日本で進学や就職を目指している留学生に向けて、面接でよく聞かれる質問と回答例を紹介します。面接では質問の内容や意図をよく理解し、面接官が何を求めているかを把握することが大切です。自己分析や企業分析も面接前に必ず行いましょう。
この記事では、大学や企業の質問に対して、好印象な回答例や回答するポイントなどを分かりやすく解説します。記事を参考にして、スムーズな受け答えができるよう練習しましょう。
目次
留学生が進学面接でよく聞かれる質問と回答例
進学の面接では、進学する理由から卒業後のプランまで幅広い質問が想定されます。留学生は正しい日本語でハキハキと答えられるよう、面接の練習をしておきましょう。
なお、書類では大学の敬称を「貴学(きがく)」と書きます。一方、面接など相手と直接会話をする場では、「御校(おんこう)」と言うのが一般的なので、面接時の正しい言葉遣いもあわせて覚えておきましょう。
進学する理由
日本で進学する理由は、最初に聞かれる可能性が高い質問です。第一印象を良くするためにも、堂々と答えられるように準備しておきましょう。大学のWebサイトで学ぶ内容を確認したり自己分析を行ったりするなど、自分が学びたい内容と回答が合っているかを確認することが大切です。学びたい意志が伝わるよう、以下の回答例を参考に自分の志望理由を考えましょう。
質問例
- なぜ日本に留学しようと思ったのですか
- ほかの国ではなく日本での進学を決めた理由は何ですか
回答例
私が日本の大学へ進学を決めた理由は、日本語や日本の習慣・文化を学びたいと思ったためです。私の将来の夢は、日本語とベトナム語の通訳者になることです。通訳者として活躍するには、日本語を話せるだけでなく、日本の習慣や文化に対する理解が必要だと考えています。日本で生活することで、より言語や文化に対する理解が深められると思い、日本での進学を希望しました。
学生生活で身につけたいこと
学生生活を送るうえで大切なことは、多くの学びや知識、経験を得ることです。そのため、「アルバイトを頑張ってお金を貯めたいです」「日本人と友達になりたくさん遊びたいです」という内容の回答は不適切な答えになるため注意しましょう。留学生の視点も踏まえて、充実した学生生活がイメージできる回答をするのがベターです。
質問例
- どんな学生生活を送りたいですか
- 学生生活で身につけたいことを教えてください
回答例
私は将来、観光に関わる仕事に就きたいと思っています。そのため、観光業に関する知識を身に付けたいです。また、大学の授業で学んだ知識を学生生活でも活かせるように、在学中は観光ガイドのアルバイトを経験し、日本文化や歴史についても学びたいです。
入学後は国際交流のできるサークルに入り、日本人の学生やほかの国から来た留学生と積極的に交流し、異文化や日本の習慣を理解したいと思っています。また、将来は日本での就職を希望しているため、学生生活を送りながら日本語能力やコミュニケーション能力を高めたいと思っています。
卒業後の目標
卒業後の目標を聞かれた際は、就職したい企業や仕事内容などを具体的に説明しましょう。「まだ決めていません」「先のことなので分かりません」「日本で就職ビザを取得することです」などの回答はマイナスな印象を与えます。曖昧な回答は避け、学んだことを仕事に活かすという意志を伝えましょう。
質問例
- 卒業後の予定を教えてください
- 卒業後の目標はなんですか
回答例
卒業後は、大学で学んだ観光業の知識を活かして働きたいと考えています。日本企業に就職し、学生生活で得た日本語でのコミュニケーション能力と国際的な感覚を活かして活躍するのが目標です。
併願している学校があるか
併願校(へいがんこう)については、正直に答えることが大切です。ほかの受験校があるにもかかわらず、「受験校は御校だけです」という内容の発言は避けましょう。第一希望校の面接では、その旨もしっかり伝えて入学したい気持ちをアピールします。
質問例
- ほかにも受験している学校はありますか
- 併願校はありますか
回答例
【併願校がある場合】
はい、ほかにも受験を予定している大学がありますが、第一志望は御校です。ぜひ御校に入学し、観光業について学び、知識を深めたいと思っています。
【併願校がない場合】
いいえ、併願校はありません。受験校は御校のみです。
学費の支払いについて
外国人留学生は学費や日本での生活費など、費用面での負担が大きくなる傾向にあります。そのため、学費の支払いについて聞かれる場合もあるでしょう。学費を払えなければ、学生生活を送ることはできません。「学費は日本に来てからアルバイトで稼ぎます」「両親には頼れないので、友人から借りる予定です」といった回答は不適切なので、避けましょう。
学費は、両親から援助を受けるのが一般的です。特別な事情がある人や奨学金を借りる予定の人は、事実を伝えましょう。
