冬の季語を一覧で紹介!美しい言葉や意味を知って俳句を楽しもう

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2023/11/30

冬の季語は、初冬・仲冬・晩冬の3つに分けられ、三冬は冬全体を表します。季語とは、俳句に必ず入れる季節を表す言葉のことです。俳句は、5・7・5の合計17音で構成されます。このコラムでは、冬の季語を一覧で解説します。また、日本で有名な俳人と、冬の季語を使った俳句も紹介。このコラムを参考にして、美しい季語や表現を知り、実際に俳句を作ってみましょう。

目次

  1. 季語とは何か
  2. 冬の季語が使える時期
  3. 三冬の季語一覧
  4. 初冬の季語一覧
  5. 仲冬の季語一覧
  6. 晩冬の季語一覧
  7. 冬の季語が使われた有名な俳句
  8. まとめ

季語とは何か 

季語とは何かの画像

季語(きご)とは、俳句(はいく)を作るうえで必要な語で、季節を表す言葉のことです。俳句は、基本的に5音・7音・5音の合計17音で構成され、季語を一つ入れるよう決められています。たとえば「雪下駄」と漢字3字で表記した場合でも、俳句では「ゆきげた(4音)」と読みの音数で数えるため、読みの音数に注意しましょう。季語は俳句に欠かせない語であり、俳句の季節を表す大切な要素です。季語を知ることで俳句をより楽しめます。

俳句のルールについて詳しく知りたい方は「外国人にも人気のある俳句とは?英語で詠むHAIKUのルールも解説」のコラムを参考にしてください。

冬の季語が使える時期 

冬の季語が使える時期の画像

冬の季語が使える時期は、11月の立冬(11月上旬頃)から2月の立春(2月上旬頃)の前日までといわれています。立冬や立春の日にちは年によって変わるため、冬の季語は主に11月から1月に使えると覚えておくと良いでしょう。

冬の季節は、「初冬(しょとう)」「仲冬(ちゅうとう)」「晩冬(ばんとう)」の3つに分けられます。また「三冬(さんとう)」は、初冬・仲冬・晩冬をまとめた冬全体を指す言葉です。冬の季語を知り、俳句作りに挑戦してみましょう。

三冬の季語一覧

三冬の季語一覧の画像

三冬の季語は冬全体を表すため、いつでも使用して良いとされています。ここでは、三冬の季語を紹介するので、参考にしてください。

カテゴリー

三冬(冬全体)の季語

生活

・千枚漬(せんまいづけ)・塩鮭(しおざけ)・塩鰹(しおかつお)
・甲羅煮(こうらに)・雑炊(ぞうすい)・熱燗(あつかん)
・生姜酒(しょうがざけ)・蕎麦湯(そばゆ)・三平汁(さんぺいじる)
・薩摩汁(さつまじる)・紅葉鍋(もみじなべ)・おでん
・冬着(ふゆぎ)・冬服(ふゆふく)・セーター・コート・外套(がいとう)
・冬羽織(ふゆはおり)・綿(めん)・蒲団(ふとん)・毛布(もうふ)
 

行事

・冬安居(ふゆあんご/とうあんご)・雪祭り(ゆきまつり)

動物

・冬の鹿(ふゆのしか)・狐(きつね)・狸(たぬき)・寒犬(かんけん)
・かじけ猫(かじけねこ)・寒雁(かんがん)・冬の鶯(ふゆのうぐいす)
・笹鳴(ささなき)・冬雲雀(ふゆひばり)・海雀(うみすずめ)
・海豚(いるか)・氷下魚(こまい)・ずわい蟹(ずわいがに)
・牡蠣(かき)・冬の蝶(ふゆのちょう)・冬眠(とうみん)

植物

・冬木の桜(ふゆぎのさくら)・冬牡丹(ふゆぼたん)
・南天の実(なんてんのみ)・室咲(むろざき)・蜜柑(みかん)
・冬林檎(ふゆりんご)・木の葉(このは)・枯れ葉(かれは)
・冬木立(ふゆこだち)・枯木(かれき)・枯桑(こそう)
・霜枯(しもがれ)・冬芽(とうが)・冬珊瑚(ふゆさんご)
・寒菊(かんぎく)・枯芭蕉(かればしょう)・葱(ねぎ)
・枯芝(かれしば)・寒薄(かんすすき)・大根(だいこん)

