飲食店で外国人を雇用する際の在留資格を徹底比較【正社員・アルバイト】

濵川恭一
濵川恭一
飲食店で外国人を雇用する際の在留資格を徹底比較【正社員・アルバイト】

新型コロナウイルス感染症の5類移行後、飲食業界の集客はもとの水準に戻りつつあります。業界が復調傾向にある一方で、急激な需要増加に雇用が追いつかず、深刻な人材不足に陥っている飲食店が少なくありません。2023年度に人手不足を原因として倒産した企業の数は313件にものぼり、このなかには多くの飲食店も含まれると推測されます。

そこで注目されているのが外国人雇用です。日本の労働人口は減少し続けている一方で、外国人労働者は増加傾向にあります。安定的に人材を確保していくには、外国人雇用のスタートが確実な近道といえるでしょう。

この記事では、飲食店で雇用可能な在留資格の種類や留学生アルバイトの雇用方法について紹介します。

目次

  1. 飲食店で外国人を正社員雇用する際に必要な在留資格
  2. 飲食店で外国人をアルバイト雇用する方法
  3. 飲食店で雇用可能な在留資格の比較
  4. 飲食店で外国人を雇用するメリット
  5. 飲食店で外国人を正社員雇用する際の注意点
  6. 飲食店で外国人をアルバイト雇用する際の注意点
  7. 外国人アルバイトをそのまま正社員雇用できる?
  8. まとめ

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飲食店で外国人を正社員雇用する際に必要な在留資格

外国人が日本で働くためには、就労可能な在留資格が必要です。ここでは、飲食店で正社員として働ける在留資格を種類ごとに紹介します。

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務」は、「技術」「人文知識」「国際業務」の3分野において、専門的な知識を要する業務や外国人ならではの感性を要する業務をする外国人に許可されます。3分野の頭文字をとって「技人国(ギジンコク)」と呼ばれることも多いです。

令和5月12月現在、技人国ビザを持つ外国人は、約36万人おり、その数は近年増加傾向にあります。

技人国ビザを取得するには、「大学院や大学、短大を卒業」「日本の専門学校を卒業」「実務経験10年以上(国際業務は3年以上)」のいずれかの条件を満たさなくてはなりません。

飲食店で許可される例は「複数のチェーン店舗を管理する本社スタッフ」「マーケター」などです。また、外国人が利用者の大半を占めるような飲食店では、通訳の専従者として在留資格が許可される場合もあります。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、単純労働に該当する業務はできません。そのため、配膳や皿洗い、レジ接客などを行う可能性があると判断された場合、在留資格の申請は不許可になる可能性が高いでしょう。また、単純労働ではありませんが、調理も行うことはできません。

たとえば、マネージャー業務をするために許可を受ける際、単独の店舗で数人しか従業員がいない場合は不許可になる可能性が高くなります。その規模感ならば、マネージャーを雇う必要性がないと判断されるためです。

店舗管理業務をする場合は、事務所に独立したデスクがあり、作業に専念する環境が整えられていることを証明する必要があります。

したがって、個人経営かつ従業員が数人のみの飲食店が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で外国人を雇用するのは難易度が高いといえるでしょう。

業種別の単純労働の例の画像

特定技能「外食業」

特定技能は、人手不足の業界での外国人雇用を促進することを目的として、2019年に創設された在留資格です。特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用できるのは、人手不足が特に深刻だと判断された分野(特定産業分野)に限られます。外食業界も特定産業分野に分類されているため、特定技能外国人の雇用が可能です。

特定技能「外食業」では、調理や接客、配膳、デリバリー業務など幅広い業務に従事できます。就労に関する在留資格としては珍しく、ピークタイムには接客、アイドルタイムには仕込みなど、臨機応変な業務が可能なのが最大の特徴です。

日本語能力試験(JLPT)のN4もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」と「技能測定試験」に合格という条件を満たせば取得でき、学歴や実務経験は問われません。