質問例
- 学費は誰が負担しますか
- 学費の支払いについて教えてください
回答例
学費は、両親に援助をしてもらう予定です。日本留学中は学業を第一に考え、勉強に専念したいと思っています。両親の負担を少しでも減らしたいので、生活費については勉強に支障のない範囲でアルバイトをすることも検討しています。
大学や専門学校へ進学するにあたっての手続き方法については、「外国人留学生として日本の大学や専門学校に通うには?必要な手続きを解説」の記事を参考にしてください。
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留学生が就職面接でよく聞かれる質問と回答例
留学生が面接でよく聞かれることとして、志望動機や留学中の経験、日本を選んだ理由などが挙げられます。なかでも、志望動機は必ず聞かれる質問です。自分の過去や経験を振り返り、しっかりと準備しておきましょう。面接の際は、企業のことを「御社(おんしゃ)」といいます。就職面接ではよく使う言葉なので、覚えておきましょう。
志望動機
志望動機は、就職面接で必ず聞かれる質問といっても過言ではありません。企業が志望動機を聞く理由は、「なぜ自社を選んだのか」「何を魅力と感じ、自社に応募したのか」を知るためです。また、企業のニーズとマッチした人材かを判断するためでもあります。
企業の経営理念や事業方針を理解したうえで、自身のエピソードを踏まえた具体的な志望動機を伝えるのがポイントです。
質問例
- 志望動機を教えてください
- 就職を希望する理由を教えてください
回答例
私は大学で学んだ観光業の知識と語学力を活かして働きたいという思いから、御社を志望しました。御社は国内だけではなく海外にも支店を持つ旅行会社であることから、マーケットの広さや国内外で働くチャンスがある点に魅力を感じています。私は学生時代のホテルでのアルバイト経験を通して、接客マナーや敬語表現を学びました。これらの経験を強みとして、入社後は御社の事業に貢献し、活躍したいと考えています。
留学中に学んだこと
留学中に学んだことに関する質問では、自分の人柄や考え方をアピールできます。苦労したことや感動したこと、初めて知り得たことなどを振り返り、自分の言葉で伝えましょう。特に困難を乗り越えた経験は、目の前の課題を解決する「課題解決能力」に繋がります。
質問例
- 留学中に経験したことを教えてください
- 留学中に学んだことは何ですか
回答例
私は初めて知り合った人ともすぐに協力できるコミュニケーション能力があります。大学時代、最初は日本語の勉強についていくだけで精一杯でしたが、次第に慣れ、語学力にも自信がついたことで周囲の学生と会話できるようになりました。その後の寮生活では仲間と協力しあいながら、ときには励まし合い、改めて人と関わることの素晴らしさ、人間関係の大切さを学びました。この経験は、御社の観光事業や社内外で接する人とのコミュニケーションにおいても、大いに役立つものだと感じています。
日本を選んだ理由
就職先に日本を選んだ理由について、明確な根拠を聞かれます。数ある国の中で日本を選んだ理由を考え、面接官に伝えられるようにしましょう。たとえば、「アジアの中でも収入や治安が安定しており、長期で働ける環境が多いため」「研修制度や福利厚生が充実している企業が多いため」など、就職するうえで魅力的に感じた部分を話せると、より説得力が高まります。
質問例
- 就職先に日本を選んだ理由は何ですか
- なぜ日本で就職したいと思ったのですか
回答例
私は教育体制や治安の良さに惹かれ、日本を選びました。就職後10年以上勤務して、一般永住資格の取得を目標としています。日本はほかのアジアの国の中でも研修支援や昇格制度が充実しており、外国人の就労者も多く見受けられます。知識を取得しながら長期間安定して働ける環境をと思い、日本を選択しました。
どんな強みを持っているか
強みや長所、アピールポイントを聞く意図は、「自社に活かせるものがあるか」「人柄や経験などが自社に合っているか」を確認するためです。いくら多くの資格や経験を持っていても、企業の業務内容に合わなければ活かすことはできません。そのため、就職を希望する企業に好まれる強みをアピールすることが大切です。
質問例
- あなたの強みを教えてください
- あなたの長所は何ですか
回答例
私の強みは、目標達成に向けて忍耐強く努力を続けられることです。留学生として来日した際の目標は、在学中に日本語能力検定N2に合格することと、日本文化について学び、誰とでも円滑なコミュニケーションを取れるようになることでした。結果として、卒業までに全ての目標を達成できています。御社では、語学力やコミュニケーション能力、目標を達成に向けての粘り強さを活かし、国内だけでなく海外部署においても活躍できると自負しています。
