新卒採用を目指す外国人留学生のなかには、「履歴書の書き方が分からない」「志望動機や学生時代に取り組んだことって何を書けばいいの?」と悩む方もいるでしょう。このコラムでは、履歴書の基本項目の書き方や、自らのアピールポイントを書く際のコツと例文を解説します。外国人留学生が履歴書を書く際の注意点も紹介しているので、参考にして就職活動に活かしましょう。
目次
外国人留学生が履歴書の基本項目を書く際のポイント
ここでは、履歴書の基本項目の書き方を紹介します。履歴書には、企業側が尋ねたいことが項目としてあらかじめ印刷されているため、項目の内容を確認しながらポイントを掴みましょう。
日付
履歴書を提出する日、もしくは前日の日付を書きます。「年」は西暦と和暦のどちらでも問題ないですが、すでに「令和」と印刷してある場合は和暦で記入しましょう。また、履歴書のなかで西暦と和暦を統一する必要があります。日付を和暦で記入した場合は、学歴や職歴の欄も和暦で統一しましょう。
氏名
姓と名の間はひとマスほど空けてフルネームを記入します。ミドルネームを持っている方も同様に、空白を挟みましょう。崩れた文字や丸文字は避け、読みやすい字を意識して書くのがマナーです。ふりがなは、履歴書に「フリガナ」と書いてある場合はカタカナ、「ふりがな」と書いてある場合は平仮名で書きます。
住所
現在住んでいる住所を都道府県から書きます。番地やマンション名、部屋番号も忘れずに記入しましょう。親戚や友人の家に間借りしている場合は、「△△方」と付け加える必要があります。理由は、面接を受けた企業が応募者に電話をした際に、電話口にいる人が名乗った名字と履歴書に書いてある名字が違うと混乱を招くためです。「△△方」書くことにより、連絡の行き違いを防げます。
学歴
中学校を卒業した時点から記入します。基本の書き方は1行に1校です。「中学校卒業」「高等学校入学」「高等学校卒業」「大学・専門学校入学」「大学・専門学校卒業(見込み含む)」の順番で書きます。選考学部や学科も詳しく記入しましょう。
職歴
会社に勤務した経験がある方は、企業名と部署、在職期間などを書きます。海外企業での勤務やインターン経験がある場合も、必ず記入しましょう。グローバルな勤務経験は、新卒であってもアピールポイントに繋がります。履歴書の職歴には、正社員やインターン、契約社員の経歴を書くのが一般的です。基本的にアルバイト歴は記載しませんが、志望する業種や職種に役立つアルバイトであれば書いても良いでしょう。
資格や免許
母国や日本で取得した資格や免許を正式名称で書きます。TOEICやTOEFLは点数を書き、1級や2級といった「級」でランクが分けられている資格試験は、取得した「級」を記入しましょう。資格や免許を複数取得している場合は、志望する業種や職種に役立つものと運転免許証を優先的に書きます。なお、取得年月が古いものから順番に書いていきましょう。
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履歴書のアピール欄の書き方と例文
ここでは、新卒採用の履歴書のアピール欄の書き方と例文を紹介します。取り組んだ内容はもちろん、その経験から得たものを書くことも大切です。
クラブやサークル活動
クラブやサークル活動の内容を簡潔に書き、そこで何を得たのか、どのような社会貢献ができたのかをアピールします。リーダーやマネジメントなどの役割を担っていた人は、その経験も記入しましょう。
例文
「私は小学生の頃からダンスを習っており、大学ではダンスサークルに所属しました。3年生のときに部長に就任しましたが、ダンスサークルは人数が多かったため、全員が同じくらい踊れるように指導することに苦戦しました。しかし、焦らずに一人ひとりと向き合うことが大切だと思い、部長として全員の悩みや話を聞いてできるようになるまで指導しました。その結果、ダンスサークルの大会では優勝することができました。私は部長を経験したことから、どんな状況でも一人ひとりと向き合って話を聞くことが大切だと学んだため、仕事をするうえでも常に相手の話や考えを聞いて広い視野を持ちたいと思います。」
クラブやサークル活動の経験から得たことに加えて、仕事に活かせる内容を書いてアピールしましょう。
学生時代に取り組んだこと
外国人留学生は、留学期間中に頑張ったこととその経験から学んだ内容を書きます。また、母国で頑張っていたことを書くのも良いでしょう。
日本には、「協調性」を大切にする文化があります。スポーツや研究、インターンシップに打ち込むことで養った「コミュニケーション能力」や「チームワーク力」も、企業にとっては魅力です。
例文
「私が学生時代に力を入れたことは、約1年間行ったインターンシップです。私は、当時から営業職に興味があったため、営業を行う企業でインターンシップを行いました。インターンシップでは、日本のビジネスマナーやメールの送り方などの基本から、相手の要望を聞き出すヒアリング力、コミュニケーション能力などの営業職として必要なスキルを学びました。インターンシップで培った能力を活かして、顧客の気持ちに寄り添いながら御社の商品やサービスの魅力を伝えたいと思っています。」
学生時代に取り組んだことから身に付いたスキルが具体的に書いてあると、採用担当者は「採用したらどのように活躍してくれるだろう」とイメージしやすくなります。仕事で役に立つスキルや経験を書きましょう。
志望動機
志望する企業に対して感銘を受けたことや貢献したい気持ち、魅力を感じた点などを書きましょう。「貴社の将来性に強く惹かれた」という抽象的な表現ではなく、企業独自の事業に着目して具体的に書くのがポイントです。
