日本の伝統文化を一覧で紹介!継承への取り組みとは

WeXpats
2024/07/03

日本の伝統文化は、昔ながらのかたちを大切にしながら脈々と受け継がれてきました。近年は、興味を持ってくれる人を増やすべく、海外への情報発信を積極的に行っています。
この記事では、衣食住や芸能、芸道に関する伝統文化を紹介。また、遊びや正月の文化もまとめています。
伝統文化は衰退の危機に瀕しています。興味を持ってくれる人が減り続ければ、いずれ消滅してしま
う可能性もあるのです。少しでも気になるものがあれば、ぜひ体験して楽しんでみてください。日本に古くから伝わる文化を知ることは、日本人の価値観を理解する際の助けになるでしょう。

目次

  1. 日本の伝統文化の特徴
  2. 日本の衣食住に関する伝統文化
  3. 日本の芸能に関する伝統文化
  4. 日本の伝統的な芸道文化
  5. 日本の伝統的な遊びの文化
  6. 日本のお正月に関する伝統文化
  7. 日本の冠婚葬祭に関する伝統文化
  8. 日本の伝統文化の現状と継承への取り組み
  9. まとめ

日本の伝統文化の特徴

日本の伝統文化は「禅」や「わびさび」の概念の影響を大きく受けています。

禅とは中国から日本に伝わった仏教の宗派「禅宗」のことです。精神を統一して人間らしく生きることを目的としており、武道や茶道、書道などのさまざまな伝統文化に影響を与えてきました。

わびさびは、派手さがない落ち着いた美しさを表す言葉です。日本建築や日本庭園などは、趣や味わいを感じられるようにあえて質素に作られています。

これらの特有の概念や美意識が分かってくると、より日本の伝統文化の特徴や奥深さを理解しやすくなるでしょう。

わびさびの意味を簡単に解説!日本人でも説明しにくい独特な美意識の概念」や「日本文化の特徴を紹介!独自の伝統や習慣を知ろう」の記事では、わびさびについて詳しく説明しています。

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日本の衣食住に関する伝統文化

伝統文化は、衣食住と密接に関係しています。代表的な和食や着物はもちろん、温泉や畳、襖(ふすま)なども立派な日本特有の文化です。

和食

和食は、山が多く周囲を海に囲まれた日本の風土が生み出した食文化で、豊かな自然がもたらす四季折々の食材が用いられています。日本では古くから自然を敬い、その恵みに感謝する心を大切にしてきました。そのため、食材を無駄なく使う調理方法が浸透しており、食事をする場所や食べ方にまでこだわりがあります。

和食は「うま味」と呼ばれる第5の味を持つ食文化です。うま味はかつお節や昆布、干し椎茸などに含まれている成分がナトリウムやカリウムと結合した際に生まれます。

うま味や塩、味噌、醤油などを用いた素材の味を活かす繊細な味付けが、和食の最大の特徴です。

日本の食文化について詳しく知りたい方は「日本の食文化「和食」とは?特徴や文化の違いについても紹介」をご覧ください。

和菓子

和菓子は、歴史を辿ると縄文時代から日本で食されてきた、伝統的な食べ物です。稲作が伝わったころから餅が生まれ、茶道の確立とともにさまざまな和菓子が作られてきました。

代表的な和菓子である「練り切り」は、季節の植物や可愛らしい動物が人気のモチーフとなった美しい見た目が特徴です。食べるのがもったいないようなビジュアルも、伝統文化として確立されています。

まんじゅうやカステラ、どら焼きはコンビニやスーパーでも売っており、気軽に楽しめる和菓子です。

日本建築

伝統的な日本建築も文化の一つです。気候風土に適しており良い木材が手に入りやすいため、日本では古くから木造建築が用いられてきました。現在でも、伝統的な技法で建てられた文化的建築物が数多く残っています。

木造建築の工法は時代ごとに変化し、徐々に建築技術が向上していきました。神社や仏閣の建築を手がける大工は「宮大工」と呼ばれ、金属の部品がまだ貴重だった時代に高度な木組みの技術で釘を一本も使わずに建築物を造り上げました。