天文・地理

・冬晴(ふゆばれ)・冬旱(ふゆひでり)・冬の星(ふゆのほし)
・冬北斗(ふゆほくと)・オリオン・冬の空(ふゆのそら)
・冬の雪(ふゆのゆき)・冬の月(ふゆのつき)・冬昴(ふゆすばる)
・天狼(てんろう)・冬凪(ふゆなぎ)・御講凪(おこうなぎ)
・冬の風(ふゆのかぜ)・寒波(かんぱ)・北風(きたかぜ)
・空風(からかぜ)・北しぶき(きたしぶき)・西風(ならい)
・乾風(あなじ)・冬の雨(ふゆのあめ)・雪垂り(ゆきしずり)

初冬・仲冬・晩冬のどの時期か分かりにくい場合は、冬全体を表す三冬の季語を使用すると良いでしょう。

初冬の季語一覧

初冬の季語一覧の画像

初冬は冬の始まりで、11月頃の時期のことです。ここでは、初冬に使われる季語を紹介します。
 

カテゴリー

初冬(11月頃)の季語

生活

・蕎麦刈(そばかり)・風除(かざよけ)・蓮根掘る(はすねほる)
・大根干す(だいこんほす)・棕櫚剥ぐ(しゅろはぐ)・霜除(しもよけ)
・蕪引(かぶらひき)・冬構(ふゆがまえ)・大根引(だいこんひき)
・干菜(ほしな)・麦蒔(むぎまき)・敷松葉(しきまつば)
・木の葉髪(このはがみ)・後の更衣(のちのころもがえ)・切干(きりぼし)
・口切(くちきり)・北窓塞ぐ(きたまどふさぐ)・目貼(めばり)
・注連作(しめつくり)・塗炉縁(ぬりろぶち)・馬下げる(うまさげる)
・炉開(ろびらき)・年貢納(ねんぐおさめ)・牡丹焚火(ぼたんたきび)

行事

・十日夜(とおかんや)・神農祭(しんのうさい)・新嘗祭(にいなめさい)
・山の神祭(やまのかみまつり)・別時念仏(べつじねんぶつ)
・白秋忌(はくしゅうき)・恵比寿講(えびすこう)・鞴祭(ふいごまつり)
・七五三(しちごさん)・納の庚申(おさめのこうしん)・御火焚(おひたき)
・勤労感謝の日(きんろうかんしゃのひ)・芭蕉忌(ばしょうき)
・大師講(だいしこう)・感謝祭(かんしゃさい)・案山子揚(かがしあげ)
・亥の子(いのこ)・吉祥院八講(きちじょういんのはっこう)
 

動物

・雪虫(ゆきむし)・雪蛍(ゆきぼたる)・雪婆(ゆきばんば)

植物

・雪割茸(ゆきわりたけ)

天文・地理

・初霜(はつしも)・初時雨(はつしぐれ)・時雨(しぐれ)
・星の入東風(ほしのいりごち)、凩(こがらし)・神渡し(かみわたし)

初冬の季語は、秋の終わりを感じ冬に向かう季節の変化を表す際に使われます。冬のはじまりの情景を句に表したいときに使うと良いでしょう。

仲冬の季語一覧

仲冬の季語一覧の画像

仲冬は冬の半ばで、12月頃の時期のことです。ここでは、仲冬に使われる季語を紹介します。

カテゴリー

仲冬(12月頃)の季語

生活

・冬休み(ふゆやすみ)・年忘れ(としわすれ)・畳替(たたみがえ)
・衣配(きぬくばり)・古日記(ふるにっき)・歳暮祝(せいぼいわい)
・御用納(ごようおさめ)・年用意(としようい)・古暦(これき)
・日記買う(にっきかう)・斧仕舞(おのじまい)・墓囲う(はかかこう)
・賀状書く(がじょうかく)・節季候(せきぞろ)・暦売(こよみうり)
・門松立つ(かどまつたつ)・注連飾る(しめかざる)・藺植う(いうう)
・餅配り(もちくばり)・霰餅(あられもち)・甘蔗刈(かんしょかり)