外食業の技能測定試験は、日本国内で定期的に実施されており、合格率も比較的高い試験です。近年、技能測定試験の対策講座も増えてきました。

取得難易度はほかの在留資格と比べて低いとはいえ、一定の日本語能力や外食業に関する基本的な知識、技能を持ち合わせています。

特定技能とはの画像

特定技能の在留資格には、1号と2号の2種類があります。最初に付与される1号には更新制限があり、働けるのは最長で5年です。特定技能2号の技能測定試験に合格し、在留資格を変更すると、更新回数に制限がなくなります。つまり、更新できる限り、半永続的な雇用も可能です。

身分に基づく在留資格

身分に基づく在留資格には、以下の4つが当てはまります。

  • 永住者:法務大臣に日本での永住が認められた人

  • 日本人の配偶者等:日本人の妻や夫、実子、特別養子

  • 永住者の配偶者等:永住者・特別永住者の妻や夫、日本で出生して引き続き住んでいる実子

  • 定住者:法務大臣が特別な事情を考慮して居住を認めた人(日系3世や中国残留邦人など)

これらの在留資格は、ほかの就労に関する種類とは違い、外国人の身分や地位に対して付与されています。そのため、働く仕事内容や場所に制限がありません。日本人と同じように、さまざまな仕事を任せることができます。日本在留歴が長い外国人も多いため、企業にとっても雇用しやすいでしょう。

令和5年12月現在、身分に基づく在留資格を持つ外国人は、約130万人います。

なお、職種の制限はありませんが、外国人雇用状況届出の提出といった外国人雇用に必要な手続きは適宜求められます。

特定活動46号

特定活動46号は、留学生の就職支援を目的に作られた在留資格です。留学生活を経て身に付けた高い日本語能力を活かした業務および、単純労働も行えるという特徴があります飲食店での許可例は「店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務」です。なお、外国人だけでなく、日本人への接客も許可されています。

外国人留学生が特定活動46号の在留資格を得る要件は、以下のとおりです。

  • 日本の大学を卒業もしくは大学院を修了し学位を受けていること、もしくは日本の短期大学か高等専門学校を卒業し、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して、学士の学位を授与されていること

  • 日本語能力試験N1もしくはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得していること(日本や海外の大学・大学院で日本語を専攻し卒業した場合は免除)

  • 同じ仕事をする日本人と同等額以上の報酬を受けること

    「日本語能力試験N1」「BJTビジネス日本語能力テストで480点以上」とは、日常会話はもちろん、ビジネス上でのコミュニケーションも日本語で問題なく取れる非常に高い水準です。

先に説明した「技術・人文知識・国際業務」よりも幅広い業務が行えますが、母数が少なく、採用難易度は高めといえるでしょう。

なお、個々に許可されるという在留資格「特定活動」の特性上、転職する場合はその都度在留資格を変更する手続きが必要です。

技能

「技能」は、特殊な分野で熟練した技能を要する業務を行う外国人に付与される在留資格です。飲食店の場合、外国人の母国で食べられている料理を専門的に作る料理人に付与されます。たとえば、中国人なら中華料理店、ベトナム人ならベトナム料理の専門店で勤務する必要があり、和食店や居酒屋、ファミリーレストランなどでは勤務できません。

許可されているのは外国料理の調理や食品製造業務で、配膳や接客などの業務を行うことは禁止されています。

外国人が料理人として「技能」の在留資格を得るには、実務経験が10年以上(タイ料理は5年以上)必要です。海外で料理に関する専門学校に通っていた場合、その期間も加算されます。

在留資格「技能」を持つ外国人を雇用する飲食店は、外国人調理師が熟練した技能を活かせるような専門的なメニュー(例:コースメニューなど)があること、そして30席以上の座席数があることといった条件を満たさなくてはなりません。

関連記事:「外国人労働者が多い職種ランキング!在留資格ごとの解説も

参照元
出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」
出入国在留管理庁「在留資格「技能」」
農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて

飲食店で外国人をアルバイト雇用する方法

日本の飲食店では、多くの外国人留学生がアルバイトをしています。外国人留学生が持つ在留資格「留学」は、学校に通うために付与されているため、本来就労は許可されていません。