地震の多い風土にあわせた技法も日本建築の特徴です。たとえば、世界文化遺産である「法隆寺」の建築では、中心に心柱と呼ばれる柱を取りつけて各階を独立させ、地震時に倒壊しないよう振動を逃がす技法が用いられました。

日本建築の特徴とは?歴史や有名な建物も紹介」の記事でも、日本建築について解説しています。

日本庭園

伝統的な日本庭園は造り方や鑑賞方法によっていくつもの種類があります。
建物から眺めるタイプの庭園は「鑑賞式庭園」、歩きながら鑑賞するタイプは「廻遊式庭園」です。舟から眺める「舟遊式庭園」という種類もあります。

造り方もさまざまあり、水を使わずに石や砂で自然を表現する「枯山水庭園」が特に有名です。江戸時代に各大名が作った大規模な庭園の多くは「池泉庭園」や「築山林泉庭園」と呼ばれ、大きな人口的な池を中心に構成されます。

温泉

日本人にとって、温泉は体を洗い清潔にするだけの行為ではありません。湯の効能で疲労やケガ、病気を治す湯治(とうじ)は、古くから伝わる伝統文化です。

火山の多い日本には、各地にさまざまな効能を持った温泉がたくさんあります。ただ湯に浸かるだけでなく、各地方の温泉宿に泊まって郷土料理や観光を楽しむのも温泉の醍醐味です。

温泉については「火山と温泉はどのような関係があるの?仕組みや有名な火山性温泉を解説!」や「日本のお風呂の入浴方法は独特?文化や海外との違いなどを紹介!」の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

襖・障子

襖(ふすま)や障子(しょうじ)も、日本独自の文化として発展してきました。
襖とは、部屋と部屋を仕切る役割を持つ戸のことです。障子は木の枠に薄い障子紙を貼った戸で、ほどよく風や日の光を通すので窓の近くに取り付けられます。

畳は、い草という植物から作られた床材です。襖や障子と並んで、和室を構成する重要な要素といえるでしょう。古くから伝わる畳を作るための「織り」や「貼り付け」の技術は、未来に語り継がれるべき伝統文化です。

華道や茶道、柔道などはすべて畳の部屋で行われており、ほかの文化とも密接に関係しています。

着物

着物は日本の伝統的な民族衣装です。そのものが美しいだけでなく、帯や草履、足袋、かんざしといった小物との組み合わせを楽しめるのも着物の魅力です。

着物は原型が生まれた平安時代から、外国文化の影響を受ける明治時代まで、日本人の衣服として日常的に着られていました。近年は、普段着として着る機会は少なくなりましたが、結婚式や成人式、お宮参りといった祝いの行事で正装として身に着ける習慣があります。

日本の着物に関しては「日本の着物に興味がある外国人に向けて歴史や種類を解説!」で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひ読んでみてください。

工芸

伝統工芸品は、各地方ごとに発展してきました。焼き物や織物などはもちろん、和紙や筆、文具にまでも伝統的な技法で作られたものがあります。どれも日本らしさが感じられる品物で、お土産にも人気です。

旅行に行ったときは、各地方の工芸品もチェックしてみると良いでしょう。

日本の伝統工芸について解説!古くから受け継がれる奥深い魅力とは」や「日本の伝統工芸品を一覧で紹介!有名な漆器や海外でも人気の和紙を知りたい」の記事では、各地方の伝統工芸品を紹介しています。

日本の芸能に関する伝統文化

芸能分野に関連する伝統文化を一覧で紹介します。

歌舞伎

歌舞伎は日本を代表する伝統的な演劇の一つで、無形文化遺産に登録されています。江戸時代に流行し、庶民に愛された娯楽です。時代ごとの流行を積極的に取り入れており、舞踊・セリフ・音楽の要素を持つ総合芸術として現代でも広く親しまれています。

