夏至とはどのような日?日本やほかの国に根付いている風習について

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2023/06/14

夏至(げし)とは、北半球において一年で最も昼間が長い日のことです。緯度が高い北極圏や周辺の地域では夜になっても太陽が沈まず、常に明るい、もしくは薄明りになる程度で暗くはなりません。一方、北半球が夏至の時期には、南半球では一年で昼間が最も短い冬至(とうじ)を迎えます。
このコラムでは、夏至の特徴や起こる理由をわかりやすく解説。世界各国の夏至の時期の食べ物や行われる祭りも紹介します。

目次

  1. 夏至とはどのような日のこと?
  2. 夏至はどのようにして起こる?
  3. 北半球が夏至のころに南半球は冬至を迎える
  4. 日本の夏至の風習とは
  5. 世界の夏至の風習とは
  6. まとめ

夏至とはどのような日のこと?

夏至とはどのような日のこと?の画像

夏至とは、一年を24等分に分ける考え方である「二十四節気(にじゅうしせっき)」で、10番目の季節を表す言葉です。夏至を過ぎると北半球の地域では、本格的な夏に向かって気温が高くなります。

夏至とは太陽が出ている時間が最も長い日

夏至とは太陽が出ている時間が最も長い日の画像

夏至とは一年で太陽が出ている時間が最も長い日です。北極圏や周辺の地域では、24時間太陽が沈まず暗くならない現象である「白夜(びゃくや)」が起こります。

毎年同じ時期に夏至を迎えますが、日付が定められているわけではありません。多くの場合は6月21日か22日と決められており、たまにそれ以前の日にちになる場合があります。

夏至とは一番太陽が遅く沈む日ではない

夏至とは昼間が最も長い日ですが、一年で一番太陽の沈む時間が遅い日ではありません。また、一年で太陽が出るのが最も早い日とも異なります。

夏至は、太陽が出てから沈むまでの合計時間が一年で一番長い日です。一年で最も太陽の出るのが早い日は夏至の約1週間前、一年で最も太陽の沈むのが遅い日は夏至の約1週間後に訪れます。

夏至の日のあとから気温が上がる

北半球の地域では、夏至を迎えたあとから気温が上がり本格的な夏を迎えます。日本では、7月後半から8月ごろが気温が最も高い時期です。夏至は太陽の出ている時間が一年で一番長い日ですが、最も暑い日ではありません。

夏至の日が一年で最も暑くならない理由は、太陽の日差しを浴びても地面や海水が温まるまでに時間が掛かるからです。たとえば、ガスコンロでお湯を沸かす際に、火をつけてから水の温度が上がるまで時間が掛かることを思い浮かべたら分かりやすいでしょう。

なお、日本では曇天が続く梅雨の時期に夏至を迎えるので、太陽光が雲により遮られて気温が上がりにくいという理由もあります。

日本の夏の気候について知りたい方には、「日本の夏を楽しもう!気候の特徴やおすすめの観光地を紹介」や「日本の気候や天気の特徴とは?各季節の注意すべきポイントも解説」のコラムもおすすめです。

夏至はどのようにして起こる?

夏至はどのようにして起こる?の画像

夏至は、地球の自転軸の北側が最も太陽に傾いた結果として起こる現象です。

地球は軸を約23.4度傾けた状態で自転しながら、さらに太陽の周りを回る公転をしています。
太陽が昇る「日の出(ひので)」や沈む「日の入り(ひのいり)」は、地球にいる人からすると太陽が動くため起こっているように見える現象です。しかし、実際は太陽は動いておらず、地球が自転し、自分のいる地点から太陽が見えるようになるため起こります。

3月後半から地球は自転軸の北側を太陽のほうへ傾むけて、自転と公転をします。その結果、北半球が太陽のほうに近づき、日の出の時間が早くなり、日の入りの時間が遅くなるのです。

なお、南半球では、自転軸の南側が最も太陽に傾く時期に、夏至を迎えます。

北半球が夏至のころに南半球は冬至を迎える

北半球が夏至のころに南半球は冬至を迎えるの画像

北半球が夏至の時期に、南半球は太陽の出ている時間が一年で一番短くなる冬至を迎えます。3月後半から6月後半にかけて南半球では太陽の出ない時間が増えていき、冬至を迎えたあとに本格的に寒くなっていくのです。北半球にある日本と、南半球にあるブラジルやオーストラリアなどの国々とでは、気温の上がり下がりが逆になっているといえます。

なお、南極圏や周辺の地域では、24時間太陽が昇らない「極夜(きょくや)」が起こります。

参照元 環境省「極夜と白夜

日本の夏至の風習とは

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ここでは、日本の夏至の風習を紹介。全国的に知られている風習は少ないものの、一部の地域で受け継がれている風習がいくつかあります。

夏至にはタコやサバを食べる

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関西地方では、夏至から数えて11日目にあたる日の前後にタコを食べる風習があります。
夏至から11日目ごろまでは田植えをする時期です。そのため、稲の苗がタコの足のように八方に広がるようにとの願いを込めて食べられているといわれています。

