日本では、多くの企業でPCを使って仕事を進めています。そのため、PCスキルに関する資格を取ると業務に必要な知識や技術があることを証明できるので、就職に有利です。
この記事では、日本で就職するために必要なPCスキルを紹介。求人の応募条件に多いPCスキルや面接でPCスキルを伝える際のポイントもまとめています。企業で働く際に役立つPCの資格を取得して、就職活動でアピールしましょう。
目次
PC(パソコン)スキルに関する資格・試験
PCスキルに関する資格を取得していると、就職活動の際にアピールしやすいです。「Excelで関数を使用できる」「Wordで文書作成が可能」と言うより、具体的な資格名を伝えたほうが説得力があります。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)とは、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookのスキルを証明する資格のことです。MOSは企業でよく使用されるソフトウェアの基本操作から応用まで学べる資格のため、取得しておくと就職した際に役立ちます。
特に日本企業の事務職では、Wordを使った書類作成やExcelを使用した表やグラフの作成などのスキルが必要です。入社前からMOSの資格を取得していると、就職後に即戦力として働けるでしょう。
試験では、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookのなかから受験科目を選べます。希望する職種が求めているPCスキルを把握したうえで、必要な試験科目を受験すると良いでしょう。
VBAエキスパート
VBAエキスパートは、Excel・AccessのマクロやVBAのスキルを証明する資格のことです。マクロは、ExcelやAccess上で処理を自動化させる機能を指します。VBAは、処理を自動化させるために開発されたプログラミング言語です。
VBAエキスパートではマクロの読解や記述、VBAの文法や関数などの試験問題が出題されます。ExcelとAccessで試験が分かれていて、レベルはベーシックとスタンダードの2種類です。システムエンジニアやプログラマーを目指す人は、ExcelとAccessともにスタンダードのレベルを目指しましょう。
日商PC検定
日商PC検定では、Wordを使用した文書作成やExcelでのデータ処理、PowerPointを使ったプレゼンテーション資料作成のスキルを測れます。出題されるのは、企業で使用する文書作成や表計算などの基本的なPCスキルに加えて、IT・ネットワークの知識に関する問題です。そのため、日本でIT企業や関連会社への就職を目指す方におすすめします。
日商PC検定のレベルは、ベーシック・3級・2級・1級の4つに分けられています。ベーシックは、ワープロソフトや表計算ソフトの基本的な操作ができるレベルです。1級になるとかなり難易度が上がり、IT・ネットワークの知識を活かして企業責任者として経営判断を行えるレベルが求められます。また、ほかの級が択一式であるのに対して1級は論述式で答えなくてはなりません。日商PC検定を受験する場合は、履歴書や面接でアピールするためにより高いレベルを目指すのがおすすめです。
ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)
ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)では、ICT(情報通信技術)の活用能力が問われます。1級から5級までのレベルがあり、PCの初心者やICTを活用した企画・管理を行う人など、幅広いニーズに対応しているのが特徴。特定のソフトウェアに関する試験ではないため、PCの基本操作や仕組み、情報処理などの知識を身に付けたい人におすすめです。
P検の5級の試験は、公式Webサイトから無料で受けられます。試験内容は、PC知識やネットワーク、情報モラル、セキュリティについてです。PC初心者向けの選択式テストで何度でも受験できるため、P検の特徴を掴みたい人は試しに受けてみると良いでしょう。ただし、日本で就職活動する際にPCのスキルや知識をアピールするには、3級以上の取得が必要です。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、合格するとITに関する知識を証明できます。出題されるのは、AIやIoTなどの新しい技術や経営戦略・マーケティングなどの知識、ネットワークやセキュリティに関する知識などを問う問題です。
ITの知識が必要なのは技術職の人だけだと思われがちですが、実際には業種や職種に関係なく必要です。たとえば、顧客管理や生産管理などの業務はIT化されています。ITに関する知識がないと、顧客情報が漏洩してしまったり生産管理システムを理解できなかったりするでしょう。
そのため、日本で就職を希望する方は、ITの知識を身に付けるためにITパスポート試験を受験するのがおすすめです。ITパスポート試験は権威のある国家試験のため、就職活動を行う際にアピールしやすいでしょう。
