ホテル・旅館で就労可能なビザとは?知識を身につけて外国人雇用を始めよう

在留資格 2023.12.06
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ホテル・旅館で就労可能なビザとは?知識を身につけて外国人雇用を始めよう

ホテル・旅館業の集客力アップや接客サービスの質の向上のために、外国人を雇用する企業が増えています。ホテル・旅館で就労できる代表的なビザは「技術・人文知識・国際業務」です。就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」は取得要件が厳しく定められており、業務に専門性がないと許可が下りません。
この記事では、ホテルで就労可能なビザの「特定活動」「永住者」「特定技能」なども紹介してるので、ぜひご一読ください。

目次

  1. ホテル・旅館で就労できる代表的なビザは「技人国」
  2. 就労ビザ「技人国」を取得する際の審査基準
  3. 就労ビザ「技人国」を持つ外国人がホテルで行える業務
  4. 就労ビザ「技人国」を持つ外国人が行えない業務
  5. 就労ビザ「技人国」の許可事例・不許可事例
  6. ホテルに就労可能な「技人国」以外のビザ
  7. 資格外活動許可を得た留学生もホテルの業務を行える
  8. まとめ

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ホテル・旅館で就労できる代表的なビザは「技人国」

ホテル・旅館で就労できる代表的なビザは「技人国」の画像

ホテル・旅館での業務が認められている代表的な就労ビザ(在留資格)は、「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国です。「ぎじんこく」と読みます)
就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は、専門的な技術・知識を必要とする仕事や国際的な業務を行えます。具体例は、日本語以外での外国人宿泊客とのやりとりやフロントでの対応業務、通訳、翻訳などです。また、海外向けに宣伝を行うための企画・広報業務も担えます。

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」については、「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でできる業務とは?企業向けに解説」の記事でも詳しく解説しています。
また、在留資格に関する知識を深めたい方は「在留資格29種類を一覧で紹介!就労の可否や「特定技能」についても」の記事もチェックしてみましょう。就労の可否や採用時に確認するポイントをまとめています。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」

就労ビザ「技人国」を取得する際の審査基準

就労ビザ「技人国」を取得する際の審査基準の画像

外国人は「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」を経て、ホテル・旅館で働くための就労ビザを取得します。申請の際は労働契約書や実際の業務内容が確認されるので、外国人が就労ビザの取得できるように、企業として必要な書類を用意しましょう。以下では、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を取得する際の審査基準を解説します。

業務内容と外国人の専門性に関連があるか

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を取得する場合、業務内容と外国人の経歴・資格の関連性が必要です。業務に関連する科目を専攻し、日本国内外の大学を卒業、または日本の専門学校で専門士の学位を取得していなければなりません。
なお、学歴要件を満たしていなくても10年以上の実務経験があれば、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を取得可能です。実務経験の期間には、大学や高等学校、専修学校の専門課程で関連する科目を専攻した年月も含まれます。

外国の文化に基づく思考・感受性が必要な業務に就く場合は、3年以上の実務経験があれば就労ビザを取得可能です。外国の文化に基づく思考・感受性が必要な業務には、翻訳や通訳、語学の指導などが該当します。

たとえば、専門学校でWebデザインを学んだ留学生に海外版Webサイト作成の業務を任せたい場合は、就労ビザを得やすいでしょう。観光学を学んだ外国人にフロントでの対応業務を任せたい場合も同様です。外国人の専門性と任せたい業務の内容が一致するかを確認しながら採用活動を行うと、就労ビザを得やすくなります。

申請する就労ビザと従事する業務が一致しているか

就労ビザの申請では、外国人が行う活動とビザで認められる活動が一致しているかが判断されます。認められている活動と業務が一致していないと、就労ビザは許可されません。

外国人雇用を検討している企業担当者は、ビザに関する知識を身につけ、申請内容が適切かをチェックできるようにしましょう。社労士や行政書士といった専門家に依頼するのも一つの方法です。

十分な業務量があるか

外国人旅行客の少ないホテル・旅館の場合は、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の許可が下りない場合があります。「わざわざ外国人を雇用する必要性はない」と判断されるためです。
業務量が少なく継続的な仕事として成り立たないと判断された場合も、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」は認められにくいので注意しましょう。

