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介護業界で働く外国人の増加を実感している方もいるのではないでしょうか。介護の現場で働ける専門的な在留資格は4種類あり、そのうちの一つである「特定技能」を取得して働く外国人の割合が年々増加しています。在留資格「特定技能」を持つ外国人(特定技能外国人)は、基本的な介護知識と日本語能力を有している人材なので、雇用しやすいでしょう。
この記事では、介護分野で特定技能外国人を雇用する方法を紹介。行える業務や募集方法についてもまとめています。即戦力となる人材を安定的に受け入れ、人手不足を解消しましょう。
目次
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出入国在留管理庁の公表によると、特定技能制度を利用して介護士として働く外国人は2023年12月末時点の速報値で2万8462人でした。今後もさらに増加が見込まれており、外国人介護士を受け入れる際の主軸の制度になると予想されています。
外国人介護士の受け入れを検討するために、まず特定技能制度とはどのようなものなのかを知っておきましょう。
特定技能は、人材不足の業界で外国人雇用を促進するために2019年に創設された制度です。それまで日本の外国人労働者の受け入れは、「専門的な知識や技能を持った人材の受け入れ」や「開発途上国への技能移転」などを目的に行われていました。
しかし、実情としては少子高齢化による労働人口減少の影響で、人材不足を解消するために外国人労働者を雇用しているケースが多々あります。
特定技能制度は、このような実際の需要と制度上のギャップを埋めることを目的に作られました。
日本語と技能の試験に合格した外国人には在留資格「特定技能」が付与され、該当の分野で単純労働を含む幅広い業務に従事できます。学歴や実務経験は問われないため、ほかの在留資格よりも取得が容易なのが特徴です。
とはいえ、一定のスキルが担保されている人材なので、全くの未経験者を雇用するよりも受け入れやすいでしょう。
関連記事:「外国人労働者が多い職種ランキング!在留資格ごとの解説も」
特定技能制度を利用して外国人を雇用できるのは「生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(特定産業分野)」に限られます。特定産業分野に定められているのは、介護を含めた以下の職種です。
さらに、2024年6月の閣議決定により「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」も、特定産業分野に追加されました。
介護分野は「飲食料品製造業」と「工業製品製造業」に次いで、3番目に特定技能外国人の受け入れが多い分野になっています。
在留資格「特定技能」には1号と2号があり、それぞれ働ける期間が異なります。
最初に付与される「特定技能1号」は、最長で5年間日本での就労が可能です。その後、移行試験に合格し「特定技能2号」に在留資格を変えると、無期限で在留資格を更新できます。
ただし、介護分野を含めた一部の分野は制度上特定技能2号に移行できません。特定技能制度を利用して来日した外国人が引き続き介護士として働くためには、介護福祉士の資格を取得して在留資格を「介護」に変更する必要があります。
参照元 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人は、雇用後すぐに人員配置の人数の対象になるうえ、夜勤も行えます。ただし、制度上禁止されている業務もあるので、どのような作業を任せられるのかを確認しておきましょう。
特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人が行える主な業務は、身体介護および支援業務です。
身体介護は、食事介助や入浴介助、排せつの介助など全般を行えます。加えて付随するレクリエーションの実施やリハビリテーションの補助などへの従事も可能です。
また、同じ仕事をする日本人が通常行うであろう関連業務も、メインの業務に付随するかたちであれば行えます。具体的には、掲示物の管理や物品の補充などです。ただし、これらの関連業務のみを行うことは許可されていません。
在留資格「特定技能」を持つ外国人は、雇用直後から一人で夜勤対応が可能です。よく比較対象になる在留資格「技能実習」では、「日本人介護士と複数で行う」や「2年目以降から行う」などの条件付きで夜勤が許可されています。
