日本で就職活動を行う外国人のなかには、「基本的なパソコンスキルって?」「どのような資格を取得していると良いの?」と思う人もいるでしょう。求人条件に記載されているパソコンスキルは、主にWord・Excel・PowerPointのスキルを指します。このコラムでは、社会人として必要なパソコンスキルを詳しく解説。パソコンスキルを証明する資格も紹介しているので、取得して就職活動の際にアピールしましょう。
目次
- 求人の応募条件に多いパソコンスキルとは?
- 日本で就職する外国人に必要なパソコンスキル
- 就職活動でパソコンスキルをアピールできる資格
- 外国人が面接でパソコンスキルを伝える際のポイント
- 外国人がパソコンのスキルアップを目指すには?
- まとめ
求人の応募条件に多いパソコンスキルとは?
日本の求人条件に記載されることの多い「パソコンスキル」は、基本的にWord・Excel・PowerPointの知識やスキルを指します。ただし、職種によって必要なパソコンスキルは異なるでしょう。たとえば、一般的な事務職ではWord・Excel・PowerPointのスキルが必要です。対して、Webデザイナーであればillustrator・Photoshopのスキルが必須でしょう。ソフトウェアの使用スキルがなくても、メール作成やファイル保存ができれば良いとしている企業もあります。パソコンスキルについて明確な記載がない場合は、職種から必要なスキルを判断するのがおすすめです。
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日本で就職する外国人に必要なパソコンスキル
日本企業への就職を目指す外国人は、一般的に必要とされるWord・Excel・PowerPointの操作スキルを身につけておきましょう。また、メール作成やファイル管理などの基本的なパソコンスキルも必要です。
Word
Wordの基本スキルは文書作成と文字入力です。ビジネス文書を作成する際は、適切な用紙サイズを選択して日付や宛名、差出人、タイトルを入力します。本文を書くにあたりフォントの大きさや種類、段落などの書式設定を行えるようにしましょう。また、表やグラフの挿入ができるとWordの基本スキルがあるといえます。
Excel
Excelでは、表やグラフの作成、足し算・引き算・掛け算・割り算などの四則演算、SUM関数やAVERAGE関数などの簡単な関数を使える程度のスキルが必要です。さらに、セルの結合や複数の関数の利用ができると業務に役立つでしょう。また、表のレイアウト調整や編集をスムーズに行うスキルも大切です。
PowerPoint
PowerPointで必要なスキルは、スライドの作成や画像・データの挿入などです。PowerPointは、プレゼンテーションを行う際に使うことが多いでしょう。口頭での説明に加えてさらに効果的なプレゼンテーションをするために、アニメーションを追加したりフォントの色や種類を変えたりするスキルも必要です。また、グラフィック機能を使用した画像編集もできるようにしておくと良いでしょう。
メール作成
日本で就職したい外国人は、正しい敬語や文法を使ってビジネスメールを作れるようにしましょう。TO・CC・BCCの使い分けや添付ファイルの縮小と拡大に関する知識も身につける必要があります。また、メールで送信できる写真のサイズを把握しておくことも大切です。どのような職種であっても、メールの送受信は基本的なパソコンスキルといえるでしょう。
ファイル管理
基本的なパソコンスキルには、ファイル管理も含まれます。ファイル管理とは、作成した文書やスライドを正しく保存して管理することです。PDFファイルであれば「pdf」Word文書であれば「doc」など、ファイルにはそれぞれ拡張子があります。拡張子ごとにフォルダにまとめてファイルを管理したり、ファイル名を分かりやすい名前に変更したりと、必要な資料をすぐに探せるように工夫しましょう。
就職活動でパソコンスキルをアピールできる資格
パソコンスキルに関する資格を取得していると、就職活動の際にアピールしやすいです。「Excelで関数を使用できる」「Wordで文書作成が可能」などでもパソコンスキルを伝えられます。しかし、資格名を答える方がより説得力があるでしょう。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)とは、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookなどの使用スキルを証明する資格のことです。MOSはオフィスで使用されることの多いソフトウェアの基本操作から応用まで学べる資格のため、取得しておくと就職活動の際に役立ちます。特に事務職では、Excelを使用した表やグラフの作成、Wordを使った書類作成などのスキルが必要です。入社前からMOSの資格を取得していると、入社後に即戦力として働けるでしょう。
MOSを受験する場合は、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookのなかから、受験科目を選べます。そのため、希望する職種が求めているパソコンスキルを把握したうえで、必要な試験科目だけを受けることが可能です。
日商PC検定
日商PC検定は、Wordを使用した文書作成やExcelでのデータ活用、PowerPointを使ったプレゼン資料作成のスキルを測る検定試験です。オフィスで使用する表計算や文書作成などの基本的なパソコンスキルに加えて、IT・ネットワークに関する知識やスキルに関する問題も出題されます。そのため、IT企業や関連企業への就職を目指す外国人におすすめです。
日商PC検定のレベルは、ベーシック・3級・2級・1級の4つに分けられています。ベーシックは、表計算ソフトやワープロソフトの基本的な操作ができるレベルです。ベーシックと比べて1級は、IT・ネットワークの知識を活かし、企業責任者として経営判断を行えるレベルとかなり難易度が上がります。また、ほかの級が択一式であるのに対して1級は論述式で答えなくてはなりません。日商PC検定を受験する場合は、履歴書や面接でアピールするためにより高いレベルを目指すのがおすすめです。
ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)
ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)は、ICT(情報通信技術)の活用能力を問う資格試験です。
1級から5級までのレベルがあり、パソコン初心者の人やICTを活用した企画・管理を行う人など、幅広い人のニーズに対応しています。特定のソフトウェアに関する試験ではないため、パソコンの基本操作や仕組み、情報処理などの知識を身につけたい人におすすめです。
P検の5級の試験は、公式サイトから無料で受けられます。試験内容は、コンピュータ知識や情報ネットワーク、情報モラルと情報セキュリティについてです。パソコン入門者向けの選択式テストで何度でも受験ができるため、P検の特徴を掴みたい人は試しに受けてみると良いでしょう。ただし、就職活動でP検の取得をアピールするには3級以上の取得が必要です。
VBAエキスパート
VBAエキスパートとは、ExcelやAccessのマクロ・VBAのスキルを証明する資格のことです。マクロはExcelやAccess上で処理を自動化させる機能を指します。VBAは、処理を自動化させるために開発されたプログラミング言語です。VBAエキスパートではマクロの読解や記述、VBAの文法や関数などの試験問題が出題されます。ExcelとAccessで試験が分かれていて、レベルはベーシックとスタンダードの2種類です。システムエンジニアやプログラマーを目指す人は、ExcelとAccessともにスタンダードのレベルを目指しましょう。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、ITに関する知識を証明できる資格試験です。AIやIoTなどの新しい技術や経営戦略・マーケティングなどの知識、ネットワークやセキュリティに関する知識などを問う試験問題が出題されます。ITの知識が必要なのは技術職を目指す人だと思いがちですが、実際には業種や職種に関係なく必要です。たとえば、顧客管理や生産管理などの業務はIT化されています。ITに関する知識がないと、顧客情報が漏洩してしまったり生産管理システムを理解できなかったりするでしょう。就職活動を行う外国人は、ITの知識を身につけるためにITパスポート試験を受験するのがおすすめです。また、ITパスポート試験は民間資格と比べ権威のある国家試験のため、就職活動を行う際にアピールしやすいでしょう。
サーティファイ資格検定試験
サーティファイ資格検定試験はITやプログラミング、Web、コミュニケーションなどビジネスに必要な知識やスキルを証明できる資格試験です。7分野26種類の試験科目があります。そのなかでも、就職活動を行う外国人がパソコンスキルをアピールしやすい資格は以下の4種類です。
Excel®表計算処理技能認定試験
グラフ作成やデータ集計、関数などの操作スキルを測定します。知識問題と実技問題があり、実技試験は素材データや分析表などの「完成物」を作成する出題形式です。実際に企業で働くと請求書やアンケート結果の集計、グラフや表の作成などの能力が求められるでしょう。Excel®表計算処理技能認定試験では、実務を想定した試験内容が出題されます。
Excel®ビジネススキル検定
Excel®ビジネススキル検定は、Excelの基本知識があり応用力を身につけたい人におすすめの資格試験です。スタンダードとエキスパートでレベルが分かれていて、スタンダートでは四則演算や関数の知識を活用してデータの集計を行ったり、提示されたデータからグラフを作成したりする能力を問う試験が出題されます。一方、エキスパートの出題内容は、数式を使ったデータ集計や集計結果を活用した分析などです。
Word文書処理技能認定試験
文書作成や表やグラフの挿入、印刷などの実用的なスキルを評価します。Word文書処理技能認定試験の目的は、Microsoft Wordを用いた文書作成スキルと業務への展開能力の認定です。1級から3級までのレベルがあり、3級は60分の実技試験のみ受けます。1級と2級の試験内容は、実技試験90分と知識試験15分です。
PowerPoint®プレゼンテーション技能認定試験
PowerPoint®プレゼンテーション技能認定試験は、プレゼンテーションのスライド作成のスキルを認定する試験です。アニメーションの設定や図形の挿入など、業務でプレゼンテーションスライドを作成する際に必要なスキルを測定します。実技試験の試験内容は、pptxファイルの作成です。パソコン上で出題される問題文を読み、指示やテーマに従い解答を提出します。
サーティファイ資格検定試験には、「Illustrator®クリエイター能力認定試験」や「Photoshop®クリエイター能力認定試験」もあります。グラフィックデザイナーやWEBデザイナーへの就職を希望する人は、資格取得を目指すと良いでしょう。
参照元 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験」
外国人が面接でパソコンスキルを伝える際のポイント
就職活動を行う外国人は、面接でパソコンスキルを聞かれたときに具体的なスキルを答えるようにしましょう。たとえば、使用できるソフトの種類や行える操作、パソコンを使う頻度などです。また、資格を取得している場合は、資格名とレベル(級)を伝える必要があります。伝え方として印象が悪いのは、「大体できます」「多分使用できます」などの曖昧な回答です。曖昧な回答をすると、「本当にパソコンスキルがあるのか」「適当に答えているのではないか」と採用担当者を不安にさせます。
パソコンスキルに自信がない場合は、ただスキルがないと伝えるのではなく勉強中であると伝えましょう。その際も、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)に向けて勉強中です」「Excelの表計算を独学で勉強しています」など、なるべく具体的な内容を答えるのがおすすめです。
「外国人が就活でよく聞かれる質問と回答例を紹介!面接時のマナーも解説!」では、覚えておきたいマナーについても解説していますので、併せてご覧ください。
外国人がパソコンのスキルアップを目指すには?