福井県にあるのが、夏至から11日前後の日にサバの丸焼きを食べる風習です。サバを食べるのは、暑さの厳しい夏を乗り越えるための必要な栄養が補えるからという説があります。

なお、全国的に夏至の日に食べると決まっている物はありません。夏至から7月の初めにかけては、田植えや畑仕事の繁忙期で、特有の風習が生まれにくかったのが理由といわれています。

夏至に行われる祭がある

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三重県の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)では、毎年、夏至のお祭りが行われています。
二見興玉神社の夏至祭は、日の出を拝みながら海に浸かり身体を清める行事です。

二見興玉神社の近くにある海は、古くから人々が海水を浴び心身を清める場所とされてきました。海上には夫婦岩といわれる大きな二対の岩があり、夏至の日の前後に夫婦岩の間から太陽が昇る様子が見られます。岩の間から太陽が昇る神々しい光景を見るため、多くの人が参加するお祭りです。

世界の夏至の風習とは

世界の夏至の風習とはの画像

海外にも夏至に行われるさまざまな風習があります。以下で紹介するのは、スウェーデン・フィンランド・イギリス・ポーランド・ギリシャの夏至の風習です。

スウェーデンの夏至の風習

スウェーデンの夏至の風習の画像

夏至の時期に白夜を迎えるスウェーデンでは、「ミッドサマー」といわれるお祭りが盛大に行われます。夏至の日と前日、前々日は祝日とされており、長期休暇を取り家族や友人とお祭りを楽しむ人も多いようです。

ミッドサマーでは、頭に花で作った冠を載せたり草花で飾った白樺のポールである「メイポール」を広場に立てたりします。広場に集まった人々は、ジャガイモやニシンの料理を食べて、語り合うのが習わしです。場が盛り上がってくると、楽器の演奏をしたりメイポールを囲んで踊ったりします。

フィンランドの夏至の風習

フィンランドの夏至の風習の画像

フィンランドもスウェーデンと同じく夏至の時期に白夜を迎える国で、夏至祭が行われます。
以前は夏至祭が行われている最中は「コッコ」といわれるかがり火を焚いて悪魔を遠ざけ、作物の豊作を願っていました。現代でも、賑やかにすることで悪魔を払えて幸運がやってくるとされており、夏至を祝う宴会が盛大に行われます。

フィンランドでは、古くから夏至の日にパートナーにまつわる行事や風習も行われてきました。たとえば、夏至の日に7種類の花を枕の下に置いて眠ると、夢で将来のパートナーが分かるという言い伝えがあります。また、夏至に結婚式を挙げる人も多くいるようです。

イギリスの夏至の風習

イギリスの夏至の風習の画像

イギリスでは、夏至の日にイングランド中部にある世界遺産「ストーンヘンジ」で、古代ケルト人の宗教「ドルイド教」による祭祀が行われます。

ストーンヘンジは、巨大な石が環状に配置された古代遺跡です。夏至の日には、ヒールストーンという石とストーンヘンジの中心にある石の直線上に太陽が昇ります。
普段は近寄れないストーンヘンジですが、夏至の夜から次の日の昼までは無料で解放されており、近くまで行き石に触れることも可能です。

ポーランドの夏至の風習

ポーランドの夏至の風習の画像

ポーランドでは、「夏至の夜に人々が恋に落ちる」との言い伝えがあります。
昔行われていたのが、独身の女性が花輪を川に流し、向こう岸にいる男性が受け取るという行事です。花輪が男性に拾われると将来いい人と巡り合い、水中に沈むと結婚しないとされていました。

現代では、首都ワルシャワを流れるヴィスワ川に大きな花輪を浮かべたりコンサートを開いたりして、夏至を祝います。

ギリシャの夏至の風習

ギリシャの夏至の風習の画像

ギリシャでは、夏至の約3日後に訪れる「聖ヨハネの日」に、さまざまな風習が行われます。

たとえば、独身の女性は、イチジクの木の下に自分の持ち物を入れた容器を置きます。そうすれば、魔法がかかり、将来のパートナーの夢が見られるといわれているのです。
聖ヨハネの日の翌日は女性同士で集まり、見た夢の話をします。それから、男性も加わり交互に焚火の上を飛び越すというのが決まりです。上手に3回飛び越えられると願いが叶うという言い伝えがあり、この風習をきっかけに新しいカップルが生まれる場合もあります。

まとめ

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夏至は一年で一番太陽が出ている時間が長い日です。北半球の地域では、夏至のあとに気温が高くなっていき、本格的な夏を迎えます。
日本では、地域によってタコやサバを食べるのが習わしです。しかし、全国に共通した夏至の風習はありません。世界各国では、さまざまな夏至のお祭りが行われます。日本や世界の夏至の風習を比べてみると面白いでしょう。

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