実際のところ、特定技能外国人が入職後すぐに夜勤の独り立ちをするのは難しい場合もあるでしょう。しかし、教育をしっかり行い、状況が整えばどのタイミングからでも夜勤に入れるため、人手が足りていない施設や事業所も雇用しやすい人材といえます。
2024年9月末時点では、在留資格「特定技能」を持つ外国人介護士は訪問介護サービスに従事することはできません。しかし、介護業界の人手不足は訪問介護の現場で特に顕著になっています。
このような状況を鑑みて、厚生労働省の有識者検討会は「特定技能」「技能実習」「EPA介護福祉士候補者」の在留資格を持つ外国人が訪問系サービスに従事することを大筋で了承しました。
2025年度からの実施を目指し、今後詳細が整えられる予定です。
参照元 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領ー介護分野の基準についてー」
出入国在留管理庁の公表によると、特定技能の在留資格で介護士として働く外国人に多い国籍は以下のとおりでした(2023年12月末速報値)。
特筆すべきは、特定技能制度を利用して介護職に就くインドネシア人の多さです。
厚生労働省の発表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によると、2023年10月末時点での外国人労働者全体の人数はベトナム人が51万8364人、対してインドネシア人は12万1507人と開きがあります。にも関わらず、特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人の数はたったの526人しか変わりません。
以上のことから、特定技能制度で介護士として働いているインドネシア人の割合が非常に高いことが分かります。
インドネシアは「お年寄りを敬う」「人を助ける」といった価値観を大切にしている国です。福祉や介護に関する職種にポジティブな印象を持っている人が多く、特定産業分野のなかから介護分野が選ばれやすい傾向にあります。
参照元 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和5年12月末現在)概要版」 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
介護分野では「特定技能」のほかに、「介護」「EPA介護福祉士候補者・介護福祉士」「技能実習」の在留資格で勤務が可能です。
EPA介護福祉士候補者・介護福祉士 |
介護 |
技能実習 |
特定技能 |
|
制度の目的 |
国際連携の強化 |
専門的な介護技術を持った外国人材の受け入れ |
開発途上地域出身の外国人への技能移転 |
人材不足への対応 |
国籍 |
・インドネシア |
制限なし |
制限なし |
制限なし |
配偶者・子どもの帯同 |
介護福祉士の国家資格取得後から可能 |
可能 |
不可 |
不可 |
在留期間 |
・原則4年(条件を満たせば5年) |
制限なく更新可能 |
最長5年 |
最長5年 |
目安となる日本語能力 |
・インドネシア、フィリピン:JLPTのN5相当 |
JLPTのN2相当 |
・入国時:JLPTのN4相当 |
・JLPTのN4相当 |
関係機関 |
公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS) |
なし |
・監理団体 |
登録支援機関 |
従事できる業務 |
・事業所の形態に制限あり(訪問系サービスは不可) |
制限なし |
訪問系サービス以外 |
訪問系サービス以外(2025年度を目途に、制度改定予定) |
受け入れ人数枠 |
原則1ヶ国につき2名以上5名以下 |
制限なし |
常勤介護職員の総数や在留資格(1号~3号)の種類によって決まる |
常勤介護職員の総数が上限 |
配置基準への算入 |
JLPTのN2以上に合格している、もしくは受け入れ企業が問題ないと判断すれば雇用後すぐに含められる |
雇用してすぐに含められる |
JLPTのN2以上に合格している、もしくは受け入れ企業が問題ないと判断すれば雇用後すぐに含められる |
雇用してすぐに含められる(6ヶ月間、安全性を確保するための取り組みを実施することが条件) |
夜勤 |
・国家試験合格前:JLPTのN2以上取得、もしくは雇用後6ヶ月経過すれば可能 |
可能 |
条件付きで可能 |
可能 |
異動 |
・国家試験合格前:原則不可 |
可能 |
必要だと認められた場合のみ可能 |
