学費や生活費のためにアルバイトを検討している外国人留学生のなかには、賃金相場や最低賃金が気になる人もいるでしょう。そこで、このコラムでは外国人留学生の賃金相場や収入を得るのにおすすめのアルバイトを紹介します。日本の最低賃金は外国人留学生にも適用されるので、不当な雇用契約を交わされないように、労働者の権利や法律の知識を身に付けてアルバイト先を探しましょう。
目次
- 外国人留学生のアルバイトにも最低賃金法が適用される
- 外国人留学生のアルバイトにおける賃金
- 外国人留学生がアルバイトを行う際の注意点
- アルバイトを行う外国人留学生の権利
- 外国人留学生におすすめのアルバイト
- まとめ
外国人留学生のアルバイトにも最低賃金法が適用される
最低賃金法は日本で働くすべての人に適用されるので、アルバイトで働く外国人留学生も対象に含まれます。ここでは最低賃金について確認してみましょう。
アルバイトの外国人留学生にも関係する最低賃金とは
最低賃金とは、国が定めた労働者に最低限支払わなければならない賃金です。最低賃金よりも低い賃金で人を雇ったり、働かせたりするような雇用契約は法律上無効になります。しかし、悪質な雇用主の場合は外国人留学生が日本の法律に明るくないのをいいことに、最低賃金以下で雇用しようとすることもあるので注意しましょう。アルバイトに応募するときや雇用契約を結ぶときは、最低賃金が守られているか確認するのが重要です。
2種類の最低賃金
最低賃金には都道府県ごとに異なる地域別最低賃金と、特定の産業に設定されている特定最低賃金の2種類があります。地域別最低賃金は、地域ごとの物価の違いを考慮したうえで各都道府県ごとに定められるものです。就業形態や職種の区別なくすべての労働者に適用されるため、アルバイトを予定している外国人留学生は、居住地の地域別最低賃金を参考にしましょう。具体的な賃金の例を挙げると、2020年10月1日時点での東京都の最低賃金は、1時間あたり1,013円です。地域別最低賃金は毎年10月に改定されるので、最新の情報をチェックしましょう。
特定産業最低賃金は鉄鋼業や電子部品製造など、地域別最低賃金より金額水準を高くする必要がある産業に適用されます。2種類の最低賃金が適用される場合は高い方を支払うと決められているので、特定産業でアルバイトするときは雇用契約書をよく確認しましょう。
参照元 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
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外国人留学生のアルバイトにおける賃金
ここでは、独立行政法人日本学生支援機構が実施した「令和元年度私費外国人留学生生活実態調査」をもとに、外国人留学生の賃金相場を紹介します。
アルバイトを行う外国人留学生の81.8%は、1時間あたりの賃金が800円以上1,200円未満です。さらに細かく見ると、1時間あたりの賃金が800円以上1,000円未満の外国人留学生は 36.6%で、1,000円以上1,200円未満が45.2%となっています。地方や住宅街よりも人が集まる都心、繫華街などのほうが賃金が高めに設定されているので、アルバイト先を決めるときは立地にも気を配りましょう。また、同じアルバイトでも日中より割増賃金になる深夜の時間帯のほうが高時給を得られます。効率的に収入を増やしたい外国人留学生は、深夜帯のアルバイトを選びましょう。
アルバイトの平均賃金が気になる方には「外国人留学生のアルバイト事情!時給は平均いくら?」のコラムもおすすめです。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「令和元年度私費外国人留学生生活実態調査」
外国人留学生がアルバイトを行う際の注意点
外国人留学生が持つ在留資格「留学」は日本で勉強を行うためものなので、アルバイトを始めるには資格外活動許可を受けなければなりません。資格外活動許可の申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行えます。申請に必要な申請書は、受付窓口や出入国在留管理庁のWebページで入手しましょう。記入する内容はパスポートや在留カードの情報も含まれるので、必ず手元に用意してください。また、資格外活動許可が下りるまで2週間から2カ月掛かるので、アルバイトを始めたい外国人留学生は早めの申請をおすすめします。
