「日本語は難しい」「どのように学習を進めれば良いか分からない」と悩む外国人の方は多いのではないでしょうか。また、日本語が難しいといわれる理由を知りたい方もいるでしょう。日本語が難しいといわれる理由は、文字の種類の多さや主語の曖昧さ、オノマトペの多用などが挙げられます。
このコラムでは、日本語ならではの難しい点と外国人が日本語を学習するうえでのコツを紹介しています。
目次
外国人にとって日本語が難しい5つの理由
外国人にとって日本語が難しいといわれる理由は、「文字の種類が多い」「主語が曖昧」「似ている言葉や表現が多い」などがあります。また、日本人が話す日本語は抑揚が少なく、気持ちを読み取るのが難しいといった声もあるようです。以下では、日本語が難しいといわれる5つの理由を解説します。
1.日本語は文字の種類が多い
日本語の文字の種類が多さが、難しいといわれる大きな理由の一つです。日本語の文章は、漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットの組み合わせにより成り立っています。
漢字には一文字ごとに「音読み」と「訓読み」があり、文章の流れやほかの文字との組み合わせによって、どのように読むべきかを見極めなければなりません。また、「珈琲=コーヒー」や「滅茶苦茶=めちゃくちゃ」などの当て字も多数あります。漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットのそれぞれの知識を持っていないと、一つの文章を正しく理解できないのが日本語です。
2.日本語は似ている言葉や表現が多い
日本語は、似ている言葉や表現が多いのも特徴の一つでしょう。似ている言葉の例は以下のとおりです。
・「ダンス」と「たんす」=濁点があるかないかの違い
・「おじさん」と「おじいさん」=言葉を伸ばすか伸ばさないかの違い
・「来て」と「切手」=小さい「っ」が入るかどうかの違い
外国人にとって上記の言葉の違いは非常に分かりにくいので、聞き取りも発音も習得するのは難しいといわれています。なお、一つの物事に対し複数の言い方をする例は以下のとおりです。
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昼食
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ランチ
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お昼
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昼ごはん
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昼飯
上記はすべて、「昼に食べる食事」のことを指します。
また、何かを要求する際「●●をください」「●●くれる?」「●●をいただけないでしょうか」「●●が欲しいのですが」など、いくつもの表現があるのも日本語の特徴です。日本人は、相手やシチュエーションによって相応しい言葉と表現を選択し、使い分けています。
3.主語が曖昧で内容を読み取るのが難しい
日本語は主語を省略することが多く、文章や会話の内容を読み取るのが難しいと感じる外国人も多くいます。日本人であれば主語がなくても文脈から推測し、文章を理解し会話を継続することができるでしょう。しかし、母国語で主語を省略しない外国人にとっては、正しく理解するのはなかなか難しいようです。特に、文法が母国語と日本語で大きく異なる外国人の場合は、主語がない日本語はより難しく感じるでしょう。
4.日本語はオノマトペが多く分かり難い
日本語はほかの言語と比べて、音や声、物事の状態・動きなどを表現した言葉であるオノマトペが多いのが特徴です。外国人にとって、日本のオノマトペを理解するのは難しいでしょう。オノマトペの代表的な例は、以下のとおりです。
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ワンワン
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ニャーニャー
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ワクワク
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ドキドキ
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テキパキ
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ひらひら
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もちもち
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ぴかぴか
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ドカドカ
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しーん
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ぽかーん
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ガーン
日本人は多数のオノマトペを日常会話のなかで使用し、言葉を見聞きすればその状態をイメージできます。ところが、海外の言語に翻訳できないオノマトペも多いため、外国人にとってはイメージしづらく、使い方を覚えるのはなかなか難しいようです。
5.日本人の会話は抑揚が少ないので難しい
日本人の会話は抑揚が少ないので感情や文脈を読み取れず、難しいと感じる外国人も多くいるようです。
日本語は方言の種類も多く、抑揚の付け方も地方によって異なります。標準語で日本語を学んでいる外国人が方言を聞くと、まったく別の言語のように感じることもあるでしょう。
「日本語が難しい理由って?ほかの言語と比較してみよう」では、日本語が難しい理由はもちろん、ほかの言語と比べて簡単といえる部分も解説しています。日本語を学ぶ前にもう少し言語概要をチェックしたい方は、ぜひご覧ください。
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外国人が日本語を学習するときのコツ
外国人が日本語を学習するときは、日本人の発音を真似したり使用頻度の高い言葉を優先的に学んだりするのがおすすめです。以下で詳しく解説します。
日本人が話す日本語を聞いて真似をする
外国人が日本語の発音練習をする際は、日本人が話す会話を聞いて真似をするのが効果的です。慣れるまでは、「違いを聞き分けられない」「分かっているのに上手く発音できない」などと感じることも多いでしょう。しかし、外国語を学ぶときは、聞き取りや発音が難しいと感じるのは当然のことです。
よりナチュラルな日本語を身に付けるには、ラジオの音声やドラマのセリフなどを聞いて、実際に発音してみましょう。
文章の主語を見つける練習をする
日本語を学習するときは、会話や文章のなかから主語を見つける練習をするのも大切です。以下のような短い会話の文章で、「誰について話しているのか」を見つけてみましょう。
A:どこで待ち合わせする?(主語=私たちは)
B:映画観たいから新宿はどう?(主語=私は)
A:いいね!
英語をはじめ主語を省略しない言語を使う外国人にとって、主語のない日本語はとても難しいといわれています。主語を見つけて文脈を読み解くために、多くの文章を読んだり聞いたりする練習が必要です。
使用頻度の高い日本語を優先的に学ぶ
使用頻度の高い日本語を優先的に学ぶのもコツです。街中でよく見かける文字や、見聞きする言葉を学ぶと日常生活で役立ちます。また、日本で就職を目指している方は、面接や仕事のときに使う日本語の読み・書き、あるいは言葉遣いなどを優先的に学ぶと良いでしょう。
さらに詳しく日本語の学習のコツを知りたい方は、「日本語の勉強方法を外国人に向けて解説!覚えるのが難しい内容も紹介」や「外国人向け!日本語の勉強方法を紹介」のほか、「日本語を学ぶ外国人向け!おすすめの勉強法まとめ」のコラムもご参考ください。
日本語を学ぶなら日本人の文化を知ることも大切
日本語を学ぶうえで、日本人独特の文化を知ることも大切です。多くの日本人は、「直接言葉にしなくても察する」「褒められても謙遜する」「相手を立てる」などを美徳とする文化があります。そのため、外国人から見ると「結局何が言いたいのか分からない」と感じることも多いでしょう。しかし、相手に不快な思いをさせずに円滑なコミュニケーションを図るには、このような日本人ならではの文化を知ることも重要なのです。
独特の文化ともいえる日本人のコミュニケーションについては「本音と建前とは何?日本人がよく使う理由や言葉の意味を外国人向けに紹介」でも取り上げています。また、日本文化全体の知識を増やしたい方は「日本文化の特徴をまとめて紹介!外国人向けに西洋文化との違いを解説」のようなコラムもおすすめ。ぜひ、ご覧ください。
まとめ
漢字やひらがな、カタカナなど文字の種類が多いため、日本語は難しいといわれています。また、ほかの言語と比べると主語が曖昧で、会話や文章を読み解くのが難しいのも日本語の特徴です。
外国人が日本語を学ぶときは、日本人が話す言葉を真似して発音したり、会話のなかから主語を見つける練習をしたりすると徐々に理解が深まるでしょう。日本で就職を目指す外国人は、カジュアルな日本語だけでなく、目上の人に対する言葉遣いも積極的に学ぶことが大切です。