可能 |
転職 |
・国家試験合格前:原則不可 ・国家資格取得後:在留資格を「介護」に変更すれば可能 |
可能 |
原則不可 |
可能 |
比べてみると、在留資格「特定技能」は比較的制限が少ないことが分かります。比較的採用しやすく、幅広い業務を任せられるバランスの良い人材といえるのではないでしょうか。
以下でそれぞれの特徴を紹介するので、特定技能との違いを比較してみましょう。
在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した外国人に付与されます。取得するルートは、「介護福祉士養成施設で2年以上学んでから介護福祉士の資格を取得する」もしくは「ほかの在留資格で実務経験を3年以上積み、介護福祉士の資格を取得する」の二通りです。特定技能からの移行は後者に当たります。
※2017年4月~2027年3月までに養成施設を卒業している外国人は、国家試験に合格していなくても介護福祉士の資格取得者として扱われる経過措置の対象です。卒業後5年以内に国家試験に合格するか、5年間連続して実務に従事することでその後も介護福祉士資格を保持でき、在留資格「介護」で在留できます。
養成施設での学習や実務経験から高い専門性を身に付けており、夜勤や訪問介護サービスへの従事も可能です。
在留資格「特定技能」との大きな違いとして、在留資格「介護」には更新回数の制限がありません。長期的に日本で働き続けられ、将来的には永住者となる道もあります。
在留資格「特定技能」には5年という在留期限が設けられているため、引き続き日本で介護士として就労するには介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格を「介護」に変更する必要があるのです。
外国人が介護福祉士の国家資格を取得するのは簡単なことではありません。その難関を突破しているため、優秀な人材が多いのが特徴です。ほかの外国人の教育係をしたりケアマネジャーを取得したりする人もいます。
在留資格「特定活動」は行う活動によって種類が異なり、そのうち「EPA介護福祉士候補者・介護福祉士」の2種類は介護士としての従事が許可されています。
EPA介護福祉士候補者とは、経済連携協定に基づいて日本の介護施設で働きながら介護福祉士を目指す外国人のことを指します。協定を結んでいるフィリピン、インドネシア、ベトナムからのみ受け入れ可能です。
母国で学歴や資格の条件を満たしたあと、各国ごとに定められた日本語能力の基準に合格した外国人がEPA介護福祉士候補者として入国できます。その後、日本での研修を終えたあとに介護事業所での就労が可能です。
4年間(条件を満たせば1年延長)のうちに、介護福祉士の国家資格に合格できれば特定活動「EPA介護福祉士」に在留資格が変更でき、日本で引き続き働けます。
介護福祉士の資格を取得するまでは、介護保険施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイで勤務します。資格取得後は、条件を満たした事業所の訪問系サービスへの従事も可能です。
2024年度の介護報酬改定により、EPA介護福祉士候補者も施設側が能力的に問題ないと判断すれば、雇用直後から人員配置に含められるようになりました。これまでの制度では、日本語能力試験N2以上に合格していない場合、雇用後6ヶ月間は人員配置に含められなかったため、より受け入れやすくなったといえるでしょう
在留資格「特定技能」との違いとしては、受け入れ国が限定されている点が挙げられます。また、経済連携協定のもとしっかりとした仕組み作りがされており、雇用する際には、必ず調整機関である「公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)」を通さなくてはなりません。
開発途上地域の人材育成を目的とした「技能実習制度」でも、外国人介護士の雇用が可能です。在留資格「技能実習」を取得した技能実習生は、施設と雇用契約を締結し働きながら介護技術を学びます。
技能実習生が従事できるのは訪問系サービス以外です。夜勤は「技能実習生以外の職員も配置する」「2年目以降から始める(努力義務)」などの条件を満たせば行えます。
EPA介護福祉士候補者同様、技能実習生も2024年度の介護報酬改定で能力的に問題がなければ、雇用直後から人員配置に含められるようになりました。
在留資格「技能実習」は、1号から3号の種類があります。入国時は「技能実習1号」で、1年から2年ごとに試験を受けて合格すれば、2号・3号へと移行することが可能です。3号まで移行できれば、最長5年間日本で働けます。
