留学生アルバイトの就労制限は?知らずに違反して罪になる場合も!

濵川恭一
濵川恭一
留学生アルバイトの就労制限は?知らずに違反して罪になる場合も!

外国人留学生をアルバイト採用する場合、資格外活動許可を取得しているか確認が必要です。許可を得ないで働いた場合、留学生は不法就労となり、雇用した企業は不法就労助長罪に問われます。また、就労不可の業種や就労時間の制限についても認識しておくことが大切です。

この記事では、留学生アルバイトの就労制限や雇用の際に気をつけるポイントを解説します。

目次

  1. 外国人留学生をアルバイトとして採用するには
  2. 留学生がアルバイトする際の就労制限とは
  3. 就労制限を破った場合の罰則
  4. 留学生を雇用する際の注意点
  5. まとめ

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外国人留学生をアルバイトとして採用するには

外国人留学生の就労時間には制限があることをご存じの方は多いでしょう。雇用する場合は上限時間を破らないよう注意が必要な一方、留学生の採用により人手不足の解消や外国人利用客への対応などが可能になるのは大きなメリットです。

留学生の日本語レベルはさまざまですが、日常会話レベル以上の日本語能力を持つ学生も少なくありません。日本語能力試験N2レベル以上の学生を雇用すれば、利用客とのコミュニケーションが発生する飲食店やコンビニ、スーパーなどでの活躍が期待できます。

関連記事:「外国人留学生を正社員として雇用する際の注意点は?企業に向けて解説
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在留資格「留学」で働くには「資格外活動許可」が必要

在留資格「留学」(留学ビザ)は教育を受けるための資格なので、就労は認められていません。しかし、資格外活動許可」を取れば制限のもとで就労が可能になります。

資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」があり、留学生がアルバイトをする場合は勤務先が指定されない包括許可を取るのが一般的です。個別許可は、就業体験が目的のインターンシップに従事するときや正社員の副業のときなどに個別に許可されます。

外国人留学生をアルバイトとして採用するにはの画像

留学生を雇用する際は、資格外活動許可を取得しているかどうか、在留カードの裏面を見て確認しましょう。「資格外活動許可」欄に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載があれば就労できます。資格外活動許可がないのに雇用すると企業も不法就労助長罪として罰則の対象になるため、確認を徹底しましょう。

留学生がアルバイトする際の就労制限とは

資格外活動許可を受けた留学生がアルバイトを行う際、具体的にはどのような就労制限があるのでしょうか。まず、風俗営業や風俗関係営業が営まれている職場での雇用はできません。そして、就労時間は週28時間までと定められており、学校の夏休みなどの長期休暇中は1日8時間、週40時間まで拡大されます。

留学生が働けない業種

風俗営業や風俗関係営業が営まれる場所では留学生を雇用できません。キャバレーやナイトクラブ、パチンコ店、麻雀店などがその一例です。皿洗いや掃除、チラシ配りなどであっても、このような場所では働けないので注意しましょう。なお、風俗営業許可が不要なお店であっても、ガールズバーのような風俗関係営業に該当する場所で働くことは禁止されています。

就労時間は週28時間

資格外活動許可の包括許可では、残業時間を含め、週に28時間の就労が認められます。どの曜日から数えても時間を超過させない必要があるため、注意が必要です。十分に気をつけてシフトを組まないと、起算日によっては労働時間数の多い日が重なり、1週間で28時間を超えてしまいます。

また、週28時間の制限はすべての勤務先との合計時間です。自社だけでの時間数ではないので、留学生が掛け持ちしている場合、もう一方のアルバイト先の労働時間も合わせて計算するようにしましょう。

長期休暇中は1日8時間まで拡大

留学生の長期休業期間は、1日8時間まで就労時間が拡大されます。ただし、在籍している教育機関が学則で定めた長期休暇でなくてはなりません。授業の休講が偶然重なった場合は該当しないので、気をつけましょう。なお、外国人にも日本人と同様に労働基準法が適用されるため、週の労働時間の上限は40時間です。

就労制限を破った場合の罰則

外国人が許可された時間を超えて働いたり、資格外活動許可を受けないで就労したりすることは不法就労に該当します。不法就労者を雇用してしまうと、企業は不法就労助長罪に問われるでしょう。不法就労者であることを知らなくても、過失があれば処罰を免れないため注意が必要です。

留学生アルバイトの就労時間制限の違反は、出入国在留管理庁に露呈します。外国人を雇用した際に企業がハローワークに提出する「外国人雇用状況の届出」や源泉徴収票、納税証明書などの情報が在留カードの番号で共通しており、出入国在留管理庁に情報が集まるからです。就労状況や収入などから計算すれば、留学生の労働時間超過は判明し、本人と企業双方が罪に問われてしまいます。

企業が不法就労助長罪に問われる

不法就労者を雇用した場合、企業は不法就労助長罪に問われます。不法就労助長罪とは、外国人に不法に就労をさせる罪のことです。就労できない外国人を雇用したり、在留資格で認められていない業務を行わせたりする行為が該当します。具体的には、資格外活動許可を受けていない留学生を雇用した場合や、許可を受けていても週28時間を超えて働かせた場合などです。

罰則は3年以下の懲役か300万円以下の罰金、または両方が科せられます。過失がある従業員だけでなく企業も罰金刑の対象です。なお、2024年6月に公布された改正入管法では、罰則が5年以下の懲役か500万円以下の罰金となりました。この改正法は、公布から3年以内に施行されます。

