七夕は短冊に願い事を書こう!行事の由来や飾りが持つ意味を紹介

WeXpats
2023/06/15

毎年7月7日は七夕(たなばた)です。節句と呼ばれる季節の変わり目を祝う年中行事の一つで、昔から七夕になると願いを書いた短冊を笹につるし、星に祈る習慣があります。七夕のルーツは『七夕伝説』です。「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」の話は、七夕を語るうえで欠かせません。このコラムでは、七夕をよりいっそう楽しめるように、起源や願い事をするようになった理由、笹飾りが持つ意味などを解説します。

目次

  1. 七夕は織姫に願い事をする行事
  2. 七夕に書くのにおすすめの願い事
  3. 七夕で使う笹飾りが持つ意味
  4. 七夕の楽しみ方
  5. まとめ

七夕は織姫に願い事をする行事

七夕は織姫に願い事をする行事の画像

七夕に願い事をする風習が生まれたのは、中国の『七夕伝説』がきっかけです。七夕伝説には機織りを得意とする織姫という女性がおり、昔の人々は「彼女のように技芸が上達しますように」と願いました。「なぜ七夕に願い事をするようになったのか?」「何を願えば良いのか」を知りたい方は、七夕の起源を深堀してみましょう。

織姫と彦星の逸話

『七夕伝説』は織姫と彦星という男女の物語です。
機織りが得意な織姫は、父のすすめで働き者な牛飼いの彦星と結婚しました。結婚後、織姫と彦星はお互いに夢中になってしまい、次第に仕事をしなくなってしまいます。怒った織姫の父は、天の川を使って織姫と彦星を離れ離れにしました。しかし、今度は2人とも会えなくなってしまった悲しみからまったく仕事をしなくなります。見かねた織姫の父は「きちんと仕事に励めば、年に一度七夕の夜だけ会うことを許す」と条件を科し、2人はようやく仕事に精を出すようになりました。
それ以来、七夕の夜になると織姫の父の命を受けたカササギが2人を背に乗せて天の川をわたり、年に一度の再会を楽しんでいます。

中国では織姫と彦星を祝って「乞巧奠(きっこうでん)」という祝祭が開かれます。織姫にあやかって機織りが上手になるように願う祭りで、現在の日本の七夕の起源です。なお、日本にも『棚機つ女(たなばたつめ)』という機織りが得意な女性の話があります。行事としての七夕は『七夕伝説』がもとになっていますが、「たなばた」と読むようになったのは棚機つ女がきっかけのようです。

七夕における願い事のルール

願い事を伝えるのは織姫ですが、叶えるのは自分です。短冊に願いを書いたあとは、実現に向けて努力しましょう。

七夕の願い事は、習い事の上達を願うのがおすすめです。七夕に願い事をする風習が生まれたのは、「織姫のように機織りがうまくなりたい」という願いがきっかけ。現代でもサッカーや手芸、習字の上達などを願う人が多いようです。また、短冊をつるす竹にあやかって、健康や子どもの成長を願う人もいます。

願い事を短冊に書いて笹に結ぶのはなぜ?

短冊を笹につるすのは、遠い星の向こうにいる織姫に願いが届きやすくするためです。そのため、短冊をつるす際はできるだけ、竹の高い部分につけたほうが良いとされています。
短冊に願い事を書く風習は乞巧奠がきっかけです。乞巧奠では貴族が詩歌や管弦楽の上達を願い、植物の葉に文字を書いていました。七夕が現在のような形になったのは江戸時代からです。学校の前身である寺子屋が増えていたこともあり、短冊に願いを書くスタイルが普及していきました。

節句とは1年に5回ある季節の節目のこと!意味や風習について知ろう」では、七夕を含む節句について詳しく解説しています。季節の変わり目ごとにある年中行事を知りたい方は、併せてチェックしてみましょう。また、日本の年中行事については「日本の年中行事や伝統行事を一覧で解説!特別な日の風習や行事食とは?」でくわしく解説しています。

七夕に書くのにおすすめの願い事

七夕に書くのにおすすめの願い事の画像

習い事の上達や健康のほか、世界平和や仕事、良縁などを願うのもおすすめです。何を書くか悩んだら「実現したいこと」「叶ったらうれしいこと」をお願いしてみましょう。なお、子どもの場合はサンタクロースにクリスマスプレゼントをお願いするように、欲しいものを短冊に書くことが多いようです。本来欲しいものや生きたい場所を書くのは行事の趣旨から外れますが、家族で七夕を楽しむ際は、子どもの自由な発想に任せて短冊を書かせてみるのも良いでしょう。

