より申請が複雑で、審査に時間が掛かる場合があります。雇用のタイミングで在留資格「特定活動」を取得する外国人がいる場合は、それらを踏まえておきましょう。
「特定活動」はほかの在留資格よりも申請が複雑になりがちです。ほかの在留資格は行う活動がはっきり決まっているので、提出する書類や必要な手続きはある程度明確になっています。しかし、在留資格「特定活動」は種類によって行う活動が全く違うので、許可が取れるかが分かりにくいのです。場合によっては不許可になったり、書類を提出しなおしたりする可能性もあるでしょう。
在留資格「特定活動」は審査に時間が掛かる場合があります。標準処理期間で見ると1ヶ月半程度と、ほかの在留資格とさほど変わりません。しかし、種類によって審査に掛かる時間は変わります。また、一度不許可になったら再度書類を用意し、申請しなおさなければなりません。以上のことも踏まえて、外国人の入社までのスケジュールには余裕を持っておきましょう。
関連記事:「【2024年6月最新】特定技能とは?制度や採用方法をわかりやすく解説」
特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際は、「資格外活動許可」があるかの確認もあわせて行いましょう。就労が許可されていない種類の在留資格でも、資格外活動許可があればアルバイトとして雇用できる可能性があります。
資格外活動許可は、在留資格外の活動を行う際に申請する許可を指します。資格外活動許可を得れば、就労が認められていない種類の「特定活動」の在留資格を持つ外国人も、アルバイトができる可能性があるのです。
なお、申請すれば必ず資格外活動許可が得られるわけではありません。在留資格「特定活動」の種類によっては、許可されない場合も多々あります。資格外活動許可を得られる具体的な例は、継続就職活動や起業準備のために特定活動の在留資格を取得した場合などです。
資格外活動許可でアルバイトできる時間は、原則週に28時間以内と定められています。また、風俗営業を行う場所では働けません。風俗営業を行う場所とは、スナックやパチンコ店、ゲームセンターなどのことです。資格外活動許可のもとのアルバイトでは、これらの場所で直接営業に関わるのはもちろん、掃除や調理、チラシ配りなどの付随する業務に就くことも禁止されています。
外国人が資格外活動許可を得ているかは、在留カードの裏面で確認できます。在留カード表面の就労制限の有無欄に「就労不可」とあっても、裏面の資格外活動許可の欄に、「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があれば、アルバイト雇用が可能です。
特定活動の在留資格で外国人にどのような活動が許可されているかは、在留カードでは判断できません。パスポートに貼られた指定書を確認する必要があります。
指定書を確認しないで外国人を雇用すると、知らず知らずのうちに不法就労助長罪に問われてしまう可能性もあるでしょう。雇用契約を結ぶ前に指定書の確認を徹底する必要があります。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net