最終面接でよく聞かれる質問について知りたい方は、「留学生に向けて最終面接で聞かれる質問と回答例を紹介!内定を得るコツとは」の記事を参考にしてください。
よく聞かれる質問の面接官の意図
面接でよく聞かれる質問には、必ず「企業側の意図」があります。質問に対する回答は、企業にとって合否を判断する大切な情報源です。以下のポイントを把握しておけば、質問に動じず、スムーズに回答できるでしょう。
自己分析能力があるかを見る
面接官は応募者が「自分のことをよく理解しているか」「常に物事を客観視できるか」を見ているため、自己分析能力は必須といえるでしょう。自己分析をするには、「自分を客観視する力」が必要です。日頃から一歩引いた目線で自分と向き合うことを心がけ、自己分析能力を身につけましょう。
将来のビジョンがあるかを見る
「働くうえで目標はあるか?」はよく聞かれる質問の一つです。数年先の目標や自分がなりたい姿など、しっかりと想像できているかを見極めるためといえます。たとえば、「10年以上勤務してチームをまとめるリーダーとなる」と答えると、昇格や長期勤務へのやる気が感じられるでしょう。入社して満足してしまうのではなく、将来にかけて実現できる目標を伝えることが大切です。
留学経験で何を得たのかを見る
「留学経験で得たものは何か」という質問は、留学中の経験が応募者にどんな影響を及ぼしたのかを見極めるものです。学生生活で学んだことや留学生の人柄を確認できるため、面接ではよく聞かれる質問といえます。
人柄を見る
面接をするうえで、応募者の人柄は重要です。人柄を重視する理由は、人間関係を良好に保てるか、組織に馴染めるかを見極めるためです。質問に対する回答から、「どのような性格なのか」「感情的でないか」などを判断しています。
適性を見る
面接で適性を見るのは、応募者が希望する仕事内容と企業側が求める実際の業務が合っているかを判断するためです。自己PRを通じて、企業に適した人材であることをアピールしましょう。
面接でよく聞かれる質問に回答するときのポイント
面接でよく聞かれる質問には、回答するときのポイントがあります。内容だけでなく、表情や言葉遣いに気を配り、留学で得た経験や個性、インパクトを残すことを心掛けましょう。
ネガティブな内容にしない
基本的なポイントは、ネガティブな内容にしないことです。ネガティブな内容はマイナス思考の印象がついてしまい、面接官が自分に対して興味を持ちにくくなってしまいます。できる限りポジティブな内容で回答し、明るさや前向きさをアピールしましょう。
表情や言葉遣いに気を付ける
表情や言葉遣いは、自分の感情や礼儀を印象付けるものです。日本は特に挨拶や礼儀の文化があるため、面接においてはどこの企業でも重要視されるでしょう。適度に笑顔を見せたり、歯切れの良い返事をしたりすると好印象です。
留学経験や学んだ内容を伝える
留学で培った経験や学んできた内容は、大きなアピールポイントになります。学生生活で学んだ知識や在学中に得たスキルを伝えると良いでしょう。また、寮生活やアルバイトでの人間関係は、周囲との協調性やコミュニケーション能力のアピールに繋がります。学生生活を振り返り、社会人として活かせる経験を伝えましょう。
個性や自分のインパクトを残す
ライバルと差をつけるには、自分の個性やインパクトを残し、面接官に「気になる存在」と感じてもらうことがポイントといえます。自分の特徴や自分にしか出せない人柄を出すには、綿密な自己分析が必須です。何が自分の個性なのか、何が得意分野なのかなどを知らなければ、面接官の記憶に残すことはできません。面接官にとって魅力的と感じてもらえるような、自分の長所を見つけましょう。
キャリアプランを伝える
面接では、入社後の予定や目標について質問されることも少なくありません。就職だけを目標とせずに、入社後のキャリアプランも考えておきましょう。「入社後は3年間は配属された部署で経験を積み、その後は海外赴任を希望したい」など、将来の具体的な見通しが感じられる内容が好印象を与えられます。
面接を控えている留学生は、「日本の面接で聞かれる質問とは?採用につながる回答を考えよう」の記事も、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
進学や就職の面接において、留学生は志望動機や留学で学んだこと、日本を選んだ理由などをよく質問されます。落ち着いて答えられるように、しっかりと面接対策をしておくことが大切です。
面接では、応募者が自己分析や企業研究ができているか、人柄や個性は組織に合っているかを見られています。自己分析や企業分析をしっかりと行ったうえで、面接に挑みましょう。
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