日本人と同等以上の報酬や待遇を得られるか

外国人を雇用する際は、同じ業務に就く日本人と報酬や待遇が同等になるように契約を締結します。外国人であることを理由に、日本人より給料を下げたり待遇を悪くしたりするのは労働基準法違反です。合理性が認められない報酬や待遇の差が発覚した場合、就労ビザの審査は不許可になります。

就労ビザ「技人国」を持つ外国人がホテルで行える業務

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就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」で働く外国人は、行える業務に制限があります。就労ビザで認められていない業務に従事させた場合、雇用主は不法就労助長罪に問われるので注意しましょう。

フロントでの対応

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は、受付やインフォメーションといったフロントでの対応業務を行えます。宿泊客の予約確認やキャンセル対応、会計などの業務の遂行も可能です。また、観光地の案内やチケットの準備といったコンシェルジュ業務もできます。

通訳・翻訳

宿泊客が訪れた際に、日本人従業員が伝えたい内容を外国人に通訳してもらうことも可能です。また、日本語で書かれた観光案内を他言語に翻訳して、外国人宿泊客に伝えることもできます。
外国人宿泊客の接客のために外国語を話せる従業員を雇用したいホテル・旅館は、言語能力に優れた外国人の雇用を検討してみると良いでしょう。

企画・広報・営業

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は、外国人旅行客向けに宿泊プランを展開する企画業務を行うことが可能です。また、海外における自社の知名度を上げるための広報業務や、語学力を活かした国外の旅行会社への営業もできます。そのほか、他言語で書かれたWebサイトやパンフレットの作成も可能です。

ただし、外国人利用客がほとんどいないホテルの場合は、企画・広報・営業業務で外国人従業員を雇用する必要性が薄いと判断されやすいといえます。相応の理由がないと、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザは許可されません。

ホテルや旅館での外国人採用に必要なビザ(在留資格)の種類とできる業務」の記事でも、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人が行える業務を解説しています。

就労ビザ「技人国」を持つ外国人が行えない業務

就労ビザ「技人国」を持つ外国人が行えない業務の画像

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人は、単純労働は行えません。単純労働とは専門の知識・技術が必要でない業務のことで、ベッドメイキングや清掃、配膳、荷物運びなどが該当します。

ただし、入社後一定期間のみであれば、研修の一環として単純労働を任せられます。その際は、地方出入国在留管理官署への相談や単純労働を含んだ研修の必要性を説明する書類が必要です。

関連記事:「ホテル・旅館業で外国人雇用を行う方法とは?従事できる業務や注意点を解説

就労ビザ「技人国」の許可事例・不許可事例

就労ビザ「技人国」の許可事例・不許可事例の画像

外国人がホテル・旅館で働ける就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」は、業務内容や雇用条件次第で不許可になる場合があります。せっかく外国人を採用しても、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザの許可が下りなければ雇用できません。以下で紹介する許可事例・不許可事例を参考に、自社で外国人を雇用できるかを確認してみましょう。

就労ビザ「技人国」の許可事例

外国人に就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」が許可される事例は以下のとおりです。

  • 中国語を母語とする宿泊客が多いため、中国人を雇用してフロントの対応業務を任せる
  • 日本の大学で観光ビジネス学を学んだ留学生を、海外向けの企画・広報業務に従事させる
  • インバウンド対策のため、日本人従業員に外国語での接客指導を行ってもらう
  • 海外の旅行代理店との交渉に必要な通訳や翻訳業務、日本人従業員への言語指導を任せる
  • 海外版Webサイト作成および館内の案内板の多言語表記のために、外国人を雇用する

従事する業務が専門性を必要としており、かつ日本人では遂行が難しいと認められれば、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」が許可されます。

就労ビザ「技人国」の不許可事例

外国人の「技術・人文知識・国際業務」のビザが不許可になるのは、以下のようなケースです。

  • 経営学を学んだ留学生を雇用して清掃やベッドメイキング、荷物運びの専従者として従事させる
  • 外国人利用客がほとんどいないホテルで、通訳のために外国人を雇用する
  • 服飾の専門学校を卒業した留学生を、ホテルのフロントでの対応業務に従事させる
  • 海外向けWebサイト作成を担う外国人を、同じ業務を行う日本人より低い報酬で雇う
  • ホテルのレストランで配膳担当者として、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人で雇用する
  • 外国人の母国料理を提供するレストランで、調理を行わせるために雇う