かつては女性や少年も演じていた歌舞伎ですが、あまりの人気と盛り上がりから演者は男性のみに限定されました。そのため、現代でも衣装や化粧、しぐさなどを工夫した「女方」と呼ばれる男性が女性の役を演じています。

日本の歌舞伎の特徴や歴史を簡単に解説!役者や人気の演目も紹介」の記事では、歌舞伎役者や人気のある演目についても紹介しています。

伝統文化における歌は、いわゆる歌手が歌うものではありません。俳句や短歌をはじめとした言葉の組み合わせで感情や情景を表現する文化の総称です。

俳句は「5・7・5」の17音で構成される短い詩で、「季語」を入れるのが特徴です。たとえば、日本の有名な俳人である松尾芭蕉の「古池や・蛙飛び込む・水の音」という俳句の季語は「蛙」で、春の情景を表しています。

短歌は、「5・7・5・7・7」の31音で情景や感情を表現する日本の伝統文化です。俳句よりも文字数が多く、季語を入れる必要もありません。作り方の制限が少ないため、日々の暮らしや恋愛が題材になることもよくあります。

俳句についてより詳しく知りたい方は「外国人にも人気のある俳句とは?英語で詠むHAIKUのルールも解説」の記事を参考にご覧ください。

狂言・能

能と狂言は、室町時代から伝わる伝統的な舞台芸術です。古くは、豊臣秀吉や徳川家康などの戦国武将にも愛されていました。

能は古典文学を題材に、能面というお面を付けて歌に合わせて踊ります。歌や踊り、演奏を中心とし、セリフは格調高い文語調です。
一方、狂言は口語調のセリフが中心で、笑いに重点を置いています。

基本的に能と狂言は同じ舞台で交互に演じられるのが一般的です。

雅楽

雅楽とは日本に古来からあった舞楽、中国大陸や朝鮮半島などから伝来した外来の舞楽、平安時代に生まれた催馬楽と朗詠の総称です。奈良時代・平安時代からあった伝統芸能で、宮廷や神社、寺院などで演奏されてきました。現代では、天皇陛下や皇族の公務・生活を補助する宮内庁に雅楽が伝承されているほか、民間の演奏団体もあります。

日本人にとって、雅楽が最も身近になるのはお正月です。元旦を迎えるとテレビ番組やデパートで、『越天楽』や『春の海』といった雅楽の有名な曲が繰り返し流れます。神聖な雰囲気がおめでたい気持ちを盛り上げるので、いつしかお正月の定番曲になりました。

雅楽については、「日本の音楽の魅力を詳しく解説!歴史や伝統的な楽器を知ろう」の記事でも紹介しています。

和太鼓

日本の伝統的な太鼓の総称を和太鼓といいます。お囃子の伴奏で使われる締太鼓や踊りながら叩く桶太鼓など種類はさまざまです。

和太鼓の歴史は、縄文時代までさかのぼります。古くは戦争時の合図や情報伝達として用いられてきました。先述した歌舞伎や能の舞台にも、和太鼓の演奏は欠かせません。現在では、和太鼓と現代の音楽を組み合わせたアーティストも登場しています。

三味線

三味線は日本を代表する伝統的な楽器で、歌舞伎の伴奏でも用いられます。3本の弦を撥(ばち)ではじいて音を奏でるのが特徴です。

優雅な所作を身に付けられるので、江戸時代は女児の定番の習い事でした。現代でも、女性の習い事として人気があります。

琴(筝)

琴(箏)は木でできた胴に張られた弦を指や道具ではじいて音を出します。大きい横長の楽器で、床や椅子に座って演奏するのが特徴です。

小型の「文化琴」やピアノのような鍵盤が付いた「大正琴」は、習いやすく現代までも広く親しまれています。

落語

落語は落語家と呼ばれる人が一人で何役もの登場人物を演じ、面白くおかしなストーリーを展開する話芸です。落語家は着物を着て座布団に座り、さまざまな話を観客に披露します。話の終わりに「落ち」という明確なしめくくりがあるため、明治時代以降から落語と呼ばれだしました。

