2020/06/09

入国管理局から庁へ!外国人留学生の就職はどう変わる?

日本の人手不足の深刻化と外国人労働者の増加を受け、2019年4月から入国管理局が出入国在留管理庁となりました。
また、新制度による職業の規制の緩和など、外国人留学生の就職にも変化が生じています。
今回は、入国管理局が出入国管理庁へ格上げすることによって生じる影響と、外国人留学生の就職事情について説明していくので、参考にしてください。

◆入国管理局から「出入国在留管理庁」へ

2019年4月から、「入国管理局」が「出入国在留管理庁」に格上げとなりました。
格上げした理由や、どのような影響があるかについて説明していきます。

【なぜ格上げしたのか】

近年、日本の人手不足が深刻化しており、対策として外国人労働者の受け入れを拡大することになりました。
これにより、年々増えていた外国人労働者がさらに増加していくことが予想され、「入国管理局」の規模のままでは対応が追いつかない可能性も。
「出入国在留管理庁」に格上げして組織を拡大することで、増えゆく外国人労働者の受け入れをスムーズに行う体制を整備しています。

【格上げによる影響は?】

入国管理局が出入国在留管理庁に格上げすることで、規模が大きくなり、在留外国人の管理体制がこれまでよりも強化されます。

外国人労働者については、より入念な審査の実施、マイナンバー登録や企業に対する国への就労状況報告の義務付けによる不法在留の防止などが期待されているようです。

また、外国人留学生は就職に関する規制が緩和され、以前よりも職業の選択肢が広がっています。

出入国在留管理庁への格上げは、日本にとっても、日本で働く在留外国人にとってもプラスに作用していくでしょう。

◆外国人留学生はどんな企業に就職できるの?

外国人留学生が学校卒業後に日本の企業に就職する場合、これまでは、学校での専攻科目に関連する仕事、または母国の文化や言語などを活かせるような仕事でなければ在留資格変更の許可が下りませんでした。
大学を卒業した外国人留学生の就職を支援するため、2019年5月30日から新しく特定活動(46号・本邦大学卒業者)が施行されることとなりました。

【特定活動(46号・本邦大学卒業者)とは?】

特定活動(46号・本邦大学卒業者)は、日本の大学を卒業した外国人留学生が大学で習得した知識や、留学で培った日本語能力を活かし、幅広い業界・職種で働くことを認める在留資格です。
ただし、風俗関係の仕事はこれまで通り禁止とされています。

【規制緩和で就職できるようになった業界と職種は?】

外国人留学生の職業の規制が緩和されたことで、どのような業界・職種に従事できるようになったのでしょう?
一部の具体例としては、以下のとおりです。

・飲食店
観光客などの外国人に対し、通訳を伴う接客をすることができます。これまでは、いわゆる店員としての就労ビザは存在しませんでしたが、特定活動(46号・本邦大学卒業者)のビザを取得すれば、通訳の要素がある仕事、日本語での円滑なコミュニケーションが必要とされる仕事であれば認められます。は。

・ホテル
業務内容は、外国人・日本人の宿泊客への接客や通訳、外国語でのWebサイト作成、他の外国人スタッフへの教育などがメインです。

・介護
外国人・日本人の利用者とのコミュニケーションを伴う介護業務、外国人スタッフや技能実習生への教育などに従事します。

いずれの仕事も、基本的に、日本語能力を活用することが前提です。
たとえば、飲食店なら皿洗いのみ、介護なら洗濯のみなど、日本語能力を活かす機会が少ない業務のみに従事させることは禁じられています。

【就職できる条件】

特定活動(46号・本邦大学卒業者)の在留資格を得て就職するには、以下の条件を満たす必要があります。

・フルタイム勤務
フルタイム勤務で、雇用形態が正社員あるいは契約社員であることが必須です。
アルバイトやパート、派遣社員などは対象外となります。

・日本の4年制大学、または大学院を卒業している
日本の4年制大学か、大学院を卒業して学位を保有している必要があります。
短期大学や専門学校、他国の大学は対象にならないので、注意しましょう。

・日本語能力を測るテストで一定の成績を満たしている
日本語能力を測る試験として有名な日本語能力試験(JLPT)でN1、あるいはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得していることが条件の1つです。

・業務上で日本語を用いたコミュニケーションを必要とする
前述したように、従事する業務は社内外での日本語の円滑なコミュニケーションを必要とするものであることが前提となります。「円滑な」という文言が入っていることから分かるように、工場での組み立て作業のみに従事する、倉庫内でピッキング作業のみに従事するといった仕事は該当しません。

・賃金が日本人従業員と同等以上である
就業先の給料が、日本人従業員と同等以上である必要があります。
外国人であることを理由に賃金を低く設定することは認められていません。

上記のいずれか1つでも満たされない場合は、在留資格変更の許可が下りないので注意しましょう。

◆就職するために必要な手続きとは?

外国人留学生が日本で就職するには、在留資格を留学から就労可能な資格に変更する必要があります。

在留資格を変更する際は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局で変更許可申請を行いましょう。
在留資格変更許可申請を行う際は、以下の書類を用意します。

・在留資格変更許可申請書
・証明写真(縦40mm×横30mm、3ヶ月以内に撮影されたもの)
・パスポート、在留カード
・活動内容に応じた資料
・大学の卒業証明書または卒業見込み証明書
・日本語能力試験(JLPT)あるいはBJTビジネス日本語能力テストの成績証明書のコピー
・雇用理由書(任意)

申請してから、2週間~2か月で審査の結果が通知されます。
許可が下りたら在留資格が変更となり、日本の企業への就職が認められます。

監修:濵川恭一 
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

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