日本の就職試験は、筆記試験と面接試験の2種類があります。外国人の場合は、筆記試験に苦戦するケースが多いようです。ほとんどの場合、外国人であっても日本人と同じ試験を受けなくてはなりません。対策をしないと、良い結果を残すのは難しいでしょう。
この記事では、就職試験の対策方法について紹介します。SPIの概要もまとめているので、内容を参考にして、就職試験で力を出し切りましょう。
目次
就職試験の種類
就職試験とは応募者が企業に入社するために受ける試験で、採用試験や入社試験とも呼ばれます。一般的な就職試験は筆記試験と面接試験の2種類です。そのなかで、さらに以下のような複数の種類に分かれ、企業によってさまざまな組み合わせで試験が行われます。
筆記試験
筆記試験は応募者が問題を解き、その結果で能力を見極める試験です。筆記試験とはいうものの、近年はWeb上でテストを行うケースも増えてきました。
性格適性検査
性格適性検査とは、受験者の価値観やストレス耐性を見極める試験のことです。「初めての場所が苦手だ」「一人でいるより仲間と過ごすほうが好きだ」などの質問があります。質問に対し、「当てはまる/どちらともいえない/当てはまらない」などの選択肢から、自分に合ったものを選ぶ形式が一般的です。
どう答えれば企業にとって良い人物像になるかとは考えず、直感でスピーディーに回答する必要があります。
能力適性検査
能力適性検査は基礎学力を測るための試験です。主に、国語や英語などの「言語分野」と、数学などの「非言語分野」の2つから構成されます。中学~高校レベルの問題なので難易度はそこまで高くありません。しかし、日本語で出題されるため、十分な読解能力がないと回答するのは難しいでしょう。
作文・小論文
作文や小論文は、文章力や論理的思考力を測るために実施されます。テーマは、将来の夢や入社後のキャリアビジョン、時事問題についてなど企業によってさまざまです。普段から作文や小論文のテーマになりそうな事柄について、考える時間を持つと良いでしょう。
作文や小論文は日本語で書かなければなりません。内容はもちろんのこと、日本語の書き取り能力も重要です。
一般常識
一般常識は、社会人として必要な教養や知識が備わっているかを確認する試験です。内容は漢字や四則演算、時事ニュースなどさまざまな分野から出題されます。また、ビジネスマナーに関する質問を出す企業も多いようです。各企業が自社で試験を作成するケースも多いので、どのような出題がされても良いよう、しっかり準備する必要があります。
面接試験
面接試験は、採用担当者が応募者と直接もしくはWeb上で顔を合わせ、質疑応答をしながら能力や人柄を見極める試験です。日本の就職試験では特に重要視されています。
個人面接
個人面接では、1名〜数名の採用担当者が応募者を1人ずつ面接します。1人の応募者に対して長い時間が掛けられるため、採用人数の少ない中小企業の選考や大企業の最終面接で行われるケースが多いようです。
個人面接では基本的な項目のほか、入社への熱意や将来の目標、価値観などに関する踏み込んだ質問がされます。応募者は自分だけなので、ほかの人の回答に惑わされたりペースが乱されたりすることはありません。一方で、集団面接よりも質疑応答の時間が長いため、しっかり準備をしておかないとスムーズに受け答えができない可能性があります。
集団面接
集団面接は、複数の応募者と一緒に受ける面接試験です。応募者が多い企業は、スピーディーに採用活動を行えるように1次面接で集団面接を取り入れることが多くあります。1人ずつに掛けられる時間が少ないので、自己紹介や志望動機、学生時代に力を入れたことなどの基本的な質問が中心です。
ほかの応募者と一緒に面接を受けるので、緊張がほぐれやすいというメリットがあります。一方で、他者の回答を聞いて不安になったり、自信を無くしてしまったりする人もいるようです。
ほかの応募者に埋もれない、印象に残るような回答を心掛ける必要があるでしょう。
グループディスカッション
グループディスカッションでは、応募者が1つの議題に対して話し合い結論を出します。採用担当者は、ディスカッションの様子を見ながら応募者のリーダーシップや協調性、積極性をチェックするのです。面接担当者にアピールしようと、他者を気にせずにむやみに目立つのもよくありません。自分に与えられた役割を全うしつつ、要所要所で印象に残る行動ができるようにしましょう。
面接試験については「日本の面接で聞かれる質問とは?採用につながる回答を考えよう」や「転職の面接で外国人が聞かれる質問と回答例 「日本に来た理由」はどう答える?」をご覧ください。
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SPIとはどのような就職試験?