しかし、在留資格外の活動を認める「資格外活動許可」を申請すれば、一定の制限のもとアルバイトが可能です。資格外活動許可を得れば、配膳や調理、皿洗いなどさまざまな業務を任せることができます。

資格外活動許可は居住地を管轄する地方出入国在留管理局で申請が可能です。また、外国人留学生が入国時の空港やオンラインであらかじめ申請しているケースもあります。

面接の際は、外国人留学生に許可を得たうえで在留カードを確認しましょう。裏面の資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されていれば、すぐにアルバイト雇用ができます。

資格外活動許可を得ていない場合は、外国人留学生本人による資格外活動許可申請が必要です。審査期間は2週間から2ヶ月程度とされていますが、特に問題がなければ1週間から2週間程度で許可されます。雇用は、資格外活動許可が出たあとに行いましょう。

参照元
出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」
出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続

飲食店で雇用可能な在留資格の比較

ここまでは、飲食店で働ける在留資格と留学生の資格外活動許可について解説しました。以下の表は、それぞれの特徴をまとめたものです。自社で外国人を雇用する際は、どの在留資格で募集するのがよいか検討してみましょう。

 

技術・人文知識・国際業務

特定技能「外食業」

身分に基づく在留資格

特定活動46号

技能

留学生アルバイト(資格外活動許可)

業務内容

・店舗管理業務
・通訳業務
・外国人向けのメニュー作成など

・飲食物調理業務
・接客業務
・店舗管理業務など

制限なし

・店舗管理業務
・通訳を兼ねた接客業務など

母国料理の調理業務

制限なし(風俗営業に関わる業務は不可)

労働時間

労働基準法に則る

労働基準法に則る

労働基準法に則る

労働基準法に則る

労働基準法に則る

・週28時間
・学校が定める長期休暇中は1日8時間、週40時間まで

働ける期間

更新期限なし

・特定技能1号:最長5年
・特定技能2号:更新期限なし

更新期限なし

更新期限なし

更新期限なし

教育機関を卒業するまで

取得要件

下記のいずれかの条件を満たすこと
・大学院や大学、短大を卒業
・日本の専門学校を卒業
・実務経験10年以上(通訳として申請する場合は3年以上)

下記の両方の条件を満たすこと
・外食業特定技能1号技能測定試験に合格する
・日本語能力試験のN4もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格する

希望する在留資格の身分や地位に相応しいと認められること

下記の両方の条件を満たすこと
・日本の大学、大学院、短大、高等専門学校のいずれかを卒業し学士の学位を取得すること
・日本語能力試験のN1もしくはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上の合格していること(大学・大学院で日本語を専攻し卒業した場合は免除)

実務経験が10年以上あること(タイ料理の料理人の場合は5年以上)

下記のすべての条件を満たすこと
・「留学」の在留資格にふさわしい活動をおこなっていること
・アルバイト先が風俗営業に該当していないこと
・アルバイト先の活動が法令に違反していないこと

転職

制限なし

制限なし

制限なし

転職時は在留資格変更許可申請が必要

制限なし

制限なし

雇用したい外国人にどのような仕事を任せたいのかによって、相応しい在留資格が変わってきます。

管理業務や外国人従業員の指導業務を任せたい場合は「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動46号」などの在留資格が相応しいでしょう。

接客や調理の人手が不足している場合は「特定技能」「身分に基づく在留資格」を持つ外国人を雇用するか、留学生アルバイトを雇用するのが最適です。

関連記事:「【行政書士監修】外国人採用まるわかりガイド|注意点・メリット・募集・雇用の流れ

飲食店で外国人を雇用するメリット

飲食店で外国人を雇用する主なメリットには、「人材を確保しやすくなること」と「インバウンド対応ができること」の2点があります。以下で詳しく見ていきましょう。

人材を確保しやすくなる

新たに外国人を雇用すると、安定的に人材を確保しやすくなります。

飲食業界の人材不足は、ほかの業界と比較しても顕著です。帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によると、調査対象の飲食店のうち、正社員が不足していると答えた企業は56.5%、非正規社員が不足していると答えた企業は74.8%にのぼりました。

