花火の歴史とは?全国で行われる大会も紹介

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2023/06/15

花火の歴史は古く、中国で使われていた狼煙(のろし)や火薬が起源といわれています。現代のような鑑賞用の花火が最初に作られたのは、イタリアのフィレンツェです。日本では江戸時代に花火が作られ始め、花火大会も開催されました。
このコラムでは、花火の歴史や種類、仕組みを解説。また、古い歴史を持つ日本の花火大会や多くの人が訪れる有名な花火大会も紹介しています。

目次

  1. 花火の歴史とは?
  2. 花火の種類と仕組み
  3. 特に古い歴史を持つ花火大会とは?
  4. 日本の有名な花火大会とその歴史
  5. まとめ

花火の歴史とは?

花火の歴史とは?の画像

花火の起源といわれているのが、古くから中国で使われていた狼煙や火薬です。ここでは、花火の歴史を解説します。

花火の歴史は紀元前にまで遡る

花火の歴史は紀元前にまで遡るの画像

花火の起源は、紀元前の中国で使われていた狼煙といわれています。狼煙は、物を焼いて立ち上らせた煙により離れている人に情報を伝える手段です。
また、紀元後500年から600年ごろに、同じく中国で発明された火薬が花火の始まりとの説もあります。その後、中国では竹に火薬を入れた花火である「爆竹(ばくちく)」が作られるようになりました。

火薬はシルクロードを通って、インドやギリシア、ローマに伝わりました。
1200年から1300年ごろにイスラム諸国に伝わり、武器に使われたのちに、花火の材料に用いられるようになります。
現代のような花火が初めて作られたのは、1300年代のイタリア・フィレンツェです。大きな音や火花を出す花火が、戴冠式や結婚式、キリスト教の行事に用いられました。

日本で花火が鑑賞されるようになったのは江戸時代

日本で多くの人が花火を鑑賞するようになったのは江戸時代ですが、それ以前にも花火に関する記録が残っています。
花火に関する最も古い記録が記されているのが、室町時代の貴族が書いた日記『建内記』です。1447年に、清浄華院(しょうじょうけいん)という寺院で、中国人によって花や水車の形の花火が披露されたとの記録があります。
1589年にも、伊達政宗(だてまさむね)という武将が花火を楽しんだという記録が残されていました。

1613年には、江戸幕府の将軍である徳川家康(とくがわいえやす)が花火を見物したという記録が残っています。江戸時代になると、多くの職人により日本で花火が作られるようになり、さまざまなタイプの花火が誕生しました。

日本の歴史や時代区分に興味がある方は、「日本の時代を年表にして紹介!時代区分ごとに起こった出来事も解説」のコラムで解説しているので、あわせてご覧ください。

花火の種類と仕組み

花火の種類と仕組みの画像

花火の種類は、大まかに分けると大型の「打ち上げ花火」と「仕掛け花火」、小型の「玩具花火」の3種類です。ここでは、花火の種類と仕組みを解説します。

打ち上げ花火

打ち上げ花火の画像

打ち上げ花火は、火薬を使って球状の「花火玉(はなびだま)」を空高く打ち上げる花火です。

花火玉の中には、火薬の塊である「星(ほし)」が、爆発したときにきれいな模様を作るように並べられています。花火玉の外側を覆うのは、強度の強い紙を半球状に張り合わせて出来た「玉皮(たまかわ)」です。

打ち上げは、上を向いた円形の筒に発射薬を入れて、その上に花火玉を置きます。「投げ込み」という火種を筒の上部から投げ入れて発射薬に点火すると、打ち上げとともに花火玉に付いている導火線に引火するのです。火が花火玉の中に到達すると爆発し、多彩な色や形が現れます。

仕掛け花火

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仕掛け花火は、打ち上げると文字や絵が現れる、さまざまな趣向を凝らしている花火です。

たとえば、「スターマイン」は、複数の花火を組み合わせて連続して打ち上げ、一つのテーマを表現します。
「水上花火」は、あらかじめ船やいかだなどに取り付けておいた花火を、遠隔操作で点火させる花火です。水上で爆発し、きれいな半球体の花火が作り出されます。
「ナイアガラ」は、細い筒状の「ランス」という花火をワイヤーに等間隔に吊り下げた花火です。世界三大瀑布(ばくふ)の一つ「ナイアガラの滝」をモチーフとしており、点火すると流れる水のように火花が落ちていきます。

玩具花火

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玩具花火は個人で購入できる小型の花火です。棒が付いた「手持ち花火」や小型の打ち上げ式の「ロケット花火」、点火すると火花を散らしながら回転する「ねずみ花火」などがあります。スーパーやコンビニ、おもちゃ屋などで購入でき、誰でも気軽に楽しめるのが魅力です。

玩具花火で遊ぶ際は、公園や海岸などの許可された場所で遊びましょう。場所にもよりますが、大きな音の出るロケット花火や爆竹は周囲の人の迷惑になるため、許可されていない場合もあります。
使った花火は水を張ったバケツに入れ、花火の燃えカスやゴミは持ち帰ることも大切です。

特に古い歴史を持つ花火大会とは?