パソコンのスキルアップを目指すには、ソフトの基本操作を身につけて応用することが大切です。ここでは、Word・Excel・PowerPointの基本操作以上のスキルを紹介します。
基本的な操作方法を身につける
パソコンスキルを上げるために、まずは基本スキルとしてショートカットキーとブラインドタッチを身につけましょう。ソフトの種類や処理の内容に関係なく使えるスキルで、業務を効率化できます。ショートカットキーは種類が多いので、頻繁に行う処理のキーから覚えるのがおすすめです。ブラインドタッチは、タイピング練習ソフトを使用して徐々に慣れると良いでしょう。
ソフトの簡単な操作方法を覚える
ショートカットキーやブラインドタッチを身につけたら、ソフトの簡単な操作方法を覚えましょう。
前述したWord・Excel・PowerPointの基本スキルを身につける必要があります。Wordでは企画書や提案書などの文書作成、Excelでは簡単な関数や表作成、PowerPointではプレゼンテーション資料の作成などのスキルが必要です。
ソフトを使用してできることを増やす
ソフトの基本操作を覚えてよりレベルの高いスキルを習得すると、業務の幅が広がります。就職活動の際に高いパソコンスキルをアピールできれば、採用される可能性も高くなるでしょう。各ソフトごとの基本操作以上のスキルは、以下のとおりです。
Word
スキルアップを目指す人は、より長い文書の作成を目指しましょう。長い文書を作成する際は目次設定や罫線・表の挿入、セクション区切りの使用など多くのスキルが求められます。また、WordやExcelで作成した文書の宛名や住所だけを差し替えて印刷する「差し込み印刷」の知識も身につけましょう。さらに、業務を自動化させるWordマクロについても知っておくと、より効率的に業務を行えます。
Excel
Excelでは、難易度の高い関数や計算式を使いこなせると基本操作以上のスキルがあるといえます。比較的簡単な関数には「SUM関数」や「AVERAGE関数」がありますが、「ROUNDDOWN関数」「VLOOKUP関数」「IF関数」「COUNT関数」も使えると便利です。また、必要なデータを抽出したり並び替えたりするスキルもあると良いでしょう。
PowerPoint
スライド作成の基本操作以上のスキルは、音楽やビデオの挿入がスムーズにできることです。また、作成するスライドのテーマに合わせて、文字の書式や背景色を管理する「スライドマスター」を使いこなせると、PowerPointの使用スキルが高いといえます。さらに、SmartArtにある組織図やピラミッド図を活用できると、より分かりやすいスライドを作成できるでしょう。
ソフトの基本操作を覚えたら、より質の高い文書やスライドを作成したり、作業の自動化に関する知識を身につけたりして、パソコンのスキルアップを目指しましょう。
日本でパソコンスキルを活かせる仕事に就きたい方は「パソコンスキルに関する資格を日本で働きたい外国人向けに解説!」のコラムもおすすめです。
まとめ
日本の求人条件に記載されることの多い「パソコンスキル」は、一般的にWord・Excel・PowerPointのスキルを指します。また、メール作成やファイル管理などの基本的な知識も必要です。
就職活動を行う際は、パソコンスキルを証明できる資格を取得しておくと有利でしょう。目指す職種によって求められる能力が異なるため、自分に合った資格試験を受けて必要なパソコンスキルを身につけるのをおすすめします。