夏至とはどんな日?仕組みや風習をわかりやすく紹介

WeXpats
2024/05/20

夏至(げし)は二十四節気の一つで、北半球で1年のうち最も昼の時間が長くなる日のことです。夏至を過ぎると北半球では、気温が上がり、本格的な夏を迎えます。また、北極圏や周辺の地域は南中高度が高くなり、太陽が沈まず暗くならない「白夜(びゃくや)」が起こる時期です。
この記事では、夏至の特徴や仕組み、冬至との違いについて解説。夏至の行事食やお祭り、世界の風習も紹介しています。

目次

  1. 夏至とは?
  2. 日本の夏至の風習とは
  3. 世界の夏至の風習とは
  4. まとめ

夏至とは?

夏至とは?の画像

夏至は、四季をさらに6の期間に分けた概念である「二十四節気」の一つです。二十四節気の「立夏」(夏の始まり)と「立秋」(秋の始まり)の中間になることから、本格的な夏の到来を思わせる日といわれています。

最も昼間の長い日

夏至とは、北半球で1年のうち最も昼の時間(日の出から日の入りまでの時間)が長くなる日のことです。一方、南半球では逆に1年のうちで昼の時間が最も短くなる日です。

夏至は昼間が最も長い日ですが、1年で一番太陽の沈む時間が遅い日ではありません。また、1年で太陽が出るのが最も早い日とも異なります。なお、1年で最も太陽の出るのが早い日は夏至の約1週間前、1年で最も太陽の沈むのが遅い日は夏至の約1週間後です。

夏至は太陽の出ている時間が1年で一番長い日ですが、最も暑い日ではありません。夏至を迎えたあとから気温が上がり、本格的な夏を迎えます。日本では、7月後半から8月ごろが気温が最も高い時期です。

夏至の仕組み

地球には地軸と呼ばれる北極と南極を結ぶ線があり、一定方向に傾いています。そして、1年かけて地球は太陽の周りを1周し、地軸の北極側が最も太陽の方向に傾く日が夏至です。そのため、北半球では南中高度が高くなり、昼の時間が長くなります。
北極圏や周辺の地域では、24時間太陽が沈まず暗くならない現象である「白夜(びゃくや)」が起こります。

毎年同じ時期に夏至を迎えますが、日付が定められているわけではありません。多くの場合は6月21日か22日と決められており、たまにそれ以前の日にちになる場合があります。なお、2024年の夏至は6月21日です。

参照元
国立天文台「令和 6年(2024) 暦要項

冬至との違い

夏至は「1年で最も昼の時間が長い日」となり、「1年で最も昼の時間が短い日」が冬至となります。違いは、太陽の動きの変化によって、昼と夜の長さが逆転することです。

夏至の太陽は、最も北寄りの東から昇り、南中高度が最も高い場所を通って、最も北寄りの西に沈んでいきます。一方、冬至の太陽は、1年で最も南寄りの東から昇り、南中高度が最も低い場所を通って、最も南寄りの西に沈む流れです。そのため、太陽の通り道に距離の差が生まれることで、夏至と冬至は、昼間の長さが変わります。

日本の気候については「日本の季節や気候を解説!行事や伝統色についても」 「日本の気候や天気の特徴とは?各季節の注意すべきポイントも解説」にもまとめています。

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日本の夏至の風習とは

日本の夏至の風習とはの画像

日本の夏至は、全国的に夏至の日に食べると決まっているものはありません。古来、農作業の追い込み時期に当たる繁忙期であり、特有の風習が生まれにくかったのが理由です。しかし、一部の地域では豊作を祈願するための風習やお祭りが受け継がれているので紹介します。

夏至に食べられる食べ物

関西では夏至の食べ物としてタコが有名です。夏至の時期は田植えが終わって稲が成長する時期のため「稲の根がタコの足のようにしっかり根を張るように」「タコの8本足のようにたくさんの稲穂ができるように」という願いを込めて、タコを食べる風習ができたといわれています。

関東地方や奈良県、和歌山県などで食べられている夏至の食べ物は、新小麦で作った焼き餅です。また、同量の小麦ともち米を混ぜ合わせてついたお餅で、田植えが無事に終わったことを神様に感謝し、小麦餅を供えて豊作を祈るという古くからの風習もあります。奈良では半夏生餅(はげっしょうもち)という名前です。

愛知県の尾張地方など一部の地域では、夏至にイチジク田楽を食べます。半分に切ったイチジクに田楽味噌をかけた食べ物です。イチジクは、かつて不老長寿の果物と呼ばれていました。田楽は、平安時代中期に成立した豊作を祈願する踊りを起源としているため、イチジク田楽は健康と豊作への願いを込め、夏至に食べられるようになったようです。

福井県では、夏至から11日前後の日にサバの丸焼きを食べる風習があります。サバを食べるのは、暑さの厳しい夏を乗り越えるための必要な栄養が補えるためという説です。

夏至に行われるお祭り

三重県伊勢市にある二見興玉(ふたみおきたま)神社では、毎年夏至のお祭りが行われています。二見興玉神社の夏至祭は、日の出を拝みながら海に浸かり身体を清める行事です。