特に古い歴史を持つ花火大会とは?の画像

日本では、古くから花火大会が行われ、多くの人に親しまれてきました。なかには、江戸時代に始まり、今日まで続く花火大会も。ここでは、特に歴史がある「筑後川(ちくごがわ)花火大会」と「隅田川(すみだがわ)花火大会」を紹介します。

筑後川花火大会【福岡県】

「筑後川花火大会」は、1650年に水天宮という神社の完成を祝って上げられた花火が起源です。その後、「水天宮奉納花火大会」として続けられ、1965年に名称が「筑後川花火大会」に変わりました。
現代では、西日本最大級の花火大会であり、約18,000発の花火が同時に2ヶ所で打ち上げられます。巨大な打ち上げ花火はもちろん、ナイアガラなどの仕掛け花火もあり、大迫力です。

隅田川花火大会【東京都】

隅田川花火大会【東京都】の画像

隅田川花火大会は、1733年に行われた「両国の川開き」という花火大会が起源です。
東京では、1732年に大きな飢饉が発生し疫病まで流行したため、多くの人が亡くなりました。犠牲者の慰霊と疫病終息への願いを込めて、両国橋の辺りで花火を上げたのが「両国の川開き」の始まりです。

その後、「隅田川花火大会」と名称を変えて、毎年7月の最終土曜日に東京都台東区浅草と墨田区向島の河川敷で行われるようになりました。東京二大花火大会の一つに数えられる人気の花火大会です。

花火大会については、「日本の夏を楽しもう!気候の特徴やおすすめの観光地を紹介」のコラムでも紹介しています。また、花火大会以外の夏のイベントについては、「日本の年中行事や伝統行事を一覧で解説!特別な日の風習や行事食とは?」のコラムでも解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

日本の有名な花火大会とその歴史

日本の有名な花火大会とその歴史の画像

日本の各地では、主に夏に大規模な花火大会が開催されます。ここでは、有名な花火大会とその歴史を簡単に紹介するので、どの花火大会を訪れるか決める際にチェックしてみてください。
なお、花火大会の日にちは変更する可能性もあるので、Webサイトで最新の情報を確認するようにしましょう。

長岡まつり大花火大会【新潟県】

長岡まつり大花火大会【新潟県】の画像

「長岡まつり大花火大会」は、新潟県長岡市の夏祭り「長岡まつり」の催しの一つとして行われます。開催日は毎年8月2日・3日で、信濃川の河川敷が会場です。
「長岡まつり大花火大会」の歴史は、1946年に開催された「長岡復興祭」まで遡ります。もともとは、1945年8月1日の長岡空襲で亡くなられた人々の慰霊と長岡の復興を願って始まった花火大会でした。

現代では、打ち上げ幅約2kmある「復興祈願花火フェニックス」や直径約650mもの大きさがある「正三尺玉」など、夜空を覆うほどの大きな花火が見られます。日本三大花火大会の一つに数えられる、人気の花火大会です。

全国花火競技大会(大曲の花火)【秋田県】

全国花火競技大会(大曲の花火)【秋田県】の画像

「全国花火競技大会」は、秋田県大仙市大曲(だいせんしおおまがり)で、毎年8月の最終土曜日に開催されます。「大曲の花火」ともいわれ、日本三大花火大会の一つに数えられる大規模な花火大会です。

第一回の大会が1910年に開催されて以来、全国から選ばれた優秀な職人が技を競い合い、美しい花火を打ち上げてきました。優れた花火には内閣総理大臣賞が与えられるのも特徴で、長い歴史と権威がある大会といえるでしょう。

土浦全国花火競技大会【茨城県】

土浦全国花火競技大会【茨城県】の画像

「長岡まつり大花火大会」「大曲の花火」とともに日本三大花火大会に数えられるのが、「土浦全国花火競技大会」です。茨城県土浦市で、毎年11月第1土曜日に開催されています。もともとは、1925年に航空戦死者の慰霊を目的として始められました。

「スターマインの部」「10号玉の部」「創造花火の部」の3部門に分かれており、多彩な花火が打ち上げられます。なかでも、複数の場所から同時に打ち上げられるワイドスターマイン「土浦花火づくし」は圧巻です。

諏訪湖湖上花火大会【長野県】

諏訪湖湖上花火大会【長野県】の画像引用:諏訪湖湖上花火大会

「諏訪湖(すわこ)湖上花火大会」は、毎年8月15日に長野県諏訪市で開催されます。打ち上げ数は約40,000発で、打ち上げ数が日本一の花火大会です。戦争の被害からの復興を願って、1949年に第一回大会が行われました。

見どころは、全長2kmに及ぶナイアガラや水上スターマインなど。山に囲まれているため花火の音が反響し、ほかの大会では味わえない迫力があります。例年約500,000人が訪れる人気の花火大会です。

片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火【新潟県】

片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火【新潟県】の画像

引用:片貝町煙火協会公式サイト片貝まつり

​​​​​​「片貝まつり浅原神社(あさはらじんじゃ)秋季例大祭奉納大煙火」は、毎年9月9日・10日に新潟県小千谷市(おぢやし)で開催される花火大会です。
歴史は古く江戸時代に始まったとされ、1891年には初めて三尺玉(約90cmもある花火玉)が打ち上げられた花火大会としても知られています。

現代でも大きな花火玉が打ち上げられる花火大会であり、見どころは世界最大といわれる四尺玉です。開いた際は直径800mにもなり、夜空一面に色鮮やかな花火が広がります。

まとめ

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花火の歴史を辿ると、古代中国で使われていた狼煙や火薬に行きつきます。火薬はシルクロードを経て世界各国へ伝わり、イタリアのフィレンツェで鑑賞用の花火が作られ始めました。日本で花火が作られ、一般的に鑑賞されるようになったのは江戸時代です。
現代では、日本各地で趣向を凝らした花火大会が開催されています。歴史のある花火大会やさまざまな仕掛けが魅力の花火大会に出掛けてみましょう。

ライター

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