日本での就職を考えている外国人のなかには、履歴書の書き方が分からず困っている方もいるでしょう。履歴書だけで採用の可否が決まることはありませんが、第一印象を左右する大切な書類です。そこで、このコラムでは履歴書の書き方を外国人向けに解説。記入例を添えて基本的なマナーやチェックポイントを紹介します。これから就職活動を行う外国人は参考にしてください。
目次
外国人が押さえるべき履歴書の書き方
履歴書を作成する際は、企業の採用担当者に「この人と会ってみたい」と思わせるような内容を書くのがポイントです。ここでは、記入例を添えて履歴書の書き方を紹介します。これから履歴書を作成する外国人は、参考にしてください。
基本情報
履歴書ではまず最初に氏名や住所、電話番号など個人情報を記載します。氏名欄には氏名を母国語で記入しましょう。氏名の上部に「ふりがな」と書かれている場合はひらがなで、「フリガナ」の場合はカタカナで書きます。
年齢欄には、履歴書を提出する時点での年齢を記載してください。住所は、マンション名やアパート名などを省略せずに正式名称で記入します。部屋番号も忘れないようにしましょう。また、選考結果が郵送で送られてくることもあるので、郵便番号も必ず記入します。
電話番号は携帯電話など、必ず連絡がつく番号を書きましょう。メールアドレスは就職活動用のアドレスを用意し、記載するのがベストです。
学歴・職歴
学歴・職歴欄はそれぞれ分けて記載します。記入欄の一行目中央に「学歴」と記入し、次の行から学歴を記入します。学校名や学部は正式名称で記入しましょう。学歴は最終学歴の1つ前から書くのが一般的です。最終学歴とは「最も高等な教育機関」を指します。たとえば、大学と専門学校を両方卒業している場合、卒業年に関係なく大学が最終学歴になるので注意しましょう。教育機関に在学中の学生は、最終学歴の最後の行に「卒業見込み」と書きます。
職歴は学歴から一行空けて中央に「職歴」と記入します。今まで働いた会社を順番に記入しましょう。また、会社ごとに「入社年度・会社名・所属部署・おおまかな仕事内容」を書きます。退職した会社がある場合は「退職年度・退職理由」を記入し、在職中であれば「現在に至る」と明記しましょう。学歴と職歴を記入したら、最後に右詰めで「以上」と記入します。
免許・資格
免許や資格を持っている外国人は、正式名称と取得年度を履歴書に記入しましょう。応募先の企業で活かせるような免許や資格は、アピールしやすいように上位に記載することをおすすめします。免許や資格を持っていない場合は、「特になし」と記入してください。
志望動機
履歴書のなかでも志望動機は重要な項目です。就職活動を行う外国人は、応募先の企業に合わせて具体的なPR内容を考えましょう。応募先に合わせた志望動機を作成するには、企業研究や自己分析が欠かせません。自分の経験や強みを絡めて、志望動機を具体的に記入しましょう。たとえば、販売や営業の仕事を志望する場合は以下のような志望動機が考えられます。
「私は幼少期から貴社が販売している製品を使用しており、その質の高さから日本のものづくりに興味を持って留学のために来日しました。私は英語と日本語が話せるので、語学力を活かして日本の製品を海外にも広めたいと思い、大学ではマーケティングを学びました。大学で学んだ知識を活かして、貴社のグローバルな事業展開に貢献したいと思います。」
志望動機で大切なのは、簡潔に分かりやすく述べることです。志望するきっかけや過程をまとめて、採用担当者に好印象を与えられる志望動機を作成しましょう。
趣味・特技
趣味・特技欄の内容は面接での話題になる可能性があるので、仕事に関係するものを記入しましょう。ギャンブルやお酒に関わる趣味はマイナスイメージにつながるので、記入しないほうが無難です。特になしと書いたり空欄のまま提出したりするのも、アピールポイントを減らすことになるので避けましょう。内容が思いつかない場合は、以下の例文を参考にしてみてください。
「私の趣味は旅行です。日本に来日してから長期休暇やGWなどを利用して、さまざまな都道府県を訪れました。旅先で出会った人と親しくなったり、その土地の風土について知れたりするのが好きで、今まで20以上の都道府県に旅行に行きました」
例文の内容では社交性やフットワークの軽さ、活発な性格などがアピールできます。ほかにも、スポーツや料理、DIYなど仕事に活かせそうな趣味・特技があればアピールしてみましょう。
本人希望欄
希望職種や伝えておきたいことがあれば、本人希望欄に記入しましょう。母国への帰国や宗教上の理由で配慮が必要になる場合、履歴書に書いておくと安心です。特に伝えることがない場合は、「貴社の規定に従います」と記入します。