非正規社員の不足を感じる企業が多いということはすなわち、接客や配膳、レジ業務を行う人材が足りていない状態ということです。飲食業界では元々少子高齢化による人員不足があったことに加え、コロナ禍後の急激な需要増加があり、過去に類を見ないほど人材が不足しています。

一方、外国人労働者やアルバイトをする留学生は増え続けており、2023年10月末の調査では初めて200万人を突破しました。日本政府が外国人労働者を積極的に受け入れる政策を打ち出しているため、今後も増え続けていくと予想されています。

安定して人材を確保するには、外国人雇用を始めるのが効果的な手段といえるでしょう。

インバウンド対応ができる

インバウンド対応ができることも、外国人を雇用する大きなメリットのひとつです。観光地や繫華街の飲食店では、訪日観光客とのコミュニケーションに難しさを感じることも多いのではないでしょうか。

メニューを多言語表記にしたりタブレット注文を導入したりすれば、ある程度は対応可能です。しかし、実際に会話のやり取りができる従業員がいたほうが、利用客の満足度が高くなり、万が一トラブルが起きたときも対応しやすいでしょう。

訪日観光客の多くは、インターネットの情報や口コミを見て利用するお店を選んでいます。外国人従業員がいて、コミュニケーションが問題なく取れることが口コミで広まれば、集客アップも期待できるでしょう。

関連記事:「外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット|雇用の流れも解説

参照元
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)
 

飲食店で外国人を正社員雇用する際の注意点

飲食店で外国人を正社員雇用する際は以下の3つの点に注意しましょう。

  • 在留資格ごとにできる業務の確認

  • 接客マナーや日本語の教育

  • 宗教や文化への配慮

以下で詳しく解説していきます。

在留資格ごとにできる仕事が異なる

飲食店で外国人を正社員雇用する際に必要な在留資格」の見出しでも説明したとおり、外国人は所有している在留資格によってできる仕事が異なり、許可されていない活動はできません。

たとえば、人手が足りないからといって、料理人として雇用した「技能」の在留資格を持つ外国人にレジや配膳業務を行わせることは、法律で禁止されています。

外国人は不法就労による資格外活動罪に問われ、罰金や禁固、行政処分として退去強制(強制送還)となる可能性もあるのです。

罰則は雇用主にもあり、外国人に相応しくない活動をさせた場合、不法就労助長罪に問われます。「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科」と非常に重い罪なので、違反しないためにも適切な雇用管理をしなくてはなりません。

接客マナーや日本語教育が必要になる

日本語能力試験(JLPT)N1~N5の目安の画像

外国人によっては、接客マナーや日本語の教育が必要となる場合もあるでしょう。

日本に来たばかりの外国人のなかには、日本の接客マナーや接客用語が分からない人も少なくありません。その状態で仕事を任せても、クレームやトラブルに発展する可能性があります。

最初から全てを完璧に教えるのは難しいかもしれませんが、最低限のマナーや敬語は時間を取って教育するようにしましょう。

なお、日本在留歴が長い人の多い「身分に基づく在留資格」や取得に高い日本語能力を必要とする「特定技能46号」を持つ外国人は、教育の負担が少なくて済む可能性が高いといえます。

即戦力となる外国人を雇用したい場合は、在留資格も考慮してみましょう。

宗教や文化へ十分配慮する

外国人の信仰する宗教や文化の違いに十分に配慮することが、外国人雇用の成功のポイントといえます。特に、信仰は外国人のアイデンティティそのものです。できる限りの配慮をすることで「あなたを尊重している」「気にかけている」という意思を伝えられ、企業への帰属意識を高めることに繋がります。

では、具体的にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。例として、イスラム教には以下の戒律があります。

  • 女性はヒジャブをつける

  • 1日に5回、イスラム教の聖地であるメッカの方向に向かってお祈りをする

  • 豚肉や豚肉の成分が含まれるものを食べたり触れたりしてはいけない

  • お酒を飲んではいけない

どこまで戒律を守って生活するかは、個人差があります。本人の信仰との向き合い方をよく確認したうえで、必要であれば「まかないは別メニューで用意する」「お祈りができるスペースを用意する」などのサポートをしましょう。

