外国人留学生のなかには、日本で就職するという将来のビジョンを持つ方もいるでしょう。
しかし、日本の就活には独自のルールがあるので注意が必要です。
当コラムでは、日本での就職を希望している留学生に向けて、知っておきたい日本の就活事情を説明。
ルールや就活方法だけでなく、就職に対する考え方も海外と異なる点が多いため、しっかりと確認しておきましょう。
目次
外国人留学生は要確認!日本と海外の就活事情の違い
日本で就職を考えるなら、知っておきたいのが日本独自の就活ルール。
海外では、その人の持つ能力や経験、大学で行ってきた研究内容といった「個人のスキル」を重視する傾向が見られます。
そのため、経験の少ない新卒者は就職が難しく、在学中から積極的にインターンシップを行ったり、卒業後にボランティアとして働いたりしてスキルを身につける…というケースが一般的です。
一方、日本の就活で重視されているのは、人柄やポテンシャル。
そもそも日本では、大学などの最終学年生徒を対象に一斉に採用活動を行う「新卒一斉採用」が基本となっています。
新卒一斉採用の場合、海外のようにスキルを重視されることはほとんどありません。
企業側も「新卒=未経験」と理解しているため、採用時にはその人の人柄やポテンシャル、企業理念とのマッチングを重視する企業が多数。
経験の有無よりも、企業理念に近い考えを持っているか、採用したら長く働いてくれるかを重視されると言えます。
外国人留学生が日本で就活をする場合は、上記のような「日本と海外の就活事情の違い」を理解することが大切。
日本で就職する以上、高度なスキルを持っていたとしても、その企業の考え方にそぐわなかったり人柄に問題があると判断されたりすれば、採用されることは難しいでしょう。日本の就活事情に関しては、「外国人留学生が日本で就職する方法とは?採用されるコツを紹介」のコラムも参考になるでしょう。
ピックアップ記事
将来のビジョンを明確にするには
スキル重視の海外に比べ、人柄やポテンシャルを重視する日本の就活。
ただし、いくらポテンシャル採用とは言っても、仕事に対する熱意や意欲、企業の考え方とマッチするかという点も判断材料にされています。
応募者がどれだけ仕事に対する可能性を持っていたとしても、将来のビジョンを持っていない、考え方が企業と合っていないのであれば、企業側はマイナスイメージを抱くでしょう。
就活を成功させるには、以下の方法がおすすめです。
自己分析を行う
自己分析とは、自分のこれまでの経験や経緯を洗い出して「自分について分析する」こと。
これを行うことで、自分はどんな考えを持っているのか、どんなことが好きなのか、なにが得意なのかといった「自分に対する理解」が深まります。
自分に対する理解を深めれば、自分はなにが出来るのか、それらをどう仕事に活かすのかといった「就活や今後に対する方針」を定めることも可能。
さらに、外国人の場合はなぜ日本で働きたいのか、日本でなにを成し遂げたいのかといった点も明確にしておきましょう。自己分析についてより詳しく知りたい方は、「転職に役立つ自己分析の進め方とは?外国人に向けて分かりやすく解説!」のコラムをご覧ください。
業界・企業研究を行う
日本にはどんな業界があるのか、その業界にはどのような企業があるのかを調べるのが業界分析。
就職に対して明確な目標が立っていない場合は、業界分析から始めるのがおすすめです。
また、すでに興味のある職種や企業がある場合は、該当する企業の基本情報や理念、募集要項などを調べる企業研究を行いましょう。
就職したい企業を見つけたら、同業他社との違いを調べたりOB訪問を行ったりして「その企業でなければダメな理由」を明確化することが大切。
その企業ならではの特徴を見つけて就活に活かすのがポイントです。「企業研究のやり方を知りたい!外国人留学生が日本の企業に就職するために」や「業界研究のやり方を外国人留学生向けに解説!ノートのまとめ方も伝授」のコラムで、企業研究や業界研究のやり方を詳しく紹介しているので、参考にしてください。
将来のビジョンを固める
自己分析や企業・業界研究を終えたら、自分の理想とする将来像やキャリアビジョンが見えてくるでしょう。
それをもとに、入社後に成し遂げたいことや将来のビジョンを固めていきます。