サーティファイ資格検定試験
サーティファイ資格検定試験では、ITやプログラミング、Web、コミュニケーションなど、ビジネスに必要な知識やPCスキルに関する問題が出題されます。試験科目は7分野27種類です。そのなかでも、日本での就職活動でPCスキルをアピールしやすい5つの資格を紹介します。
Excel表計算処理技能認定試験
表・グラフ作成やデータ集計、関数などの操作スキルを測定する試験です。知識問題と実技問題があり、実技試験ではデータから分析表といった「完成物」を作成します。
実際に日本の企業で働くと、表を用いた報告書や請求書の作成、アンケート結果の集計などの能力が求められます。Excel®表計算処理技能認定試験では実務を想定した試験内容が出題されるため、合格できれば就職後に役立つPCスキルがあることを証明可能です。
Excelビジネススキル検定
Excelビジネススキル検定は、Excelの基本知識があり応用力を身に付けたい人におすすめです。スタンダードとエキスパートの2つのレベルがあります。
スタンダードで出題されるのは、四則演算や関数の知識を活用してデータの集計を行ったりグラフを作成したりする能力を問う問題です。一方、エキスパートでは、数式を使った集計やデータの結果を活用した分析などに関する問題が出されます。
Word文書処理技能認定試験
Word文書処理技能認定試験では、Microsoft Wordを用いた文書作成スキルと業務への展開能力を問われます。出題されるのは、文章の作成や表・グラフの挿入、印刷などの実用的なスキルが試される問題です。
1級から3級までのレベルがあり、1級・2級では実技試験90分と知識試験15分を受けます。3級の試験内容は実技試験60分のみです。
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験では、プレゼンテーションのスライド作成のスキルが試されます。出題されるのは、業務でスライドを作成する際に必要なアニメーションの設定や図形の挿入などに関する問題です。PC上で出題される問題文を読み、指示やテーマに従って解答を提出します。
Accessビジネスデータベース技能認定試験
Accessビジネスデータベース技能認定試験では、Microsoft Accessを用いたデータベースのシステム構築技能とデータベースに関係するビジネス実務能力が測れます。出題されるのは、Accessでのデータベースの作成やデータの加工方法など、実務を想定した問題です。
日本の企業に就職すると、顧客情報や受注データ、売上の管理などでAccessのスキルが求められる場合があります。ほかのソフトウェアと比べてAccessを使える人は少ないため、Access®ビジネスデータベース技能認定試験に合格すると就職する際に有利になるでしょう。
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験では、CADというPCで図面を作成するソフトウェアのスキルが測れます。CADは、建物や家具、機械、衣服などさまざまな物を作る企業で使われるソフトウェアです。
試験には、2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験の2種類があります。自分が就職したい業界でよく使われるCADの種類を調べたうえで、受ける試験を選びましょう。日本でものづくりを行っている企業に就職したい方におすすめの試験です。
「外国人におすすめの就職資格!日本語能力を測る検定も紹介」の記事では、日本で就職する際に役立つ語学関連の資格を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
参照元 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験」
ピックアップ記事
日本で就職するために必要なPC(パソコン)スキル
日本企業への就職を目指す方は、文字入力の仕方はもちろん、Word・Excel・PowerPointの操作スキルを身に付けておきましょう。また、メール作成やファイル管理などの基本的なPCスキルも必要です。
タッチタイピング
キーを見ずに打つタッチタイピングを身に付けて、迅速かつ正確に文字入力できるようになりましょう。タイピングソフトを使用して練習するのもおすすめです。
タッチタイピングを練習するとともに、ショートカットキーも覚えましょう。ショートカットキーとは、複数のキーを同時に押すことでPCの操作を短縮できる機能です。種類が多いので、頻繁に行うショートカットキーから覚えるのがおすすめです。タッチタイピングとショートカットキーはソフトウェアの種類に関係なく使えるスキルで、業務を効率化できるのでぜひマスターしましょう。
基本的なソフトの操作
タッチタイピングを身に付けたら、Word・Excel・PowerPointといった基本的なPCソフトの使い方を覚えましょう。
Word