不法就労だと知らなかった場合も、過失がある場合は処罰を免れません。「在留カードを確認していなかった」「在留カードの確認は行ったものの、どこを見れば良いか分からなかった」といったケースも刑罰の対象です。たとえば、雇用している外国人従業員から友人を紹介された場合、その友人も従業員と同様に就労可能だろうと考え、在留カードの確認を怠ったらどうなるでしょうか。このような場合でも、外国人が資格外活動許可を申請していなかった場合は、過失だと判断され不法就労助長罪になる可能性が高いでしょう。

ただし、「出入国管理及び難民認定法」には、過失がない場合は例外とも記されています。しっかりと確認したにもかかわらず、外国人の偽装行為により不法就労を見破れなかった場合は罪に問われません。在留カードの確認方法は「在留カードの確認を怠らない」で後述していますので、ぜひご覧ください。

留学生が母国に帰される

留学生が不法就労した場合の罰則は、1年以下の懲役、禁錮、200万円以下の罰金のいずれかか、これらの併科です。禁錮以上の刑罰が与えられると退去強制の対象になります。退去強制処分を受けると5年間は再入国ができなくなるので、Wワークを管理する場合は本人にも危機意識を持ってもらえるよう、罰則の内容を事前に伝えておきましょう。

留学生を雇用する際の注意点

留学生本人と企業の双方にとって、罰則を受けることは避けたい問題です。では、罪に問われずに安心して雇用するためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、留学生を雇用するうえでの注意点を解説します。

求める日本語レベルを明確にする

留学生を採用する準備段階として、応募者に求める日本語レベルを明確にしておくことが大切です。必要とされる水準に達していない場合、業務上でミスコミュニケーションが発生したり利用客にうまく対応できなかったりすることも考えられます。事前に日本語能力試験などを採用条件として定めておけば、一定の基準をクリアした人材の雇用が可能です。

たとえば、コンビニやスーパーなどの販売業務や飲食店、ホテルなどの場合は、日本語能力試験のN2レベルを基準にすると良いでしょう。ただし、敬語表現や定型文のマニュアル化を含め、日本語研修はしっかり行う必要があります。

接客を伴わない業務の場合、ひとつ下のN3レベルから採用を検討できます。N3は日常会話レベルであり、流暢な会話とまではいかなくとも、業務上必要なコミュニケーションは行える人が多いです。

いずれにせよ、日本語能力試験の級だけで判断せず、本人の語学力を面接で確認してください。

日本人と同じ労働条件を設定する

外国人にも、日本人と同様に労働基準法や最低賃金法などが適用されます。労働基準法第3条には国籍を理由に労働条件に差別的な取り扱いをしてはならないと記載されているため、均等待遇の遵守が必要です。たとえば、外国人だということを理由に時給を下げたりシフトを減らしたりするのは法律違反になります。

在留カードの確認を怠らない

先述したように、在留カードの確認をせずに資格外活動許可を取っていない留学生を雇用した場合、不法就労だと知らなくても過失があるとして不法就労助長罪に問われます。そのため、在留カードの確認は徹底しましょう。

在留カードの表面で確認する際は、本人の在留カードかどうか、在留資格が「留学」かどうか、在留期間内であるかに注意します。また、裏面の「資格外活動許可欄」のチェックも重要です。表面の「就労制限の有無」には、在留資格「留学」の場合「就労不可」と記載されますが、裏面の「資格外活動許可」欄に「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があれば就労できます。また、在留カードが偽造されていないかもあわせて確認しましょう。

「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出する

留学生の雇用や離職の際には、「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出する義務があります(雇用保険に加入する場合は不要)。外国人雇用状況の届出は、雇い入れる外国人の氏名や在留資格などの情報について届け出るものです。提出を怠ったり虚偽の届け出を行ったりした場合は30万円以下の罰金の対象になります。

就労状況を把握する

先述のとおり、留学生が資格外活動許可を取得して働ける時間は、すべての勤務先を合計して週28時間までです。自社で就労時間制限を守っていても、ほかのアルバイト先での勤務時間が把握できていないと合計時間が超過してしまう可能性があります。Wワークをする場合は、もう一方のアルバイトの勤務時間を必ず報告してもらい、その時間を合算して労働時間を管理しましょう。

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関連記事:「家族滞在ビザを持つ外国人は雇用しても良い?資格外活動許可についても解説

学校に在籍していることを確認する

稀なケースですが、既に学校を退学している元・留学生が応募してくることもあります。

退学したからといって、すぐに留学ビザが無効になるわけではありませんが、資格外活動許可は効果を失います。資格外活動許可は、本来の活動(留学)をしているからこそ付帯的に許可されている資格だからです。したがって、学校をすでに退学している人を雇用することはできません。

また、留学生が学校を卒業した場合も、資格外活動許可は無効となります。そのまま雇用を続けていると違法になりますので、十分注意しましょう。

もしも留学生のアルバイトが「学校を卒業したが就職先が見つからなかったのでアルバイトを続けたい」と相談してきた場合、「特定活動」の在留資格に切り替えてもらえば継続して雇用が可能です。

まとめ

留学生はそのままでは働けませんが、資格外活動許可を取ることで週に28時間までアルバイトが可能です。学則で定める長期休暇期間は1日8時間まで拡大され、週40時間まで働けます。

就労制限を破ってしまうと、留学生本人だけでなく企業側も罰に問われるため、十分に注意が必要です。在留カードやWワークの確認を徹底し、安心して雇用できるようにしましょう。

濵川恭一

監修:濵川恭一

外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net