七夕で使う笹飾りが持つ意味

七夕で使う笹飾りが持つ意味の画像

短冊をつるす竹には、短冊のほかに七夕飾り(笹飾り)もつけます。笹飾りは折り紙で簡単に作れる飾りです。それぞれの笹飾りが持つ意味を知っていると、用意するときに「なぜ必要なのか」を説明しやすくなります。七夕への理解を深めるきっかけにもなるので、覚えておくといいでしょう。

五色の短冊

七夕で願いを書く短冊も笹飾りの一つといえます。青・赤・黄・白・黒の5色が伝統的な短冊の色です。なお、現在は青は緑、黒は紫に置き換えられている場合もあります。この5色は陰陽五行で重要な意味を持つ色です。こいのぼりの吹き流しや相撲の土俵にも使われている色で、縁起の良い色といえます。

吹き流し

吹き流しの画像引用元:仙台七夕まつり

吹き流しは長いひも状の笹飾りです。風が吹くと糸のようにひらひらとなびくため、吹き流しといいます。実際に、かつての七夕では短冊と同じ5色を使った糸が飾られ、次第に紙で作った吹き流しへと変化していきました。魔よけの意味を込めて、くす玉に吹き流しをつけて飾る場合もあります。

網飾り

網飾りは、空に流れる天の川を実際の河川に見立てて豊年満作・大漁を祈願する笹飾りです。網飾りには幸せをすくい上げるという意味もあります。網飾りは折り紙に切れ込みを入れるだけで簡単に作れるので、七夕で笹飾りを作る際はチャレンジしてみましょう。

巾着

巾着は袋の形をした笹飾りです。金運上昇の願いを込めて竹につるします。折り紙で巾着の形を作って飾るのが一般的ですが、布でできた本物のお財布を笹飾りにする場合もあるようです。

折り鶴

折り鶴の画像引用元:仙台七夕まつり

折り鶴も笹飾りの一つです。日本では鶴は長寿の象徴のため、長生きできるように願って飾ります。千羽鶴を折って笹飾りにすることも多く、大きな七夕祭りでは折り鶴だけで構成した装飾もあるようです。

紙衣

紙衣(かみこ)は折り紙で作った着物です。七夕はもともと織姫に機織りの上達を願う行事なので、手芸上達や衣服に困らない暮らしを願って飾ります。日本の民間伝承『棚機つ女』に出てくる「神御衣(かんみそ)」の話をもとに、紙衣を飾るようになったようです。

くずかご

くずかごはその名のとおり、紙くずを入れるためのかごを模した笹飾りです。網飾りと同じく、折り紙に切り込みを入れて作ります。なお、折り紙で作るため強度が弱く、穴も大きいため実際にくずかごとして使うのは難しいでしょう。

七夕の楽しみ方

七夕の楽しみ方の画像

七夕の日は、竹に飾りつけを行ったり短冊に願い事を書いたりして行事を楽しみましょう。また、七夕の行事食を食べ、天の川を見るのもおすすめの楽しみ方の一つです。

行事食のそうめんを食べる

そうめんは七夕の行事食です。七夕にそうめんを食べるようになったのは古い中国の言い伝えに由来しています。
かつて、中国の帝の子どもが7月7日に亡くなったあと、霊となり国に疫病をもたらしました。人々が疫病の流行を防ぐために好物だった索餅(さくべい)を供えたところ、病が治まったという言い伝えが日本にも伝わっています。索餅とは、そうめんの原形ともされる小麦粉を細い糸のように束ねたお菓子です。言い伝えになぞらえて、無病息災を祈願するためにそうめんを食べる風習が生まれたとされています。

天の川を鑑賞する

天の川は雲状の帯になっており、ほかの星々とは見た目が異なります。星の輝きが淡く、都市部では見つけるのが難しいですが、山間部や明かりの少ない場所であれば天の川を鑑賞しやすいでしょう。また、星座盤があればそれを使って「夏の大三角」を探すのもおすすめ。「ベガ(こと座)」「アルタイル(わし座)」「デネブ(はくちょう座)」はそれぞれ、織姫・彦星・カササギをつかさどる星座です。天気が良い七夕の夜は、星座観察を楽しんでみてください。

まとめ

まとめの画像

七夕はもともと織姫のように機織りの上達を願って生まれた行事です。現在では芸事全般の上達や自身や家族の健康祈願がふさわしい願い事とされています。七夕がどのような行事かをしっかり理解し、適切な願い事を短冊に書いて成就を祈願しましょう。

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