例文
「私は旅行が好きで、休みの日は家族や友達と計画を立てて色々な場所へ行きます。自分が考えた旅行プランで多くの人に楽しんでもらいたいと思うようになり、旅行業界に興味を持ち始めました。御社が開発する旅行プランは、ほかの企業とは異なる珍しいプランや、あまり知られていない場所を観光できるプランが多くあるため、魅力を感じました。私は今までの旅行の経験や知識活かしながら、御社の数あるプランのなかからお客様が心から楽しめるプランを提案したいと思います。」
なぜその企業で働きたいのか、ほかの企業とどのような点が違うのかを具体的に書きましょう。また、志望する業界に興味を持った理由を明確にすると、熱意が伝わりやすくなります。
入社後の目標
個人的な目標だけではなく、入社後にどのように会社に貢献できるのかを書きます。また、「会社の△△な点を改善したい」と明確な目標を書くと、会社の課題を理解できていると判断されるでしょう。ただし、的外れな内容や会社を批判する内容は良くありません。しっかりと会社の方向性や事業内容を把握して、具体的な目標を書きましょう。
例文
「私は販売職として入社後、社内の売上実績1位を目指したいと思っています。学生時代にアパレル販売のアルバイトをしていた経験を活かし、お客様とのコミュニケーションを大切にして、御社の商品の魅力を多くの人に広めたいです。また、より高い接客スキルと商品知識を身に付けて、一度来店されたお客様に「もう一度あの人に接客をしてもらいたい」と思ってもらえるような販売員を目指します。」
「~のような販売員になりたい」や「~を大切にして働きたい」などの目標に加えて、具体的な数字を書くのがおすすめです。明確な目標を立てることで、向上心を持って仕事をする人だと判断されるでしょう。
自己PR
自分が得意なことや経験値が高いこと、知識が豊富なことを自慢にならない程度に書き、いかに企業へ貢献できるかを述べます。新卒であれば、今後の成長に期待をして採用されるポテンシャル採用の可能性もあるため、仕事に対する自分の意欲をアピールすると良いでしょう。
例文
「私の長所は、何事にも協調性を持って取り組めるところです。グループディスカッションの授業では、自分の意見や感情だけで発言するのではなく、周りの考えをしっかりと聞いてから発言するように心掛けていました。また、グループ内で意見の対立が起きないように、全員の考えをまとめて話を進める役割を担っていました。このことから、私はどんな場面でも冷静に周りの話を聞き、協調性を持って物事を進める力があります。仕事を行ううえでも協調性を大切にして、相手の求めていることを考えながら仕事を進めたいと思っています。」
自己PRでは、仕事で活かせる自分の能力とその根拠となるエピソードを書きましょう。具体的なエピソードを書くとより信憑性が増します。自己PR作成のポイントや、ほかの例文をチェックしたい方は、「新卒の就職活動では自己PRが重要!外国人留学生に向けて例文も紹介」もご覧ください。
外国人留学生が履歴書を書く際の注意点
ここでは、新卒採用を目指す外国人留学生が履歴書を書く際の注意点を紹介します。履歴書の書き方でビジネスマナーを守れる人かどうかを判断されるため、下記の内容に注意して書きましょう。
新卒用の履歴書を選ぶ
履歴書には多くの種類がありますが、必ず新卒用を選ぶようにしましょう。企業によっては、大学や企業独自の履歴書での提出を求めるところがあります。自分が志望している企業の募集要項を確認して対応しましょう。
手書きの際は修正テープを使わない
履歴書を手書きで書く際は、間違えた部分を修正テープで直さないようにしましょう。修正テープや修正液、修正ペンで書き直すのはマナー違反です。必ず新しい履歴書に書き直しましょう。また、記入ミスを減らすために、先に鉛筆で下書きをしてからペンで書くのがおすすめです。鉛筆を消す際は、ペンのインクがしっかりと乾いているのを確認してから消しゴムをかけてください。
誤字や脱字を確認する
履歴書を書き終えたら、必ず誤字や脱字の確認をしましょう。誤字・脱字があると、採用担当者に「仕事でもミスをしやすいのでは」と思われる可能性があります。誤字・脱字の確認作業は何度も行い、不安であればほかの人に見てもらう二重確認を行うのがおすすめです。
履歴書の控えを取っておく
自分が書いた履歴書は提出する前にコピーを取るか、携帯電話やPCなどで画像を保存しておきましょう。なぜなら、面接まで進んだ場合に履歴書に書いた内容について質問される可能性があるからです。何を書いたか覚えていないと答えられないため、面接前に読み返しておきましょう。
写真も履歴書のルールに沿ったものを用意する
履歴書には写真を貼る欄があるため、適切なサイズを確認して用意しましょう。一般的な履歴書の写真のサイズは縦4cm、横3cmです。もし、写真のサイズを間違えてしまった場合は、正しいサイズの写真を撮り直しましょう。履歴書で決められているサイズよりも小さかったり、大きくてはみ出してしまったりすると、いい加減な人だと思われる可能性があります。必ず履歴書のルールに沿った写真を準備しましょう。
上記のほか、履歴書にはマナーや注意点が多く存在します。「外国人留学生に向けて履歴書の書き方を解説!注意点やマナーを紹介」のコラムもあわせてチェックしておくと安心です。
まとめ
履歴書は、自分自身の良さをアピールする大切な書類です。日本の多くの企業では、書類審査を通過しないと採用に繋がらないため、魅力的な履歴書を作成する必要があります。志望動機や自己PRでは、具体的な志望理由やエピソード、仕事に活かせる能力などを書きましょう。