忘年会とは、年末に会社の人や友人、知人と行う宴会のことです。お酒を飲んだりごちそうを食べたりしながら一年の出来事を話し、お互いの苦労を労ったり反省したりします。大きな忘年会では、宴会を盛り上げるための出し物である「余興(よきょう)」やゲームが行われることも。このコラムでは、忘年会の起源や変遷、よく行われる余興・ゲームを解説します。忘年会について知り、機会があればぜひ参加してみましょう。
目次
- 忘年会は年末に行われる宴会のこと
- 忘年会の目的
- 忘年会の起源や変遷とは?
- 忘年会は日本特有の行事
- 忘年会でよく使われる言葉「無礼講」の意味
- 忘年会で行われる余興
- 忘年会では景品付きのゲーム大会が開かれる
- まとめ
忘年会は年末に行われる宴会のこと
忘年会とは、一年間の苦労を労うために年末に開かれる宴会や食事会のことです。飲食しながら、打ち解けた雰囲気で一年間の出来事や反省を話し合います。お互いを労い大変だったり苦労したりしたことを忘れて、新たな気持ちで新年を迎えるための行事です。
忘年会が行われる時期は、11月下旬〜12月下旬です。一般的に会社の忘年会は、業務が立て込む年末を避けて12月中旬までに行われます。しかし、なかには「仕事納め」といわれる最終営業日に忘年会を行う企業も。多くの企業で仕事納めは12月28日に設定されています。
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忘年会の目的
前述のとおり、忘年会の目的は基本的にお互いの苦労を労い、新しい気持ちで新年を迎えることです。ただし、どのようなグループで開かれるかによって少し目的が異なります。ここでは、会社の人と行う場合と友人・知人と行う場合の目的を解説するので、忘年会がどのような宴会であるかの理解を深めましょう。
会社の人と行う忘年会の目的
会社の人と忘年会を行う目的は、2つあります。1つ目の目的は「一年間の働いた苦労をお互いに労うこと」です。日ごろ一緒に働いている人と飲食をともにしながら楽しい時間を過ごすことで、お互いを労わり絆を深めるのが目的といえます。部門や係などのグループごとに何度も忘年会が行われるのも珍しくありません。
2つ目の目的は、「顧客を接待すること」です。会社の取引先の相手と宴会を行ってコミュニケーションを深め、良好な関係の維持を目指します。
友人や知人と行う忘年会の目的
友人や知人との忘年会の目的は、一年間の出来事を話しながら繋がりを深めることです。会社で行われる忘年会よりカジュアルな雰囲気で行われます。友人や知人と行う忘年会は、楽しく話すのが目的といっても良いでしょう。
遠方から帰省した友人や親戚を誘って忘年会を開く場合もあります。親しい人と行う忘年会は、年末の楽しみの一つです。
忘年会の起源や変遷とは?
忘年会は鎌倉時代に生まれ、時代とともにスタイルを変えてきた行事です。ここでは、忘年会の起源や変遷を解説します。
起源は鎌倉時代に生まれた「年忘れ」という会
忘年会の起源は、鎌倉時代に始まった「年忘れ」という会だといわれています。年忘れとは、年末に武士や貴族が集まって、複数人で作る連歌(れんか)という和歌を詠む会のことです。一年間を思い出し、優雅に過ごす厳かな会であったとされています。
現代の忘年会のように、お酒を飲んだりごちそうを食べたりする会とは趣が異なっていたといえるでしょう。
現代のようなスタイルになったのは江戸時代
現代のように宴会をする忘年会が生まれたのは、江戸時代だといわれています。一部の庶民の間で、お酒を酌み交わしながら一年間の苦労を労う「年忘れ宴会」が広まりました。しかし、多くの人にとって忘年会は一般的な行事ではなく、明治時代になってようやく世間に定着したのです。
中心となったのは官僚で、年末にもらったボーナスで宴会を行い、それが忘年会として広まったといわれています。年末に実家に帰省しなかった学生も宴会を開いてにぎやかに騒ぐようになったことで、より多くの人に浸透しました。
日本の時代区分に興味がある方には、「日本の時代を年表にして紹介!時代区分ごとに起こった出来事も解説」や「記憶に残りやすい日本の時代年表の覚え方!各時代の特徴を紹介」のコラムがおすすめです。
忘年会は日本特有の行事