宗教上の配慮と聞くと大がかりで手間のかかることに感じられますが、実際はどれも些細な配慮に過ぎません。外国人と話し合いつつ、できることから対応していきましょう。

関連記事:「外国人との異文化コミュニケーションに必要なこと|心構えや失敗例も

飲食店で外国人をアルバイト雇用する際の注意点

アルバイト雇用は、正社員雇用とは異なる注意点があります。特に働ける時間の制限は注意が必要です。

働ける時間に制限がある

資格外活動許可を得て行うアルバイトは、働ける時間に制限があるので注意しましょう。資格外活動許可のうち、主に外国人留学生や家族滞在の外国人が取得する「包括許可」では、就労できる時間が1週間に28時間までと決められています。

1週間とは日曜から土曜日までで数えるのではなく、どの曜日から7日間数えても28時間に収めなければなりません。

また、外国人がアルバイトを掛け持ちしている場合は「すべてのアルバイト先での労働時間の合計」を1週間で28時間以内に収める必要があります。

風営法の対象になる飲食店では働けない

資格外活動許可を得てアルバイトをする場合、風俗営業や風俗関係営業をしている場所で働くことは禁止されています。当てはまる飲食店の具体例は以下のとおりです。

  • 接待を伴う飲食店

  • 照度が10ルクス以下の喫茶店やバー

  • 午前0時~午前6時に営業するバーや居酒屋

  • 5㎡以下の個室や区画席がある飲食店

上記に直接関わるアルバイトはもちろん、厨房での皿洗いや宣伝のティッシュ配りなども禁止です。外国人が知らずに面接に来てしまうことも十分考えられるので、該当する飲食店は注意しましょう。

参照元
出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
警視庁「風俗営業等業種一覧

外国人アルバイトをそのまま正社員雇用できる?

日本人の学生アルバイトが優秀だった際、そのまま正社員登用することは飲食業界では決して珍しくありません。外国人留学生でも同じような対応ができるのでしょうか。

結論からいうと、就労可能な在留資格を取得できれば可能です。ただし、仕事内容が変わる可能性が高いといえます。

在留資格が取得できれば可能

外国人留学生が飲食店で就労可能な在留資格を取得できれば、正社員雇用できる可能性があります。「留学」の在留資格は卒業後に失効するため、引き続き日本で働き続けるためには、就労に関する在留資格を取得しなくてはなりません。

アルバイトの場合は、資格外活動許可さえ申請していれば、教育機関での専攻や実務経験は問われませんでした。しかし、正社員として就労可能な在留資格を取得する際には、学歴や実務経験が飲食店で働くための基準に合っているかが審査されます。

いくら優秀であっても、在留資格の取得が見込めない場合は、正社員雇用が難しいことを覚えておきましょう。

仕事内容が変わる可能性がある

正社員雇用をすると、今までとは任せられる仕事が変わる可能性があります。

留学生アルバイトの仕事は、配膳やレジ業務、接客などが一般的です。卒業後、外国人留学生が取得した在留資格で単純労働が許可されていない場合、それまでと同じ仕事はできません。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得した場合は、管理業務や本社業務をすることになり、アルバイトのときと同じ仕事はできなくなるでしょう。

どの在留資格を取得するかは外国人の将来に大きく関わります。一度在留資格を取得すると、ほかの種類に変更するのは容易ではありません。

「卒業後も一緒に働いてほしい」という意思を伝えたうえで、本人の取得したい在留資格や働きたい仕事などの意向をよく確認しましょう。

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まとめ

飲食業界では外国人雇用が拡大しています。留学生アルバイトのほか、昨今は正社員として働く外国人も増えてきました。

外国人が持っている在留資格によって、任せられる仕事は変わってきます。配膳やレジ対応などの接客を任せたいのか、マネージャーや指導係を任せたいのかを明確にし、どの在留資格を持つ外国人を雇用するかを決めましょう。

濵川恭一

監修:濵川恭一

外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net