行事

・年守る(としまもる)・松迎え(まつむかえ)・暦の奏(こよみのそう)
・帯解(おびとき)・花祭(はなまつり)・年越の祓(としこしのはらえ)
・掃納(はきおさめ)・冬至粥(とうじがゆ)・年の市(としのいち)
・羽子板市(はごいたいち)・箕祭(みまつり)・岡見(おかみ)
・クリスマス・松例祭(しょうれいさい)・一茶忌(いっさき)
・漱石忌(そうせきき)・御正忌(ごしょうき)・近松忌(ちかまつき)
・納の水天宮(おさめのすいてんぐう)・子祭(ねまつり)
・鳴滝の大根焚(なるたきのだいこたき)・晦日蕎麦(みそかそば)
・除夜の鐘(じょやのかね)・年の火(としのひ)・年の宿(としのやど)

動物

・初鱈(はつたら)・初鰤(はつぶり)・落鱚(おちぎす)
・霜月蝶(しもつきちょう)

植物

・枇杷の花(びわのはな)・甘蔗の花(かんしょのはな)・ポインセチア
・寒独活(かんうど)、冬至梅(とうじばい)・冬至芽(とうじが)
・蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)・クリスマスローズ

天文・地理

・初雪(はつゆき)・名残の空(なごりのそら)・初氷(はつごおり)

仲冬の季語は、年末やお正月に向けての様子などを表す際に使われます。クリスマスや大晦日、正月事始など12月を感じさせる季語を使うことで仲冬の雰囲気が感じられるでしょう。

晩冬の季語一覧

晩冬の季語一覧の画像

晩冬は冬の終わりで、1月頃の時期のことです。ここでは、晩冬に使われる季語を紹介します。
 

カテゴリー

晩秋(1月頃)の季語

生活

・雪丸げ(ゆきまろげ)・寒稽古(かんげいこ)・寒天造る(かんてんつくる)
・粥施行(かゆせぎょう)・雪像(せつぞう)・雪掻(ゆきかき)
・霜焼(しもやけ)・凍豆腐造る(しみどうふつくる)・雪踏(せった)
・蒟蒻氷らす(こんにゃくこおらす)・雪眼鏡(ゆきめがね)・雪見(ゆきみ)
・吹雪倒れ(ふぶきだおれ)・融雪溝(ゆうせつこう)・雪投げ(ゆきなげ)
・雪下ろし(ゆきおろし)・雪見舞(ゆきみまい)・雪竿(ゆきざお)
・雪上車(せつじょうしゃ)・雪達磨(ゆきだるま)・雪兎(ゆきうさぎ)

行事

・厄落(やくおとし)・厄払(やくばらい)・厄塚(やくづか)
・寒念仏(かんねんぶつ)・年越詣(としこしもうで)・寒参(かんまいり)
・仏名会(ぶつみょうえ)・和布刈神事(めかりしんじ)・蕪村忌(ぶそんき)
・乙子の朔日(おとごのついたち)・草城忌(そうじょうき)
・聖燭祭(せいしょくさい)・公現節(こうげんせつ)・寒垢離(かんごり)
・柊挿す(ひいらぎさす)・鬼餅(うにむーちー)・豆撒(まめまき)

動物

・白鳥(はくちょう)・寒雀(かんすずめ)・寒鴉(かんがらす)
・八目鰻(やつめうなぎ)・雪鳥(ゆきどり)・寒鯛(かんだい)
・寒鮒(かんぶな)・寒烏賊(かんいか)・寒鰤(かんぶり)
・寒鯉(かんざけ)・寒蜆(かんしじみ)・寒鮠(かんばや)・たご鮭(さけ)

植物

・水仙(すいせん)・葉牡丹(はぼたん)・冬菫(ふゆすみれ)
・早梅(そうばい)・寒梅(かんばい)・臘梅(ろうばい)
・寒木瓜(かんぼけ)・冬蕨(ふゆわらび)・冬桜(ふゆざくら)
・寒椿(かんつばき)・冬萌(ふゆもえ)・雪折(ゆきおれ)
・黒海苔(くろのり)・寒海苔(かんのり)

天文・地理

・吹雪(ふぶき)・雪時雨(ゆきしぐれ)・寒の雨(かんのあめ)・雪(ゆき)
・雨氷(うひょう)・氷晶(ひょうしょう)・風花(かざばな)・氷(こおり)
・霧氷(むひょう)・樹氷(じゅひょう)・雪女(ゆきおんな)
・雪起し(ゆきおこし)・節東風(せちごち)・八日吹き(ようかぶき)
・氷湖(ひょうこ)・氷柱(つらら)・寒の水(かんのみず)