二見興玉神社の近くにある海は、古くから人々が海水を浴び心身を清める場所とされてきました。海上には夫婦岩といわれる大きな二対の岩があり、夏至の日の前後に夫婦岩の間から太陽が昇る様子が見られます。岩の間から太陽が昇る神々しい光景を見るため、多くの人が参加するお祭りです。

日本の夏の楽しみ方や行事については「日本の夏をいっそう楽しめる代表的な行事を紹介!」 「夏の風物詩を知りたい人へ!食べ物やイベントを紹介」にもまとめています。

世界の夏至の風習とは

世界の夏至の風習とはの画像

海外にも夏至に行われるさまざまな風習があります。以下は、夏至に行われる世界のお祭りや風習を紹介します。

中国

北京で食べられている夏至の食べ物は、麺類です。毎年夏至は、生野菜と冷麺を食べ始めてよいという時期だと古くからいわれています。

南京に住んでいる人たちの風習は「エンドウ羊羹」を子どもに食べさせて病から守ることです。蒸し暑い夏は食欲不振になりがちであるため、子どもにエンドウ羊羹を食べさせ、食欲を上げる目的が由来とされています。ほかにも、夏至に冷麺を食べて体重を測るのも風習です。

スウェーデン

スウェーデンの画像

スウェーデンには夏至を祝う夏至祭(ミッドサマー)という盛大なお祭りがあります。このミッドサマーをクリスマスよりも重要な日と位置づける人もいるようです。夏至の日と前日、前々日は祝日とされており、長期休暇を取り家族や友人とお祭りを楽しみます。

広場に集まった人々がジャガイモやニシンの料理を食べて、シュナップスというお酒とともに語り合うのが習わしです。頭に花で作った冠を載せたり草花で飾った白樺のポールである「メイポール」を広場に立て、場が盛り上がってくると、楽器の演奏をしたりメイポールを囲んで踊ったりします。

フィンランド

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フィンランドもスウェーデンと同じく夏至の時期に白夜を迎え、夏至祭を盛大に行う国です。以前は夏至祭が行われている最中は「コッコ」といわれるかがり火を焚いて悪魔を遠ざけ、作物の豊作を願っていました。現代でも、賑やかにすることで悪魔を払えて幸運がやってくるとされています。新じゃがやスモークした魚などを食べてゆっくりと日の沈まない夏の夜を楽しむのが醍醐味です。

フィンランドでは、古くから夏至の日にパートナーにまつわる行事や風習も行われてきました。たとえば、夏至の日に7種類の花を枕の下に置いて眠ると、夢で将来のパートナーが分かるという言い伝えがあります。また、夏至に結婚式を挙げるのも風習の一つです。

イギリス

イギリスの画像

イギリスでは、夏至の日にイングランド中部にある世界遺産「ストーンヘンジ」で、古代ケルト人の宗教「ドルイド教」による祭祀が行われます。

ストーンヘンジは、巨大な石が環状に配置された古代遺跡です。夏至の日には、ヒールストーンという石とストーンヘンジの中心にある石の直線上に太陽が昇ります。古代遺跡から昇る太陽を見るために、毎年多くの人が訪れる場所です。普段は近寄れないストーンヘンジですが、夏至の夜から次の日の昼までは無料で解放されており、近くまで行き石に触れることもできます。

ポーランド

ポーランドの画像

古来、ポーランドでは、夏至祭に健康や豊作を願って占いや儀式を行っていたようです。焚き火にヨモギやセージを投げ入れると、子孫繁栄と豊作にご利益があるとされてきました。

また、ポーランドでは「夏至の夜に人々が恋に落ちる」との言い伝えも。かつては川を挟んで未婚の男女が立ち、女性が川に流した花輪を男性がとるという行事がありました。
現在では、街を流れるヴィスワ川に巨大な花冠を浮かべ、コンサートなどで夏至を祝うお祭りが行われています。

ギリシャ

ギリシャの画像

ギリシャは、夏至の約3日後に訪れる「聖ヨハネの日」に、さまざまな風習を行う国です。たとえば、未婚の女性はイチジクの木の下に自分の持ち物を置いておきます。夏至の魔法で将来の夫を夢に見られるという言い伝えがあり、この風習をきっかけに新しいカップルが生まれる場合もあるようです。

日本の夏のお祭りについてもっと知りたい方は「夏祭りといえば何が思い浮かぶ?花火や屋台の食べ物などを紹介」 「日本の盆踊りとは?歴史や曲を知って実際に参加してみよう」に紹介しています。

まとめ

まとめの画像

夏至は1年で一番太陽が昼間の時間が長い日です。夏至を迎えたあとから、気温が上がり、本格的な夏を迎えます。日本では、地域によってタコや小麦餅、サバなどを食べる習わしがありますが、全国に共通した夏至の風習は少ないでしょう。世界各国では、さまざまな夏至のお祭りが行われます。夏至を楽しむ際の参考にしてください。

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