外国人が日本で正社員として働くのが難しいといわれるのは、日本の就活ルールが複雑なのが影響していています。また、企業が求める日本語レベルが高いのも要因といえるでしょう。
このコラムでは、外国人が日本で働きにくいといわれる理由を解説します。また、内定を得るためにできる対策も紹介。内容を参考にして、自分に合った企業で正社員として働きましょう。
目次
外国人が日本で正社員として働くのは難しいって本当?
外国人が日本で正社員として働くのは、専門的なスキルや経験がないと難しい部分もあるのが現状です。独立行政法人日本学生支援機構は「外国人留学生進路状況調査結果」にて、外国人の留学生の進路状況を公開しています。2023年に日本の大学院や大学、短期大学などを卒業した外国人のうち、国内で就職した人の割合は29.9%でした。もちろん、すべての人が日本で働くために留学をしたわけではありません。しかし、日本で就職しようとしても希望の企業から内定を得られず、母国に戻った人も一定数存在します。
ただし、日本で働く外国人は年々増え続けている状況です。日本政府も外国人労働者を積極的に受け入れる政策を打ち出しているので、今後状況は変わっていくでしょう。
日本での就職については「外国人が日本で就職するのは難しい?就活が難航する理由や就職率を紹介」や「日本で就職するために必要なこととは?外国人留学生に向けて紹介」のコラムも参考になります。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「2021(令和3)年度外国人留学生進路状況調査結果」
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外国人が日本で正社員になるのはなぜ難しいのか
ここでは、外国人が日本で正社員として働くのが難しいといわれる理由を解説します。理由を知れば、どのような対策を取れば内定を得られるかが見えてくるでしょう。
企業がネイティブレベルの日本語能力を求めている
日本企業が外国人社員に求める日本語のレベルは、非常に高いといえます。職種にもよりますが、日本語能力試験(JLPT)のN1もしくはN2レベルを採用基準としている企業も少なくありません。会話能力においても、日本人とほぼ同じようにコミュニケーションを取れることが求められます。敬語やビジネス会話の能力も必要とされるでしょう。
仕事能力や人柄に問題がなくても日本語能力が企業の求める基準を満たせず、なかなか正社員の内定を得られない外国人は多くいます。
外国人を採用したことのある企業が少ない
日本で働く外国人は増えてきてはいるものの、一人も外国人社員がいない企業はたくさんあります。外国人を正社員として雇用するには、在留資格や入管法に関する知識が必要です。経験のない企業は、手続きの複雑さに躊躇してしまう場合があります。そのため、国際的な業務があったり海外と関わりの深かったりする企業以外では、なかなか外国人採用が増えていかないのです。
在留資格の関係で働ける業界が限られている
外国人は在留資格の関係でできる業務が決まっているため、求人に応募できる企業が限られます。その分、内定を得られる可能性は低くなるでしょう。外国人は自分の持っている、もしくは在留資格で働ける企業のなかから、立地や勤務条件が自分に合うところを選ばなくてはなりません。
新卒の就活スケジュールが複雑で分かりにくい
新卒の就活スケジュールは独特で、理解するのが難しいといえます。日本の新卒採用は、同じ時期に一斉に募集が始まる方式です。エントリーやプレエントリー、説明会の時期も大体決まっており、流れに乗り遅れると内定を得にくくなります。留学生の場合、言語の壁もあり情報収集がしにくいため、スムーズに行かず苦労するケースも多いようです。
日本の就活特有のマナーやルールが存在する
日本の就活特有のマナーやルールの存在も、外国人が内定を得にくい要因の一つといえます。日本の就活にはさまざまなルールやマナーがあり、なかでも面接マナーは日本人でも混乱するほど複雑です。入室から着席、受け答えにいたるまで、ふさわしいルールに沿って行動しなくてはなりません。異なる文化で生まれ育った人が、すべてのルールを正しく覚えるのは至難の業です。
就活については「就活のマナーを知りたい!日本で就職を目指す外国人留学生に向けて解説」や「日本の就活のやりかたは?必要なものやマナーを留学生に向けて解説」のコラムをご覧ください。
外国人が正社員として就職するためにできること
先述した外国人が正社員になるのが難しい理由をふまえ、以下の対策を取ってみましょう。
日本の就活ルールを学ぶ
就活ルールやマナーを知り、正しく実行できるようになると、正社員の内定を得られる可能性が高まります。マナーが守れていないと「日本の文化に適用できていない」「仕事で人を不快にさせるかも」とマイナスイメージを持たれ、選考に悪影響が出るでしょう。
就活マナーの情報は知りたい人も多いため、インターネットで探せばすぐ出てきます。また、すでに就職している先輩や知り合いに聞くのもおすすめです。
日本で働くうえで、マナーを身に付けておくに越したことはありません。ゆっくり時間をかけて、理解していきましょう。
ビジネスで通用する日本語能力を身に付ける
ビジネスで通用する日本語を身に付けるのが、正社員として内定を得る最も確実な方法です。JLPTのN3以下を有している人は、N1やN2レベルを取得すると採用される可能性が上がります。また、JLPTでは測れないリスニングやスピーキングの能力も重要です。面接で良い印象を残せるよう、会話の能力も高めましょう。
自分自身をよく研究する
自分自身をよく研究して業界を絞ったりアピールポイントを見つけたりすることを、「自己分析」といいます。自己分析は、就活を本格的に始める前の重要なプロセスです。「マインドマップを作る」「ライフラインチャート」を作るなど、さまざまな方法があるので自分に合った方法を探してみてください。
自己分析については「外国人留学生のための簡単な自己分析のやり方」や「就活の自己分析の目的とは?外国人留学生のためのやり方を解説」で詳しくまとめています。
日本で正社員として働きたい外国人が頼れるところ
外国人の就職支援を行っている機関や団体を、積極的に頼るのもおすすめです。
厚生労働省が運営する「外国人雇用サービスセンター」では、留学生向けに就職ガイダンスや面接紹会などを実施しています。また、中途採用の求職者向けの職業紹介や職業相談もあるので、ぜひ活用してみましょう。
上記のほかに、就活情報を提供する「留学生就職支援ネットワーク」や外国人留学生のための就活ガイドを提供する「日本学生支援機構」などのWebサイトも閲覧してみてください。
参照元 厚生労働省「外国人雇用サービスセンター一覧(Employment Service for foreigners)」 独立行政法人日本学生支援機構「外国人留学生のための就活ガイド」 一般社団法人留学生就労支援ネットワーク「留学生就職支援ネットワークとは」
まとめ
外国人が日本で正社員として就職するのは、難しいといわれています。しかし、ポイントを押さえれば、内定の確率を上げることは可能です。
日本で正社員として働きたい人は、就活ルールの把握や自己分析、日本語の勉強に励みましょう。