ここでは、多くの企業の就職試験で採用されている「SPI総合適性検査」について解説します。
適性検査の一つ
SPI(Synthetic Personality Inventory)は適性検査の一つで、リクルートマネジメントソリューションズが運営しています。受検者の能力や性格を総合的に測定し適性を見極めることができるため、多くの企業で採用されている試験です。
SPIにも種類がある
SPIにはバージョンがあり、2024年4月時点での最終バージョンはSPI3です。主に以下の種類があります。
- SPI-U:大学新卒者
- SPI-H:高校新卒者
- SPI-G:中途採用者
- SPI-N:高校や短大卒業者(主に一般職採用)
- SPI-R:大学や短大卒業者(主に一般職採用)
それぞれ、出題される問題の分野や傾向が異なります。
SPIの受検方法
SPIには4つの実施方法があります。それぞれ出題範囲が異なるので、企業に指定された方法に合わせた対策を行いましょう。
ペーパーテスト
ペーパーテストは、マークシート方式のテストを応募企業が用意した会場で受検します。時間と出題数は能力検査が約70分で約70問、適性検査が約40分で約300問です。
テストセンター
テストセンターは、SPIを運営している企業が用意した会場で受検する方法です。現在、SPIのほとんどはテストセンター形式で行われています。用意された会場のなかから、都合の良い場所・日時を選んで受検できるのが特徴です。テストは能力検査を会場のパソコン、性格検査を自宅のパソコンで受検します。
時間配分は能力検査が約35分(出題数に変動あり)、適性検査は約30分(出題数約300問)です。能力検査の出題数が回答状況によって変わるところが、ペーパーテストと大きく異なる点といえるでしょう。
Webテスティング
SPIのWebテスティングは、決められた期間内に自宅や学校などのパソコンを使って受検する方式です。Webテスト方式では電卓の使用が認められています。自分が慣れている環境で、リラックスして受検できるのが特徴といえるでしょう。なお、テストの時間や出題数はテストセンター方式と基本的には一緒です。
インハウスCBT
インハウスCBTは、応募企業が用意した会場でパソコンを用いて受ける受検方式です。出題数はテストセンターやWebテスティングと一緒で、電卓も使用できます。現在、インハウスCBT方式を採用している企業は多くはありません。
外国人が就職試験を受ける際のポイント
就職試験を受ける前に、過去問を繰り返し受けて感覚に慣れておきましょう。また、時間を掛けずに問題を解く練習も必要です。
過去問を解いて慣れておく
筆記試験は過去問をしっかり解いておくのが大切です。筆記試験はある程度出題される問題が決まっています。特にSPIはその傾向が強いといえるでしょう。書店やインターネットでSPIの対策問題集が売られているので、繰り返し解いて問題に慣れるのをおすすめします。また、大学生の場合は学校が対策講座を開いている場合も。自分に合った方法を見つけて、筆記試験の3ヶ月前には勉強に取り掛かりましょう。
1つの問題に時間を掛けすぎない
時間を掛けずに問題を解く練習も必要です。テストセンターでSPIを受ける場合、1問ずつに制限時間があり、時間以内に解けないと次の問題に移ってしまいます。ペーパーテストの場合は、能力検査は1問当たり約1分、性格検査は1問当たり約8秒で回答しなければ、時間切れになる可能性が高いでしょう。
何度も繰り返し過去問題を解いていれば、1問解くのに必要な時間も少なくなっていきます。時間配分を意識しつつ正解を導き出す訓練をしましょう。
就職試験の分野ごとの対策【外国人向け】
ここでは就職試験の適性検査(SPI)で良い成績を残すための対策を紹介します。
非言語分野の対策
非言語分野では、数字の処理や論理的思考能力をチェックする問題が出題されます。
足し算・引き算・掛け算・割り算のスピードを上げることで、1問に掛ける時間の短縮が可能です。出題される数学の公式は日本の中学〜高校レベルといわれてます。難易度そのものが高いわけではありませんが、海外では習わない公式が出題される可能性もあるでしょう。しっかり復習をして、ケアレスミスを減らす必要があります。
言語分野の対策
言語分野ではいわゆる国語の問題が出題されます。外国人にとってはかなり難易度が高いので、心して対策をしましょう。
言語分野で必要なのは語彙力です。語彙力は直前に勉強をしても、すぐには身に付きません。普段から日本語の文章に触れておく必要があります。普段の会話で使わないような表現も出るので、日本語能力に自信がある人でも、対策をしなければ高い点数を取るのは難しいでしょう。
新聞のコラムや社説を読むと、論理的に文章を理解する練習になります。段落ごとに意味を理解し、接続詞や指示語に注意しながら読むように心掛けましょう。分からない言葉が出てきたらすぐ調べ、語彙を増やすことが大切です。助詞・助動詞に関する問題も多く出題されるため、勉強しておきましょう。日本語の助詞・助動詞に苦手意識のある人も多いようですが、出題頻度が高い種類だけでも確認しておくと点数が変わってきます。
性格検査の対策
性格検査は応募者の価値観やストレス耐性、適正のある仕事を見極めるものです。そのため、正解といえる回答はありません。しかし、時間が足りなくなり最後まで解けなかった場合、正確な結果が出ないので配分に注意しましょう。また、自分をよく見せようとして嘘の回答をすると、どこかで矛盾が生じます。回答に一貫性を持たせ、正直に答える必要があります。
日本語の勉強については「日本語の文法について解説!正しく理解できているかチェックしよう」「日本語の慣用句を一覧で紹介!ことわざとの違いとは」の記事をご覧ください。
まとめ
ほとんどの場合、外国人であっても日本人と同じ就職試験を受けなくてはなりません。すべて日本語で出題されるため難易度は高いといえますが、その分良い成績を残せれば優秀さをアピール可能です。事前にしっかり対策をして、内定を勝ち取りましょう。
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