技能実習の期間修了後も、介護福祉士の試験に合格して在留資格「介護」に移行する、もしくは「特定技能」に移行するといった方法で、同じ施設で働き続けることが可能です。
技能実習と特定技能の大きな違いは、制度の目的。技能実習制度は「開発途上国の人材育成」が目的なのに対し、特定技能制度は「人材不足の解消」が目的とされています。
また、技能実習制度は適切な制度運用がされているかどうか、関係機関からの監査や訪問指導が細かく入るのも特徴です。特定技能制度のほうが、より事業者側に委ねられている部分が大きいといえるでしょう。
なお、技能実習制度は2027年までに廃止が決定しており、新たに「育成制度」が創設される予定です。
参照元 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」 厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」 外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組」 公益社団法人国際厚生事業団JICWELS「EPAに基づく介護福祉候補者受入れの手引き」
外国人が特定技能「介護」の在留資格を得るには、日本語および技能を測る試験の両方に合格する必要があります。
特定技能の在留資格を得るには「国際交流基金日本語基礎テスト」で合格点を得る、もしくは「日本語能力試験」のN4レベル以上を取得する必要があります。どちらも、問われるのは基本的な日本語を理解できる能力です。
さらに、介護分野の場合は「介護日本語評価試験」への合格も求められます。介護日本語評価試験で測られるのは「介護現場で介護業務に従事するうえで支障のない程度の日本語能力」です。
試験問題は、「介護の言葉」「介護の会話・声掛け」「介護の文書」から構成されています。
介護技能評価試験では、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルかが測られます。これは、技能実習2号修了相当の水準です。つまり、介護技能評価試験の合格者は、3年間施設や事業所で実務経験を積んだ技能実習生と同等のレベルを有していることになります。
試験の種類は、学科試験および写真などを見ながら正しい判断や判別ができるかを確認する実技試験の2種類です。
介護技能評価試験は、介護の基礎知識を問う問題が出されます。例えば、下記のような問題です。
問題例①:右片麻痺があり、杖を使っている人の移動の基本的な介護として、適切なものを一つ選びなさい。
A.介護者は右前方に立つ。
B.介護者は右後方に立つ。
C.介護者は左前方に立つ。
D.介護者は左後方に立つ。
問題例②:コミュニケーションに関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。
A.常に大きな声で話しかける。
B.わからない話は、黙っている。
C.相手の表情を見ながら話を聞く。
D.身振りや手振りを使わないようにする。
参照元 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」 国際交流基金日本語基礎テスト「JFT-Basicとは」 日本語能力試験公式ウェブサイト「日本語能力試験とは」
特定技能「介護」を持つ外国人を雇用できる施設は、以下のとおりです。なお、2025度以降に訪問系サービスへの従事が認められれば、対象施設は大幅に増加するでしょう。
引用:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」
受け入れ対象の施設は以下の条件を満たせば、特定技能外国人を雇用できます。
一見すると難しそうに思えますが、定められたルールに沿って雇用すれば、容易にクリアできる要件です。
支援計画のもと行う支援は「出入国時の送迎」「生活オリエンテーション」「日本人との交流促進」など多岐にわたります。支援計画の実施については、弊社が運営する「レバレジーズグローバルサポート」をはじめとした登録支援機関へ委託することも可能です。
参照元 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」 出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