落語はときに扇子や座布団などの小道具を使い、見る人の想像力を掻き立てて話をより面白く感じさせます。現在の漫才やコントの先駆けといえるでしょう。

日本舞踊

日本舞踊は、歌舞伎舞踊を基本とした日本の伝統芸能の一つです。明治時代から大正時代にかけて日本の楽劇として、女性を中心に広まりました。着物を着て踊る動きやしぐさ、立ち居振る舞いが美しく、現代でも高く評価されています。

日本舞踊では、自然風景を模して踊ったり小道具として扇を持ったりするのが特徴です。また、若い娘や武士、狐などさまざまな役を踊りで表現します。一人の人物が何役も踊り分けることもあるため、日本舞踊を踊るには表現力と技術力が必要です。

日本舞踊は三味線や太鼓、笛などに合わせて舞うので、伝統的な楽器の演奏もあわせて楽しめます。

人形浄瑠璃文楽

人形浄瑠璃は、三味線の音や語りに合わせて人形をあやつる演劇です。そのうち、大阪の文楽座発祥の系譜を、「人形浄瑠璃文楽(にんぎょうじょうるりぶんらく)」といいます。

太夫の語りと三味線、人形遣いが息を合わせて物語を表現するのが特徴です。1~3人の人形遣いが操る人形は生きているように動き回ります。なかには、「人間よりも人間らしい動き」と表現する人もいるほどです。

猿回し

猿回しとは、1000年以上前から行われている猿に芸を教えて芸を見せる大道芸です。一度衰退しましたが、大衆性を持たせたことにより昭和後期に復活しました。

現代では、栃木県日光市にある「おさるランド」で常時観覧が可能です。また、お正月やお花見のイベントで、猿回しのイベントが行われることもあります。

日本には数多くの伝統芸能が存在します。「日本の伝統芸能の種類を一覧で紹介!海外にも伝わる魅力とは」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

日本の伝統的な芸道文化

芸道とは、長い年月を掛けて極める芸や技術のことです。ここでは、日本の伝統的な芸道文化について解説します。

武道

武道とは、日本で独自に発展した自身を守り敵を倒すための武術です。武士道から生まれた伝統文化で、体を鍛えるのはもちろん、人格の育成や礼儀を身に付けることも重視しています。
日本武道協議会により武道に定められているのは、以下の9種類の運動文化です。

  • 柔道

  • 剣道

  • 弓道

  • 相撲

  • 空手道

  • 合気道

  • 少林寺拳法

  • なぎなた

  • 銃剣道

特に、海外でも競技人口の多い柔道や空手、竹刀を使った剣道、国民に日本の国技として受け入れられている相撲は、学生の部活動や習い事として現在でも親しまれています。

武道に今日のある方は「武道の種類まとめ!始め方や道具の値段も解説」の記事もぜひご覧ください。

華道

華道は草木や花を花器に活け、鑑賞する芸道です。ただ美しく花を生けるのが目的ではなく、生ける人の精神性を高めることも重要視されています。込められた感情やメッセージを伝えるため、ときには苔や枯れ枝などが使われるのも特徴です。
華やかさを重視しない点は、美しく空間を彩るフラワーアレンジメントと大きく異なる点といえるでしょう。

華道は日本三大芸道の一つです。詳しくは「茶道・華道・書道って何?日本の伝統芸能について知ろう」の記事でも触れています。

茶道

茶道とは、お茶を点てて客人に振る舞う芸道です。お茶の点て方のほか、客人をもてなすための動作や人々の交流、茶器の鑑賞なども重視されます。近年の抹茶味ブームと相まって、世界から注目されている日本文化です。

茶道は日本の伝統文化!表千家と裏千家とは?流派の違いや歴史を知ろう」は、茶道に焦点を当てた記事です。

書道

書道とは、筆と墨を使って書いた文字で自己表現をする芸道です。ただ文字を美しく書くだけでなく、墨のすり方や姿勢などの所作を極め、精神を鍛錬することも目的とされています。