日本の履歴書の特徴は、「外国人が日本の履歴書を書くコツとは?就職・転職で有利になる書き方を紹介」のコラムでも解説しているので参考にしてください。また、各記入内容の例やポイントは、「新卒就職を目指す外国人留学生に向けて履歴書の書き方を解説」で紹介しています。
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履歴書を書く際の基本マナー
ここでは履歴書の基本的なマナーを紹介します。マナーが守られていない履歴書は、書類選考を通過できない可能性が高いです。これから履歴書を作成する外国人は、以下のマナーを必ず覚えましょう。
状況に合わせたフォーマットの履歴書を用意する
就職活動を行う外国人は、自分の状況に応じた履歴書を用意しましょう。日本の履歴書にはパート・アルバイト用や転職用、就職用などさまざまなフォーマットがあります。それぞれ記入欄の種類やサイズが異なるため、しっかり自分をアピールできるように状況に応じた履歴書を選ぶのが重要です。
黒いボールペンで記入する
履歴書は鉛筆やシャープペンシルで下書きをしても構いませんが、清書は必ず黒いボールペンで行います。消せるボールペンは摩擦で消えてしまう可能性があるので、ゲルインクや油性インクのものがおすすめです。履歴書は記入する内容が多く書き損じる可能性が高いので、鉛筆やシャーペンを使って下書きしてからボールペンで書くと、ミスなくきれいに仕上げられます。
間違えたら書き直す
履歴書を修正液や修正テープで直す行為はマナー違反です。書き損じたときは新しい履歴書に書き直しましょう。履歴書は就職後も残る公的な書類です。二重性を引いたり訂正印を押したりするのも、マイナスイメージにつながる可能性があるので避けましょう。就業意欲をアピールするためにも、提出する履歴書はきれいに仕上げることをおすすめします。
履歴書の使いまわしは避ける
企業によって求める価値観や能力が異なるため、履歴書のコピーや使いまわしはしないのが賢明です。履歴書を使いまわすと応募先の企業に合ったアピールができません。履歴書を何枚も手書きで用意するのは大変ですが、必ず企業ごとに用意しましょう。
「外国人留学生に向けて履歴書の書き方を解説!注意点やマナーを紹介」のコラムでも、履歴書を書くときの注意点を紹介しているので、確認しておくと安心です。
外国人が履歴書を作成する際のポイント
外国人が履歴書を作成する際に最も重要となるポイントは、面接につながるような内容を作成することです。一般的に、日本の就職活動では書類選考後に面接が行われます。そのため、履歴書の内容に不備やミスがあると、採用担当者に「志望度が低い」と判断され、書類選考の段階で落とされる可能性が高いです。履歴書の内容が面接時の会話のきっかけになることもあるので、記載する内容には十分気をつけましょう。また、日本のマナーに則って履歴書を作成するのも大切です。日本で就職したい外国人は、基本的なマナーを押さえて履歴書を書くように心掛けましょう。
履歴書の提出前に確認
履歴書の作成を終えたら、応募先の企業に提出しても問題ないかチェックしましょう。自分のチェックだけでは不安な方は、第三者に見てもらうことをおすすめします。
誤字・脱字のチェック
履歴書で必ず確認してほしいのが誤字や脱字です。特に企業名を間違えると失礼に当たるうえ、企業に対する熱意が低いと思われかねないので注意しましょう。また、住所を間違えて記載していると郵送時に届かない可能性があります。履歴書を書く際は丁寧に記入することを心掛け、誤字や脱字がないか提出前に最終チェックを行いましょう。
空欄の有無
履歴書はすべての欄を埋めて提出しましょう。志望動機や趣味・特技欄が空白になっていると、採用担当者にマイナスイメージを与える可能性があります。自分の人柄や入社意欲を伝えるためにも、履歴書の項目はできるだけ埋めるのが大切です。
年号の統一
日本の年号表記は西暦と和暦の2つがあるため、履歴書の表記を統一する必要があります。履歴書の上部の日付や学歴・職歴欄、資格・免許欄の年号表記が異なると、「マナーがなっていない」「おおざっぱな性格かも…」という印象を与えてしまいます。西暦と和暦はどちらを選んでも問題ありませんが、履歴書内で統一できているか確認しましょう。
まとめ
日本の就職活動は書類選考のあとに面接を行うのが一般的です。日本で就職活動を行う外国人は、採用担当者に好印象を与えられるように、履歴書の書き方や基本的なマナーを把握しましょう。応募先の企業に提出する前に最終確認を行い、きれいな仕上がりの履歴書を提出すれば面接に進める可能性が高くなります。このコラムを参考に履歴書を作成して、就職活動を成功させましょう。