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賃金の低さや長時間労働、2024年問題などの影響もあり、運送業は深刻な人手不足に直面しています。外国人ドライバーを雇用すれば労働力が補えるほか、組織に新たな視点が生まれ、活性化される効果も考えられるでしょう。タクシーやバスの運転手として外国人を雇用すれば、訪日外国人観光客の話す言語でのサービス提供が可能になるメリットがあります。
この記事では、外国人ドライバーを雇用する際の在留資格や必要な研修、注意点などについて解説。外国人運転手の雇用に関心がある方は、ぜひご覧ください。
目次
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2024年3月、在留資格である特定技能に「自動車運送業」分野の追加が決定されました。タクシーやバス、トラックなどのドライバーとして、通算で最長5年の在留期間を得られる制度です。
特定技能「自動車運送業」が新設された背景には、人手不足の深刻化があります。厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和6年6月分)について」によると、公共職業安定所(ハローワーク)における2024年6月の自動車運転従事者の有効求人倍率は2.45でした。職業全体の1.06と比較すると高い数字です。このような人材確保が必要な現状を背景に、外国人雇用に関心を持つ企業が増えているのでしょう。
注目すべきポイントとして、タクシーやバスの運転に必要な二種免許学科試験の多言語対応が挙げられます。これまで日本語でしか受験できませんでしたが、2024年3月27日から福岡県で4言語での試験が可能となり、東京都などでは20言語に対応しています。都道府県によって外国語対応は異なりますが、大きな流れとして外国人でも免許が取得しやすい環境が整備されつつあるといえます。
関連記事:「外国人労働者の受け入れ割合が多い職種は?技能実習や特定技能も解説」
参照元
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年6月分)について」
政府は訪日外国人旅行者数の目標を2030年に6000万人にまで増やすとしています。2023年の訪日外国人旅行者数が約2500万人ですから、現在の倍以上を目指すということです。
また、国内の物販系分野での電子商取引市場規模(BtoC-EC市場規模)は拡大しているため、旅客や商品を運ぶ運送業は今後も需要が増加していく可能性があるのです。
引用:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
一方、先述のとおり運送業は人手不足に直面しています。その原因には賃金の低さや長時間労働といった業務の過酷さなどが考えられるでしょう。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、一般労働者の平均賃金が約32万円なのに対し、運輸業・郵便業の場合は約29万円です。また、「毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果速報」によれば、調査産業計での総実労働時間が約140時間なのに対して、運輸業・郵便業では170時間にものぼります。
そのほか、人手不足と深い関係があるのが社会情勢です。ここでは2024年問題や訪日外国人観光客増加などについて取り上げ、運送業における人手不足の現状について解説します。
2024年4月以降、トラック・バス・タクシードライバーなどには、労働時間の上限規制と拘束・休息時間などの改善基準告示が適用されています。上限規制の原則は、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える場合、月45時間、年360時間以内に収めることです。特別条項としては、年960時間の上限が設定されています。2024年問題は、このような労働時間の規制により生じる問題の総称を指す言葉です。
問題の一つとして、ドライバーの収入減が懸念されています。労働時間の規制に伴って時間外手当の額が減少する可能性が考えられるからです。その結果、離職者が増加し、人手不足がさらに深刻化することも想像できます。
国土交通省の「数字でみる自動車2024」によると、法人タクシー運転者数は2019年で約26万人でしたが、2022年では約21万5000人でした。2012年頃から少しずつ人数が減ってきてはいたものの、2022年までの4年間で大幅に減少したのです。2020年の1月に初めて国内での新型コロナウイルス感染が確認されたため、コロナ禍と重なる時期もあります。
「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業で働くタクシー運転者の平均年齢は59.7歳です。
高齢の労働者が多いことや、新型コロナウイルス拡大による利用者の減少、感染への懸念などからドライバーの離職が進んだと考えられています。
新型コロナウイルスの感染が収まり、日本には多くの外国人観光客が来日するようになりました。急激な需要の増加に雇用が追いついておらず、慢性的な人手不足に陥っている状態です。
現状への解決策として、2024年4月に「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)」がスタートしました。タクシー会社の管理下で、一般ドライバーや地域の自家用車によって有償で乗客を運送できるサービスです。このような制度が創設されるほどタクシー不足は問題視されています。
参照元
経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果速報」
厚生労働省「建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制 特設サイト はたらきかたススメ」
国土交通省「数字でみる自動車2024」
政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 」
人手不足が課題となっている現状ですが、外国人ドライバーを雇用すれば労働力不足が補えます。さらに、訪日外国人観光客に対して母国語でのコミュニケーションも可能になるため、サービスの質も向上するでしょう。
ここでは、外国人ドライバーを雇用する利点について解説します。
日本で働きたいと希望する外国人ドライバーを雇用すれば、人手不足の解消に繋がります。少子高齢化が進む日本とは違い、海外は仕事を求める若年層の人口が豊富です。
若い人材を活用することで、労働力を補うだけでなく組織の活性化も期待できます。外国人の価値観を取り入れることで、新たな視点が生まれることもあるでしょう。多様性のある職場には柔軟さが育まれ、社会情勢の変化に適応しやすくなる効果もあります。