母国料理を提供するレストランの調理員として外国人を雇用する場合は、就労ビザ「技能」が必要です。業務がレストランの調理だと、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」は許可されません。なお、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の不許可理由に多いのは、外国人を雇用する必要性の欠如や日本人との待遇格差などです。

出入国在留管理庁は、「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」という資料で、許可・不許可に係る具体的な事例を公表しています。外国人の雇用を検討している企業は、実際の事例を参考に就労ビザが許可される条件を満たしているか、考えてみましょう。

関連記事:「ホテル業界で外国人を雇用するには?在留資格ごとの業務や注意点

参照元
出入国在留管理庁「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について

ホテルに就労可能な「技人国」以外のビザ

ホテルに就労可能な「技人国」以外のビザの画像

ホテル・旅館で就労可能なビザは、「技術・人文知識・国際業務」以外にもあります。外国人の採用を検討している企業は、相手のビザをきちんと確認してから雇用手続きを進めましょう。

「特定活動」ビザ

ホテル・旅館での業務を認められている「特定活動」ビザを持つ外国人は雇用できます。「特定活動」は、法務大臣が外国人ごとに在留中の活動内容を指定する特殊なビザです。指定書と呼ばれる書類に就労可否や在留中の活動内容がまとめられているので、雇用の際は必ずチェックしましょう。

たとえば、特定活動46号を持つ外国人は、円滑な日本語でのコミュニケーションを必要とする業務、たとえばフロントでの対応や通訳、翻訳業務に常勤で従事可能です。また、清掃やベッドメイキング、荷物運びのリーダーとして、日本語での指導やサポートを行うことも可能です。特定活動5号(ワーキングホリデー)のビザを持つ外国人は、業務に制限なくホテル・旅館で就労できます。ただし、ワーキングホリデーが認めらえるのは最長1年なので、長期的な雇用は望めません。

「永住者」「定住者」などの身分に基づくビザ

身分に基づくビザである「永住者」「定住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」も、ホテル・旅館での就労が認められています。身分に基づくビザを持つ外国人は、就労制限がありません。日本人の従業員同様に、フロント対応のほか、ベットメイキングや清掃といった単純労働まで、幅広い業務を任せられます。

「特定技能」ビザ

即戦力となる人材を雇用したいときは、「特定技能」ビザを持つ外国人の採用を検討しましょう。「特定技能」ビザは、十分な人材確保が難しい業界の生産性を向上すべく、専門性を持った外国人の受け入れを目的に創設されました。
ホテルで就労できる「特定技能」ビザを取得する際は、「宿泊技能測定試験」の合格が必須です。あわせて、「日本語能力試験」4級以上の取得、または「国際交流基金日本語基礎テスト」A2レベル以上の合格が求められます。そのため、「特定技能」ビザを取得した外国人は、ホテルの業務と日本語能力において一定水準以上の能力が担保されているのです。

「特定技能」ビザを持つ外国人には、フロントでの対応や通訳、翻訳業務はもちろん、レストランの配膳や清掃などの幅広い業務を任せられます。

なお、特定技能ビザの対象業種は11ありますが、ホテルや旅館で働く場合は「宿泊」に該当します。他の業種(たとえば建設)での特定技能ビザを持っている外国人は、ホテルで働くことはできませんので注意してください。

特定技能「宿泊」も2号の対象に!行える業務や試験の内容とは」では、「特定技能」ビザの取得要件や採用時の注意点を紹介しています。あわせて参考にしてください。

参照元
観光庁「宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」)

資格外活動許可を得た留学生もホテルの業務を行える

資格外活動許可を得た留学生もホテルの業務を行えるの画像

資格外活動許可を得た「留学」や「家族滞在」のビザを持つ外国人も、ホテル・旅館で働けます。資格外活動許可は、外国人の持つビザが認めている範囲外の活動をする際に必要なものです。
資格外活動許可を得た外国人は、1週間に28時間以内の就業が認められます。なお、外国人留学生の場合は、学則で決められている長期休暇中は1週間につき40時間、1日最大8時間の労働が可能です。

関連記事:「外国人技能実習制度の概要を企業向けに解説!技能実習生の受け入れ方も紹介

まとめ

まとめの画像

ホテルや旅館で働ける就労できるビザは、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「特定活動」などです。従事させる業務によって、必要なビザの種類が異なります。条件を満たしていないと就労ビザの申請が認められないので、在留資格に関する知識を身につけておきましょう。

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