忘年会は、海外ではあまり類を見ない日本特有の行事です。欧米では、年末にクリスマスパーティーやカウントダウンパーティーをするのが主流で、忘年会は行いません。理由は、一年を振り返り苦労を労う忘年会の意味が、欧米の文化と馴染まないためだといわれています。
忘年会自体が行われないため、同じ意味の英語はありません。忘年会をあえて英語で表現する場合は、「end-of-year party(エンドオブイヤーパーティー)」「year-end party(イヤーエンドパーティー)」などの言葉が使われます。
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忘年会でよく使われる言葉「無礼講」の意味
「無礼講(ぶれいこう)」とは地位や身分の差を気にせずに楽しむ宴会のことで、明治時代に忘年会の言葉とともに広まりました。
無礼講という言葉は「礼講」から生まれたとされています。礼講とは、神事の際に神様に供えたお酒を立場がうえの人から飲む儀礼を意味する言葉です。神事以外の集まりは、儀礼はない宴会という意味で無礼講と呼ばれるようになりました。
無礼講の意味は、立場の差を取っ払って多少の失礼が許される宴会とよく間違われます。しかし、正しくはどのような無礼でも許される宴会という意味ではないので、忘年会に参加する際はマナーに気をつけましょう。
忘年会で行われる余興
ここでは、忘年会でよく行われる余興として、芸能人のものまね・マジック・カラオケを紹介します。
芸能人のものまね
忘年会でよく披露されるのが、歌手やアイドル、芸人などのものまねです。たとえば、長年活躍している歌手の声・表情をまねて歌ったりアイドルの曲をダンス付きで踊ったりします。その年に流行った芸人のコントやギャグもよく披露される余興です。
クオリティの高いものまねを披露するため、参加者が何度も集まり練習をすることもあります。
マジック
忘年会では、マジックもよく披露されます。大掛かりな仕掛けは難しいですが、コインやトランプなどの小物を使うマジックは準備がしやすく余興の定番です。仕掛けが施されていて簡単な練習でマジックを披露できるグッズもあります。忘年会の参加者の中からマジックの手伝いをする人を選んだりユーモアのある仕掛けを施したりすると、場が盛り上がるでしょう。
カラオケ
カラオケも忘年会の余興の定番です。ホテルや旅館などのカラオケ設備がある宴会場で、忘年会参加者の歌を聞きながら飲食を楽しみます。忘年会がカラオケ店で開かれる場合も少なくありません。
よく歌われるのは、その年に流行った曲やどの世代でも知っている人気の歌などです。歌に合わせてタンバリンやマラカスを鳴らしたり掛け声を掛けたりして、参加者全員で楽しみます。
「カラオケの意味を外国人向けに紹介!世界と日本で異なる楽しみ方とは」のコラムでは、カラオケについて解説しています。また「J-POPの特徴は?K-POPとの違いや知っておくべき有名な曲も紹介」のコラムでは、有名な日本の歌を紹介しているので、ぜひご覧ください。
忘年会では景品付きのゲーム大会が開かれる
規模の大きな忘年会では、景品付きのゲーム大会がよく開かれます。ここでは、忘年会で行われるゲームと景品の例を紹介するので、チェックしてみてください。
忘年会でよく行われるゲーム
忘年会では、ルールが明確で大人数でもやりやすいビンゴゲームがよく行われます。身振り手振りを行い、表している事象をあてるジェスチャーゲームも忘年会にうってつけのゲームです。面白いしぐさによって、場が盛り上がりやすくなるでしょう。その年の出来事や会社にまつわることなどを問題にしたクイズ大会も定番です。オリジナリティがあり意外な解答の問題が出てくると、会話が弾みます。
忘年会の景品の例
忘年会のゲームの景品によく選ばれるのが、図書カードやギフトカードです。近年では、インターネットショッピングで使えるギフトカードが用意されている場合もあります。
会社主催の忘年会では、ドライヤーやコードレス掃除機、温冷風扇などの小型家電が景品の場合も。ワインや日本酒といったお酒や高級肉のセットなども、よくある忘年会の景品といえるでしょう。
まとめ
忘年会は「一年間の苦労を労うために年末に開かれる宴会のこと」です。会社の上司や同僚、友人など、さまざま人と飲食をともにしながら一年を振り返ることで結びつきを深めます。
忘年会はよく無礼講といわれますが、どのような態度でも許されるわけではありません。失礼のないように気をつけながら楽しみましょう。