近年は高校生を中心に「書道パフォーマンス」も盛んです。音楽に合わせながら4×6mの大きな用紙に巨大な筆で作品を書く団体競技で、『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』という映画で有名になりました。

香道

香道は香木をたいて香りを鑑賞する芸道です。香道の会では、主にいくつかのテーマに合わせてたかれた香りをかぎ分ける「組み香」が行われます。ただの香り当てゲームではなく、香りを通して古典文学の世界を感じる崇高な遊びです。

参照元
公益社団法人日本武道館「武道の定義

日本の伝統的な遊びの文化

古くから人々に伝わる遊びも立派な伝統文化の一つ。ここでは、特に有名な遊びについて解説します。

折り紙

動物や植物、雑貨などのかたちを紙を折るだけで表現する遊びです。折り紙文化は、和紙の製造技術とともに向上しました。海外でも「Origami」で意味が通じます。

折り紙で折った鶴をたくさん集めて作った千羽鶴は、お見舞いや幸福祈願の贈り物の定番です。

すごろく

すごろくは、さいころを振って出た目の数だけ駒を進めてゴールを目指すボードゲームです。インド発祥で、日本には奈良時代に中国から伝わりました。単純な遊びと思いきや、さまざまなテーマのすごろくが発売されており、大人も子どもも楽しめます。

おてだま

おてだまは、小豆や米を詰めた布袋を使った遊びです。1人で2~3個を曲芸のように投げて遊んだり、複数人と受け渡しして楽しんだりします。

お手玉に欠かせないのがわらべうた(童謡)。「あんたがたどこさ」や「おひとつおろして」などの歌にあわせ、お手玉を使って遊びます。

けん玉

けん玉は江戸時代から親しまれている日本の伝統的な遊びです。シンプルなおもちゃですが、さまざまな技が生み出されており、楽しみ方は無限大といえるでしょう。

日本では伝統的な遊びというイメージですが、海外ではスノーボードやスケートボードを楽しむ若者を中心に、クールなスポーツとして人気があります。

かるた

かるたは、読み上げられた読み札と対になる絵札を、床に並べられたもののなかから素早く探し出す遊びです。和歌が題材の百人一首が定番で、ほかにも各地方ごとの郷土かるたやアニメが題材のかるたなど、さまざまな種類があります。

日本のお正月に関する伝統文化

日本はアジア圏では珍しく1月1日がお正月です。1月1日~3日までの期間は「三が日」と呼ばれ、さまざまな伝統行事が行われます。

初詣

初詣は、年が明けてから神社やお寺に新年の平安を祈りに行く行事です。日付は特に決まっていませんが、関東では1月7日、関西では1月15日までに行くと良いとされています。基本的には1月1日~3日の三が日に参拝するのが一般的です。

東京都の「明治神宮」や千葉県の「成田山新勝寺」、大阪府の「住吉神社」などが初詣で賑わいます。初詣の時期には参道や境内のなかにさまざまな出店が出店されており、屋台グルメや射的などのゲームを楽しむことまで含めてが日本の文化といえるでしょう。

おせち

お正月には、縁起物や願いを込めた食べ物ばかりをお重に詰めた、「おせち」を食べる文化があります。豊作を祈るため神様に供えた食べ物を年が明けてから食べていたのが始まりです。

おせちの食材にはそれぞれ意味があり、たとえば黒豆には「真っ黒に日焼けするほど「まめ」に働けるように」という願いが込められています。

書き初め

書き初めは、新年の最初に毛筆で字をしたためる行事です。一般的には新年の目標や計画、願いごとが書かれます。通常書道で使われるA4サイズの用紙(半紙)のほか、長半紙と呼ばれる細長い用紙が使われるのが特徴です。