具体的には「1年後」「5年後」10年後」のプランを作成するのが基本。
将来のビジョンは、志望動機や企業理念とあまりにも異なると「自社に適性がない」と判断されかねないため気をつけます。
日本の面接について
日本の就活では、最初にエントリーシートなどの書類選考と筆記試験が行われ、そのあとに複数回の面接が設けられています。
面接と一口に言っても個人面接や集団面接など複数の形式があり、形式によって進行や回答方法が異なるので注意しましょう。
個人面接
志望者(就活生)1人に対して、企業の採用担当者1人~2人ほどで行われる面接。
学生が1人なのですべての注目が集まり緊張しやすい状況ですが、しっかりと自分の気持ちや考えを伝えられるというメリットもあります。
集団面接
複数の志望者が同時に面接を受ける形式。
就活生3~5名、採用担当者1~2名がスタンダードのようです。
複数名が同時に面接を受けるため、1人あたりの持ち時間が短くなるのが特徴。限られた時間で最大限のアピールをする必要があります。
他者が回答しているときの態度を問われることも。ほかの就活生の意見にもしっかりと耳を傾けましょう。
グループディスカッション
就活生を4~8人ほどのグループに分け、与えられたテーマに対してディスカッションを行う面接形式。
採用担当者は1グループに対して数名が付き、グループ内で発言しているか、役割を果たしているかなどをチェックします。
プレゼンテーション型面接
就活生1名に対して採用担当者は2名ほどで、与えられたテーマに対するプレゼンテーションを行う形式の面接です。
テーマは企業によって異なり、事業内容を考えるといった業務的なものから自分の紹介などアピール的なものまでさまざま。
プレゼン内容だけでなく、話すスピードや立ち居振る舞いなどもチェックされるので注意しましょう。
また、すべての面接で見られているのか以下の4点です。
・第一印象
・人柄
・入社意欲
・適性
第一印象は、身だしなみや清潔感、言葉使いなどから判断されます。
どれだけ仕事ができたり高度なスキルを持っていたりしても、ビジネスに合わない身だしなみや言葉遣いでは第一印象が悪く、採用は難しいでしょう。
さらに、「学生時代に力を入れたこと」や「自分の長所・短所」といった質問から、応募者の強みや個性をチェックしていることも。
これらの質問を重ねることで人柄を判断している企業は多くあるようです。
面接だから、採用されたいから…と嘘を述べるのではなく、自分らしさを伝えることがポイントになるでしょう。
入社意欲は志望動機から判断されるのが一般的。
数ある企業のなかからなぜその企業を選んだのか、入社後のビジョンは持っているかという点が重視されるようです。
最後に、希望職種と実際の業務で違いがないか、そもそもその職種に適性はあるかといった仕事に対する適性がチェックされます。
大学の専攻と希望職種に関連性があるか、関連性がない場合はなぜその職種を選んだのかが判断のポイントになるようです。
就職活動する前に見直そう
外国人留学生であっても、日本で就職活動をする以上は日本語でのやり取りが基本となります。
就活はビジネスの場になるため、日常会話では使わない単語や言い回し、ビジネス用語に対する理解が求められることも。
就活を始めるまえに、自分の日本語レベルやビジネスにふさわしい言葉遣い、正しい敬語などをチェックしておくと安心です。
また、日本独自のビジネスマナーにも注意。
前項で触れた身だしなみや言葉遣いだけでなく、「無断で欠席しない」「時間を守る(5分前行動)」「内部情報を外部に漏らさない」といったものが挙げられます。
母国では当たり前だったことが日本では禁止だった…ということも起こり得るため、気をつけましょう。日本のビジネスマナーについては、「日本特有のマナーとは?外国人に向けて食事や仕事のときのルールを紹介」や「外国人必見!マナーを知って日本での転職を成功させよう!」のコラムでご確認いただけます。
「自分の専門分野」について語れるようにしておくことも大切。
なにを勉強してきたかを面接で問う企業は多くありますが、大学名と学部学科名だけでは不十分です。
勉強してきた分野や身につけたスキルを具体的かつ、誰にでも分かる言葉で説明できるよう準備しておきましょう。