晩秋の季語は、冬の厳しい寒さに耐えながらも春の訪れを待つ様子を表す際に使われます。晩秋の季語には「寒」や「雪」という漢字が多く使われているのも特徴の一つです。

ほかの季節の季語について知りたい方は「夏の美しい季語を知りたい!爽やかさや涼しさを表現する言葉には何がある?」「【秋の季語一覧】美しい言葉やかっこいい表現を解説」のコラムを参考にしてください。

冬の季語が使われた有名な俳句 

冬の季語が使われた有名な俳句の画像

俳句は、江戸時代より日本人に親しまれてきた伝統的な日本文化の一つです。俳句を作る人のことを俳人といいます。ここでは、日本で有名な俳人と、冬の季語が使われた俳句を紹介するので、参考にしてください。

「いざ行かん雪見にころぶ所まで」

「いざ行かん雪見にころぶ所まで」は、松尾芭蕉(まつおばしょう)によって詠まれた句で、季語は「雪見(ゆきみ)」です。音で分けると「いざゆかん・ゆきみにころぶ・ところまで」となります。転んでしまうところまで雪を見に行こうという、高揚感のあふれる句です。

「寒月や門なき寺の天高し」

「寒月や門なき寺の天高し」は、与謝蕪村(よさぶそん)によって詠まれた句で、季語は「寒月」です。音で分けると「かんげつや・もんなきてらの・てんたかし」となります。寒い月が出ている夜、門のないお寺の上に澄み切った夜空が天高く広がっているという様子を詠んだ句です。

「木の影や我影動く冬の月」

「木の影や我影動く冬の月」は、正岡子規(まさおかしき)によって詠まれた句で、季語は「冬の月」です。音で分けると「きのかげや・われかげうごく・ふゆのつき」となります。冬の月の明かりに照らされ、木の陰と自分の影が動いている様子を表した句です。冬の寒空に浮かぶ美しい月と揺れ動く影が美しく表現された、趣ある俳句といえるでしょう。

「これがまあついの栖か雪五尺」

「これがまあついの栖か雪五尺」は、小林一茶(こばやしいっさ)によって詠まれた句で、季語は「雪」です。音で分けると「これがまあ・ついのすみかか・ゆきごしゃく」となります。「ついのすみか」は最後の家という意味です。雪が五尺(約150㎝)も積もるこの地が、自分にとって最後の家だと思うとため息が出るという、小林一茶の心情が表れています。

「霜やけの手をかくしけり袖の中」

「霜やけの手をかくしけり袖の中」は、高浜虚子(たかはまきょし)によって詠まれた句で、季語は「霜やけ」です。音で分けると「しもやけの・てをかくしけり・そでのなか」となります。冬の寒さで霜焼けとなった手を、袖で隠す瞬間を詠んだ句です。

「凩や海に夕日を吹き落す」

「凩や海に夕日を吹き落す」は夏目漱石(なつめそうせき)によって詠まれた句で、季語は「凩(こがらし)」です。音で分けると「こがらしや・うみにゆうひを・ふきおとす」となります。強く冷たい風(凩)が夕方に吹き、葉っぱだけでなく夕日までも海に落としているようだという感情を詠んだ句です。

「スケートのひもむすぶ間もはやりつつ」

「スケートのひもむすぶ間もはやりつつ」は山口誓子(やまぐちせいし)によって詠まれた句で、季語は「スケート」です。音で分けると「スケートの・ひもむすぶまも・はやりつつ」となります。スケート靴のひもを結び、滑る準備をしている間も早く滑りたい気持ちがあふれていて、心はすでに滑っているかのようだという意味です。スケートを楽しみにしている心情が俳句に表れています。

俳句のほかにも美しい響きの日本語について知りたい方は「美しい日本語を紹介!言葉の意味や使い方を覚えよう」のコラムを参考にしてください。

まとめ

冬の季語を一覧で紹介!美しい言葉や意味を知って俳句を楽しもうのまとめの画像

冬の季語には情景や行事、寒さなどの感情を表した語が多くあります。俳句は、5音・7音・5音の中に日本の季節の情景や詠んだ人の喜怒哀楽が表されている日本文化の一つです。有名な俳人の句を詠んで季語を探してみたり、意味を考えたりすることは日本語学習にも役立ちます。美しい季語やかっこいい表現を使って俳句作りに挑戦し、冬の句を詠んでみましょう。

ライター

WeXpats
生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

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