昨今、家庭で書き初めをすることは少なくなりました。今では小学生の冬休みの宿題の定番となっています。

福笑い

おかめやおたふくの輪郭が書かれた紙に、目隠しをして目や鼻、口などのパーツを置いていく遊びです。その場にいる人たちで、出来上がった顔の面白さを楽しみます。

おかめやおたふくの顔を使うのは、縁起の良いモチーフとされているからです。

お年玉

お正月には、ポチ袋と呼ばれる小さな封筒にお金を入れて子どもに渡す、「お年玉」という文化があります。お年玉を渡す対象は自分の子どもや孫、年少の親戚などです。日本はお正月に親戚一同で集まる文化があるため、このような風習が生まれました。

日本のお正月とは?玄関飾りや料理について解説!新年の過ごし方を知ろう」の記事では、伝統的なお正月の過ごし方を紹介しています。

日本の冠婚葬祭に関する伝統文化

ここでは、冠婚葬祭にまつわる日本の伝統的な風習を紹介します。

七五三

七五三は、子どもの7歳・5歳・3歳の節目に成長を祝う行事です。地域によって多少異なり、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳に祝います。住んでいる土地の守り神を参拝し、写真撮影をしたり親戚で集まって食事をしたりするのが風習です。

人生の節目の行事については「日本の行事やイベントを英語で紹介!季節のお祝いや祭りについて理解しよう」で詳しく紹介しています。

結納

結納とは、結婚を決めた男女が両家を行き来して結納の品を交わす文化です。縁起をかついだ9品目が結納品とされますが、内訳は地方によって大きく異なります。なお、昨今は両家合同の食事会だけで済ます場合も増えてきました。

通夜

葬儀の前に、故人と最後の別れをする行事を通夜といいます。仏教式では通夜を行ってから、葬儀・告別式があるのが一般的です。日本では、特に信仰している宗教がない場合、仏教式で儀式を行います。

お通夜が終わって翌朝の葬儀まで、故人と同じ部屋で過ごして見守るのも伝統的な文化の一つです。

葬式については「外国人必見!日本の葬式のマナーとは?焼香のあげ方や香典の包み方も解説」の記事を参考にしてください。

日本の伝統文化の現状と継承への取り組み

日本の伝統文化のなかには、衰退の危機に陥っているものがいくつもあります。関わる人は、古くから受け継いできた伝統を絶やさぬよう、さまざまな取り組みを行っているのです。

伝統文化は衰退しつつある

日本に存在する伝統文化の多くは次世代の担い手がおらず、文化の保守・継承が困難になりつつあります。少子高齢化のほか、昨今の急激なテクノロジーの発達や娯楽の多様化により、伝統文化に興味を持つ人が少なくなっているのも要因といえるでしょう。

伝統文化を守らなければならない理由

伝統文化を守らなければならない理由は、先人の知恵や思い、技術がつまっているからです。長い時間をかけて築き上げられたものであり、それらが途絶えてしまうのは国にとって大きな損失といえます。

また、一度途絶えてしまった文化を取り戻すのは簡単なことではありません。受け継がれてきた技術を伝える人が完全にいなくなってしまえば、いざ別の人が復活させたとしても別物になってしまうのです。

以上のことから、伝統の承継者が健在のうちに、次の世代に受け継いでいく必要があります。

後世に伝統文化を継承するための取り組み

日本では伝統文化を後世に残すため、政府や自治体が主体となってさまざまな取り組みを行っています。たとえば、文化庁が実施しているのは「伝統文化親子教室」という取り組みです。次世代を担う子供たちへ伝統文化を体験・習得できる機会を提供し、後継者となる人材を育てることを目的としています。

一方、地方自治体では町おこしに伝統文化を活用し、周知と地域の発展を両立させる取り組みも盛んです。たとえば、兵庫県出石町や熊本県山鹿市では、日本建築を活かした町おこしを行っています。

参照元
文化庁「伝統文化親子教室事業について

まとめ

日本の伝統文化は、国内外問わず魅力的なコンテンツとして注目されています。しかし、テクノロジーやインターネットの発展によって需要が減少し、次の世代への継承が難しくなっているのも事実です。日本の伝統文化を後世に残すには、多くの人が魅力や重要性に気づき、積極的に関わっていく必要があります。

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