アルバイトが出来るようになっても、外国人留学生は働ける時間が週28時間までです。風俗営業に当てはまるゲームセンターやバー、キャバレーなどでのアルバイトは禁止されているので、誤って働かないように注意しましょう。もし、ルールを破ってしまうと不法就労とみなされ、退去強制や出国命令といった罰則を受けます。
アルバイトできる時間の上限や違反した場合の罰則は、「外国人留学生のアルバイトには時間制限がある!上限を超えた場合の罰則とは」でチェックできます。しっかりルールを守ってアルバイトをはじめましょう。
アルバイトを行う外国人留学生の権利
日本でアルバイトを行う外国人留学生は、日本人と同じように最低賃金法と労働基準法が適用されます。最低賃金法は上記で述べた通りの内容で、労働基準法は労働条件に関する内容をまとめている法律です。具体的には、雇用主は従業員の労働時間が6時間の場合は45分、8時間で1時間以上の休憩を与えなければならないというルールがあります。ほかにも夜22時から朝5時は深夜労働のため、雇用主は従業員に対して通常の賃金の25%増の給料を払わなければなりません。
労働基準法や最低賃金法は国籍や就業形態にかかわらず適用されるので、アルバイト先で不審に思うことがあれば、出入国在留管理官署に相談してみましょう。
外国人留学生におすすめのアルバイト
ここでは、外国人留学生におすすめのアルバイトを紹介します。アルバイト先を決める際は通勤時間や勤務時間、得られる賃金などの情報を総合的に判断して、働きやすい職場を見つけましょう。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは住宅街にも繫華街にもあるため、通いやすい範囲でアルバイトできるのが魅力です。ほとんどのコンビニエンスストアは24時間営業のシフト制勤務なので、自分のスケジュールに合わせて働けるのもメリットといえるでしょう。主な仕事内容はレジ打ちや商品の陳列・補充、宅急便の受付など多岐にわたります。最初は仕事量の多さに驚くかもしれませんが、慣れれば効率的に動けるようになり、アルバイトを辞めたあともテキパキ動けるスキルが身に付くでしょう。
外国人留学生がコンビニエンスストアでアルバイトするには、日本語での会話スキルやコミュニケーション能力が欠かせません。日本語を上達させたい外国人留学生には、コンビニエンスストアでのアルバイトがおすすめです。
飲食店
居酒屋やファストフード店、カフェなどの飲食店でのアルバイトも外国人留学生におすすめです。飲食店にはジャンルによって営業時間や店内の雰囲気、賃金などが異なるため希望条件に沿ったアルバイト先が探しやすいでしょう。また、仕事内容も接客や食事の提供を行う「ホール」と、調理や皿洗いを行う「キッチン」に分かれて働くのが一般的なので、自分に合った働き方を選びやすいのも魅力です。
飲食店のアルバイトは仕事内容がある程度決まっているため、基本的な日本語でのコミュニケーションができれば、外国人留学生でも問題なくアルバイトできます。
ホテル
日本語能力に自信があり、母語も生かして働きたい外国人留学生には、ホテルでフロント業務のアルバイトを行うのがおすすめです。海外からの観光客が多い地域では、日本語以外の言語が話せる人材が重宝されています。言葉遣いや礼儀作法の研修はほかのアルバイトと比べて厳しいようです。しかし、その分賃金が高いうえ、アルバイトを辞めても役立つスキルが身に付きますす。
宿泊客と話す機会も多いので語学力の向上を目指したり、コミュニケーション能力を磨いたりしたい外国人留学生は、ホテルでのアルバイトも視野に入れてみましょう。
語学関係
語学力を生かして翻訳や家庭教師、語学教師のアルバイトを行う外国人留学生もいます。母語に対する正しい知識があるのはもちろん、発音や知識を教えるために、ある程度の日本語能力も必要です。メジャーなアルバイトではないので、コンビニエンスストアや飲食店に比べて求人の数は少なくなりますが、語学力に自信がある外国人留学生は挑戦してみても良いでしょう。語学教師や家庭教師、翻訳などのアルバイトは短時間の勤務が可能で賃金が高い求人も多いので、効率的に収入を得たい外国人留学生にもおすすめです。
まとめ
外国人留学生のアルバイトにおける賃金相場は、2019年時点で800円以上1,200円未満です。アルバイトの賃金は、働く地域や時間帯によって左右されるので、自分のスケジュールに合わせて無理のない範囲で働きましょう。アルバイトを始めてから後悔しないように、自分の日本語能力に合わせて仕事を選ぶのも大切です。また、外国人留学生も労働基準法や最低賃金法が適用されるので、不当に賃金を下げられたり長時間労働させられたりするときは、出入国在留管理官署に相談しましょう。