特定技能「介護」を持つ外国人を募集するには、以下の4つの方法があります。それぞれ雇用方法が異なるので、確認して自社に相応しい方法を選びましょう。
海外で日本語と技能の試験に合格し、在留資格「特定技能」を得る条件を満たした外国人を募集する方法です。外国人が求人を見て直接応募してくるケースもありますが、人材紹介会社を利用するとよりスムーズに採用が進むでしょう。
雇用したい外国人が決まったら、雇用契約を締結します。その後、海外にいる外国人の代わりに施設の担当者が在留資格を取得するための手続き(在留資格認定証明書交付申請)をするのが一般的な流れです。
申請時には各種書類のほか支援計画書も提出する必要があるため、支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合は依頼先をあらかじめ選んでおき、契約を交わしたうえで作成しましょう。
在留資格認定証明書が交付されたら、外国人に郵送または電子メール(PDF)で送信します。外国人は在留資格認定証明書を用いて日本国大使館・総領事館で査証(ビザ)を発給し、日本に入国するのです。
入国後は受け入れ施設もしくは登録支援機関の行う入国後オリエンテーションを受けてもらい、完了したら業務を開始できます。
介護福祉士養成施設で学んでいる留学生を対象に、求人を出す方法もあります。
介護福祉士養成施設で学んでいる留学生は、介護福祉士の国家資格に合格し、卒業後に在留資格「介護」を取得することを目指している人がほとんどです。ただし、介護福祉士養成施設の修了者は試験免除で特定技能の在留資格を得られます。そのため、「介護」ではなく「特定技能」の在留資格に切り替える留学生もいるのです。
学校を通しての求人は安心感もあり、応募も集めやすいでしょう。ただ求人を出すだけでなく、特定技能評価試験の対策講座の講師派遣などを通して、学校側と関係を作ることもできます。
また、留学生向けの奨学金制度を用意して、養成施設修了後の採用につなげるという方法もあります。いずれにせよ学校側の協力が必要であり、入社を強要することはできないという点に注意してください。
留学生は在留資格「留学」で日本に在留しているため、「在留資格変更許可申請」を行い、在留資格「特定技能」に変更する必要があります。外国人本人も申請を行えますが、施設側のサポートは欠かせません。
なお、たとえ日本にいる外国人を雇用したとしても、特定技能制度を利用する限り、支援計画の策定および実施は必要です。
技能実習生やEPA介護福祉士候補者が在留資格を移行するパターンもあります。
特定技能への移行は、外国人側には「引き続き日本で働ける」、施設側には「スキルを身に付けた人材を引き続き雇用できる」という双方にメリットがある手段です。本人とよく話し合い、希望するようなら最大限手続きをサポートしましょう。
技能実習2号(3年間)を優良に修了した技能実習生は、日本語と技能の試験が免除されます。
特定技能外国人としての新たな雇用契約を締結したあと、支援計画を策定しましょう。
地方出入国在留管理局で在留資格変更許可申請を行い、在留資格を「特定技能」に変更できたら引き続き働いてもらえます。
なお、技能実習生を受け入れるときに契約をした監理団体が、特定技能の登録支援機関としての業務を行っている場合も。このケースだと、新たに登録支援機関を探して契約する必要がありません。
将来的なことも見据え、技能実習の監理団体を選ぶときは登録支援業務も行っているところを選ぶのもおすすめです。
特定活動「EPA介護福祉士候補者」の在留資格は、4年間のうちに介護福祉士の国家資格に合格することを前提に付与されます。合格すれば特定活動「EPA介護福祉士」に変更して引き続き就労できますが、不合格だった場合はほかの在留資格に変更するか、母国に帰らなくてはなりません。
EPA介護福祉士候補者は、「EPAで4年間にわたり就労・研修に適切に従事している」「直近の介護福祉士国家試験で合格基準点の5割以上を得点しすべての科目で得点を得ている」ということを証明すれば、試験免除で在留資格を「特定技能」に変更できます。
在留資格変更後の流れは、技能実習からの移行とおおむね同じです。
すでに特定技能の在留資格を取得し介護士として働いている外国人を、中途で募集することもできます。
技能実習生とは違い、特定技能外国人は転職が可能です。外国人にとって魅力的な研修制度や福利厚生、キャリアアップ制度を用意すれば、経験が豊富な即戦力となる人材を雇用できるでしょう。