Wordで必要な基本スキルは、文字入力と文書作成です。ビジネス文書を作成する際は、適切な用紙サイズを選択して日付や宛名、差出人、タイトルを入力します。文字の大きさや種類、段落などの書式設定のほか、表やグラフの挿入の仕方も覚えましょう。
スキルアップを目指す人は、より長い文書の作成を目指しましょう。長い文書を作成する際は、目次設定や罫線の挿入、セクション区切りの使用など多くのスキルが求められます。また、WordやExcelで作成した文書の宛名や住所だけを差し替えて印刷する「差し込み印刷」の知識も身につけましょう。さらに、業務を自動化させるWordマクロについても知っておくと、より効率的に業務を行えます。
Excel
Excelでは、表・グラフの作成や四則演算、SUM関数・AVERAGE関数などの簡単な関数を使える程度のスキルが必要とされます。さらに、セルの結合や表のレイアウト調整、編集をスムーズに行うスキルも大切です。
さらにスキルアップしたい方は、難易度の高い関数や計算式を使いこなせるようになりましょう。ROUNDDOWN関数・VLOOKUP関数・IF関数・COUNT関数などが使えると便利です。必要なデータを抽出したり並び替えたりするスキルもあると良いでしょう。
PowerPoint
PowerPointで必要なスキルは、スライドの作成や画像・データの挿入などです。作成するスライドのテーマに合わせて、文字の書式や背景色を管理する「スライドマスター」を使いこなせるようになりましょう。より効果的なプレゼンテーションをするためには、アニメーションやリンクを追加するスキルも求められます。グラフィック機能を使用した画像編集もできるようにしておくと良いでしょう。
さらにハイレベルなスライドを作りたい方は、音楽やビデオの挿入の方法を学ぶのがおすすめです。また、SmartArtにある組織図やピラミッド図を活用できると、より分かりやすいスライドを作成できます。
メール作成
日本の企業に就職したい方は、正しい敬語や文法を使ってビジネスメールを作れるようになりましょう。TO・CC・BCCの使い分けや添付ファイルの縮小と拡大に関する知識も身につける必要があります。また、メールで送信できるデータサイズを把握しておくことも大切です。
ファイル管理
基本的なPCスキルには、ファイル管理も含まれます。ファイル管理とは、作成した文書やスライドを正しく保存して管理することです。
データを作成したら、Word文書であれば「docx」、スライドであれば「pptx」など、適した拡張子を付けて保存しましょう。プロジェクトや年代ごとにフォルダにまとめて管理すると、必要な資料をすぐに探せます。
日本語でメールを書く際は、マナーや独自のルール、敬語表現に注意が必要です。日本語のメールの書き方については、「日本語のメールの書き方を知りたい方に例文やポイントを紹介」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
求人の応募条件に多いPC(パソコン)スキルとは?
多くの求人では、基本的にWord・Excel・PowerPointの知識やスキルが求められています。
ただし、職種によって必要なPCスキルは異なります。たとえば、一般的な事務職ではWord・Excel・PowerPointのスキルが必要です。対して、Webデザイナーであればillustrator・Photoshopのスキルが必須でしょう。ソフトウェアの使用スキルがなくても、メール作成やファイル保存ができれば良いとしている企業もあります。PCスキルについて明確な記載がない場合は、職種から必要なスキルを判断するのがおすすめです。
面接でPC(パソコン)スキルを伝える際のポイント
日本で就職活動を行う方は、面接でPCスキルを聞かれたときに具体的に答えるようにしましょう。たとえば、使用できるソフトウェアの種類や行える操作、PCを使う頻度などを伝えます。また、資格を取得している場合は、資格名とレベル(級)を伝えましょう。マイナスな印象を与えてしまうのは、「大体できます」「多分使用できます」などの曖昧な答え方です。曖昧な回答をすると、「本当にPCスキルがあるのか」「適当に答えているのではないか」と採用担当者を不安にさせます。
PCスキルに自信がない場合は、ただ「使えません」と答えるのではなく、勉強中である旨を伝えましょう。その際も、「MOS取得に向けて勉強中です」というように、なるべく具体的な内容を答えるのがおすすめです。
「転職の面接で外国人が聞かれる質問と回答例 「日本に来た理由」はどう答える?」では、面接でよく聞かれる質問について解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
就職活動を行う際は、Word・Excel・PowerPointなどのPCスキルを証明できる資格を取得しておくと有利でしょう。目指す企業や職種によって求められる能力が異なるため、自分に合った資格試験を受けて必要なPCスキルを身に付けるのがおすすめです。
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