日本の苗字は何種類ある?珍しい読み方20選も紹介

WeXpats
2023/03/29

日本の苗字は、同じ漢字でも読み方が異なったりルーツが違ったりすることがあります。日本の苗字に関心があり、「日本の苗字は何種類ある?」「1番多い苗字は?」と気になっている方もいるでしょう。このコラムでは、日本の苗字の種類や読み方を紹介。日本の苗字の成り立ちや広まった時期についても解説します。日本の苗字について詳しくなりたい方は、ぜひチェックしてみましょう。

目次

  1. 日本の苗字とは
  2. 日本で苗字の使用が義務付けられたのは明治時代
  3. 日本に多い苗字
  4. 日本の珍しい苗字20選
  5. まとめ

日本の苗字とは

日本の苗字とはの画像

日本の戸籍を持っている人には苗字(名字)と名前があり、個人を表す記号として幅広い場面で使われています。現在では当たり前のように使われている苗字ですが、使用が義務付けられるようになってから2世紀も経っていません。ここでは日本の苗字とはどのように生まれたのか、以前使われていた制度は何かを解説します。

日本で苗字が生まれたのは平安時代

平安時代の終わりごろ、公家と呼ばれる貴族や武士が自分たちの身分や所属、所有する土地をはっきりさせるために名乗ったのが苗字の始まりです。平安時代の貴族は自らの屋敷がある土地の地名から代々受け継がれる家名を決めており、いつからかその呼び名を苗字として名乗るようになったといわれています。当時の貴族はおおざっぱな区分で分けられていたため、人数が増えるにつれてお互いの区別がつかなくなり、身分を表すために苗字を使用するようになったようです。

武士も同じように身分を明確に区別するのが難しくなったため、自然と苗字を使うようになったといわれています。武士の場合は自分の領地や名田を明確にし守るという目的があったため、地名を苗字として名乗ることが多かったようです。

苗字が生まれる前は氏姓制度が存在した

日本に苗字が生まれる前は、身分や所属をはっきりさせるために氏姓制度が使われていました。昨今では氏・姓どちらも苗字という意味で使われていますが、氏姓制度では異なります。

「氏」は氏族という血縁関係にある集団を表し、それぞれ王権における役割が決まっているのが特徴です。なお、氏は天皇から与えられることもあります。一方で、「姓」は天皇から授かる称号のことです。戸籍制度の運営にあたってほとんどの階級に氏姓が与えられたため、身分制度の整理を行うために姓が生まれました。氏は血縁関係にある集団の総称で姓は天皇が与えた称号のため、苗字とは意味が異なるものです。また、氏や姓はバリエーションが少なく、次第に身分制度としての機能を失っていったため、現在では身分を表すために苗字が使われています。

現在の日本の苗字は約10~30万種類

氏姓制度が使われなくなったあと、日本全国に広まった苗字の数は10~30万種類にも上るといわれています。苗字の数の振れ幅が大きいのは、現在に至るまで公的なデータが残されていないからです。苗字を名乗る文化は公家や武家から始まり、次第に農民や商人といった庶民にも浸透しました。当時は誰でも自由に苗字を名乗れたため、現在の日本に残っていないものもあった可能性があります。また、同じ漢字で読み方が違ったり、字体が違ったりする苗字をどう数えるかによっても数が異なるので、正確なデータを出すのは難しいようです。

日本で苗字の使用が義務付けられたのは明治時代

日本で苗字の使用が義務付けられたのは明治時代の画像

現代のように日本で苗字を名乗ることが義務付けられたのは、明治時代になってからです。平安時代に公家や武家を中心に広まった苗字は、戦国時代以降は支配階級や特権階級の人を除いて公に名乗ることを禁止されるようになりました。庶民でも非公式に苗字を持つ人はいましたが、法的に認められたのは幕末に明治維新がおこり、近代化政策が進められてからになります。

平民苗字許可令の公布

1870年9月に明治新政府が公布した「平民苗字許可令」によって、公家や武家の出身ではない人も公に苗字を名乗ることを認められました。とはいえ、長い間苗字を名乗ることを許されなかった庶民は「何か裏があるのでは?」「苗字を持つことで課税されるかも…」と考え、届出を行わない人が多かったようです。

日本全体に苗字が普及したのは1875年から

1875年2月に「苗字必称義務令」が出たことで、すべての人に苗字の使用が義務付けられました。平民苗字許可令の公布後、戸籍法の制定や氏姓の廃止、複名・改名の禁止などを行っても苗字が普及しないため、苗字必称義務令が出されたのです。明治時代に法令が整えられたことですべての国民が公的な苗字を持つことになり、現在も身分を表す記号として広く使われています。

日本に多い苗字

日本に多い苗字の画像

日本の苗字に関する公的なデータは発表されていません。しかし、日本の苗字を研究している学者の調査や一般企業が公表しているランキングでは佐藤や鈴木、田中、高橋などが多いとされています。先述したように、日本の苗字は地名や身分、所属などから決められることが多いです。そのため、平安時代に勢力が大きかった「藤原氏」が起源とされる佐藤や斎藤、加藤など「藤」の字が入った苗字もあります。祖先が農民の場合、農村の地名を由来とする田中や吉田、山田といった「田」の字を使った苗字の日本人も多いようです。

日本の珍しい苗字20選

日本の珍しい苗字20選の画像

日本の苗字のなかには、日本人でも読めない特殊な読み方をするものや世帯数が少ない珍しいものまで様々な種類があります。以下はその一例です。

  • 小鳥遊(たかなし)
  • 御手洗(みたらい・みたらし)
  • 月見里(やまなし)
  • 百目鬼(どうめき)
  • 四月一日(わたぬき)
  • 英(はなぶさ)
  • 毛受(めんじょう・めんじゅ)
  • 塩(しお・えん)
  • 白髪(しらが・しらかみ)
  • 文字(もんじ・もじ)
  • 和歌(わか)
  • 鴇(とき)
  • 水溜(みずたまり・みずため)
  • 百足(むかで・ももたり)
  • 八月一日(ほずみ・はっさく・やぶみ)
  • 法華津(ほけつ・ほかつ・ほけづ)
  • 燕(つばめ)
  • 御薬袋(みない・みなえ)
  • 可愛(かわい)
  • 賣井坂(うるいざか・うりいざか)

日本の苗字のなかには、漢字のとおりに読まないものもあります。たとえば、小鳥遊は「鷹がいないから小鳥が遊べる」でたかなし、四月一日は「防寒着に詰めた綿を4月1日に抜く」からわたぬきと読むようです。なお、このような珍しい苗字は特定の地域に集まっている傾向にあります。

まとめ

まとめの画像

日本で苗字を名乗るようになったのは平安時代の終わりごろです。また、明治時代からは全国民が苗字を持つことを義務付けられました。日本の苗字の数に関する公的なデータはないものの、約10~30万種類はあると考えられています。

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