外国人特化の人材紹介サービス「WeXpats Agent」では、外国人一人ひとりと面談を行い、適性を見極めて企業さまへのご紹介を行っています。外国人雇用の知識が豊富なアドバイザーが対応させていただきますので、ご安心ください。
また、WeXpats Agentを運営するレバレジーズ株式会社は、登録支援機関として認定されています。人材紹介だけでなく、雇用後の登録支援業務のサポートも可能です。
こちらからお気軽にお問い合わせください。
参照元 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」 出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」
特定技能外国人を雇用する施設が増えたのは、以下のようなメリットがあるからです。
それぞれ詳しく解説していきます。
特定技能外国人は、技能試験と日本語試験の両方に合格している人材です。さらに、介護分野の場合は、介護日本語評価試験にも合格しなくてはなりません。そのため、実務経験がない人でもある程度の基礎知識は備わっています。
日本語でのコミュニケーションも取りやすいので、初めて外国人を雇用する施設でも安心です。
単純労働を含めた幅広い業務を任せられるのもメリットの一つです。
たとえば、在留資格「技能実習」では、掲示物の管理や物品の補充などのいわゆる関連業務ができるのは、業務時間全体の3分の1以下と定められています。
一方、在留資格「特定技能」の場合、メインで行わせることは禁止されているものの、そこまで厳格な時間の制限はありません。
2025年度以降は訪問系サービスへの従事も解禁される予定なので、さらに多くの業務を任せられるでしょう。
特定技能外国人の雇用は、人手不足の解消に大きな効果をもたらします。
出入国在留管理庁の公表によると、2023年末までに日本に在留している特定技能外国人は20万8462人でした。前年同月の13万923人からは、7万7539人も増えています。
2019年に制度がスタートしてすぐは新型コロナウイルスの影響により受け入れ人数が伸び悩みました。しかし、2022年以降は順調に数を伸ばしており、政府も多くの予算を投じて受け入れを促進しているため、今後さらに人数は増えていくでしょう。
特定技能外国人を雇用すると、安定的に人材を確保できる可能性が高まります。
特定技能外国人は、ほかの在留資格を持つ外国人と比べると、受け入れやすい人材といえます。
在留資格「介護」を持つ外国人は、在留期間の更新に制限がないうえ夜勤や訪問系サービスにも従事可能です。しかし、母数が少なく競争率が高いという特徴があります。
在留資格「技能実習」や「特定活動(EPA介護福祉士候補者)」は、雇用時に特定の団体を通す必要があったり各種報告事項や手続きが多かったりと、雇用管理に工数が掛かる点がネックといえるでしょう。
在留資格「特定技能」を持つ外国人は母数が順調に増えているため、採用のハードルは在留資格「介護」と比較すると低めです。
制度については、雇用中に支援計画を適切に実施するという決まりがありますが、登録支援機関に委託することで負担を最小限に減らせます。
特定技能「特定技能」は、5年という在留期限があります。しかし、5年間のうちに実務経験ルートで介護福祉士の国家資格を取得し在留資格を「介護」に変更すれば、引き続き日本で働いてもらうことが可能です。
実務経験ルートでは、3年以上実務経験を積んだうえで実務者研修を受けます。そうすると、介護福祉士国家試験の実技科目が免除され、筆記のみでの受験が可能です。
外国人が働きながら実務者研修のカリキュラムを修了し、介護福祉士国家試験に合格するためには、施設側のサポートが欠かせません。
特定技能外国人が在留資格「介護」を取得することは、施設側にも「長く働いてもらえる」「業務の制限がなくなる」など、多くのメリットがあります。シフトの組み方を考慮し学習支援を行うなどして、介護福祉士の国家試験に合格できるように、最大限協力しましょう。
参照元 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
特定技能の在留資格は、人手不足の業界を救うための制度といっても過言ではありません。特定技能外国人は、ある程度介護の知識や日本語能力を身に付けた状態の人材なので、即戦力としても期待できます。
ほかの在留資格と比較して雇用難易度も高くないため、初めて外国人を雇用する企業でもスムーズに受け入れを開始できるでしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net