また、すでに日本国内に住んでいる外国人の中にも、ドライバーへの転職を希望している方が少なくありません。一例としては「日本企業の集団主義的な文化になじめず悩んでおり、成果主義的な働き方がしたいが特化したスキルは持っていない」というケースが挙げられます。弊社が過去にサポートさせていただいた方の中にも、個人のがんばりで収入が増えていくタクシーやトラックの運転手を魅力的に感じ、未経験で業界に飛び込むことを選んだ方がいます。
訪日外国人観光客のなかには日本語が話せない方も多くいます。外国人をタクシーやバスのドライバーとして雇用すれば、利用客との円滑なコミュニケーションが可能です。理解できる言語で対応できるため利用者の安心感に繋がるほか、タクシーで会話する際には外国人としての目線から日本の情報を提供できるメリットも考えられます。
外国人ドライバーに働いてもらう場合、どの在留資格で雇用が可能になるのでしょうか。ここでは、特定技能「自動車運送業」「特定活動46号」「身分に基づく在留資格」について取り上げます。それぞれ在留期間や想定される業務が異なるため、目的と照らし合わせながら雇用を検討しましょう。
在留期間が無期限なのは、身分に基づく在留資格の「永住者」です。上記のほかの在留資格はいずれも更新期限が設けられています。
免許取得の観点からは、すでに日本在住で免許を持っている外国人の方を雇用すれば勤務開始までの流れがスムーズでしょう。特定技能「自動車運送業」では、申請の段階で該当する免許を所持していないといけません。一方、「特定活動46号」「身分に基づく在留資格」ではそのような条件はないため、この在留資格で入社したあとに免許を取得することも可能でしょう。
日本語能力の高い外国人に働いてもらいたい場合、日本語能力試験N1レベルの取得などが条件となっている「特定活動46号」での雇用がおすすめです。また、「身分に基づく在留資格」で長年日本に住んでいる方のなかには、高い日本語力でコミュニケーションが行える方もいるでしょう。特定技能「自動車運送業」では、トラックの場合日本語能力試験N4以上、タクシーとバスではN3以上という人材基準があります。しかし、標識の瞬時の読み取りや車内での一対一の接客対応は難易度が高いため、しっかりとした研修が必要です。
業務内容に関していえば、「身分に基づく在留資格」には制限がありません。特定技能「自動車運送業」では、運転や運転に付随する業務全般に従事します。「特定活動46号」では、日本の大学などで修得した知識や、日本語での円滑な意思疎通が必要な業務が含まれていなければいけません。単純労働だけ行うことはできないので、気をつけましょう。
なお、正社員雇用で一般的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、基本的に運転手として働くことが認められていません。
「特定技能」は、人手不足が深刻な業界で外国人を受け入れやすくするために創設された在留資格です。自動車運送業分野では、タクシーやトラック、バスのドライバーとして特定技能1号での受け入れができます。
在留期間は通算で上限5年までで、運転だけでなく運転に付随する業務全般の労働が可能です。具体的には、乗務前後の点検、洗車、荷物の積み下ろしといった業務が行えます。
在留資格を得るためには、外国人・受け入れ事業者の双方で要件を満たす必要があります。
【外国人の要件】
日本語能力を証明する試験の合格(日本語能力試験N3もしくはN4以上)
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック、バスまたはタクシー)の合格
日本の自動車運転免許(トラックドライバーは第一種運転免許、バス・タクシードライバーは第二種運転免許)の取得
バス・タクシードライバーは新任運転者研修の修了
【受け入れ事業者の要件】
道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営している
自動車運送業分野特定技能協議会の構成員となる
「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」に基づく認証を受けている、または全日本トラック協会による「Gマーク制度」に基づく認定を受けた安全性優良事業所を有している
必要とされる日本語能力の基準は、トラックでは日本語能力試験N4以上、タクシーとバスではN3以上とされています。ただし、道路標識の漢字を瞬時に理解する必要があり、タクシーとバスでは車内で乗客とのコミュニケーションが発生するため、難易度が高いのが現実です。数ヶ月かけて根気よくロールプレイを行う必要があるでしょう。
在留資格を申請する際には、すでに日本の自動車運転免許を取得している必要があることに注意が必要です。海外の外国人をトラックドライバーとして雇用する場合、一種免許を取るために入社前に「短期滞在」(上限90日)の在留資格で日本に招へいする方法があります。また、「特定活動」(上限6ヶ月)の在留資格で入社してもらい、期間中に免許を取得してもらう手段も可能です。
バス・タクシードライバーとして二種免許を取得するための受験資格は、普通免許などを取得してから3年以上の運転経験があること、または29時限以上の受験資格特例教習を受けたうえで、最短でも1年の運転経験があることが条件とされています。制度に関してはまだ具体的に発表されていないため、一種免許も含めて免許取得に関して何らかの緩和が行われる可能性もあるでしょう。
関連記事:「特定技能の登録支援機関の役割は?要件や申請方法を企業に向けて解説」
「特定活動46号」の在留資格は、日本の大学や大学院、短期大学などを卒業している方を対象にしています。求められる日本語能力レベルが高く、具体的には、日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有していること、もしくは大学などで日本語を専攻し卒業したことなどが条件です。
在留期間は、5年、3年、1年、6ヶ月または3ヶ月のいずれかですが、在留資格「留学」から変更許可および初回の在留期間更新許可時には原則「1年」と決定されています。
特定活動46号で勤務する場合、日本語での円滑な意思疎通を要する業務が含まれていなければなりません。タクシー会社の例を挙げると、認められる可能性のある活動としては、集客のための企画・立案や、通訳しながら観光案内を行うタクシーの運転手などです。車両整備や清掃のみの業務は認められないので注意しましょう。単純労働のみに従事することはできませんが、業務の一つとしては行えます。
身分に基づく在留資格には、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」が該当します。在留期間はそれぞれ異なり、「永住者」は無期限、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は5年、3年、1年、6ヶ月です。定住者の場合は、5年を超えない範囲で法務大臣から個々に期間を指定される場合もあります。
身分に基づく在留資格を持つ外国人の方には就労制限がないため、特定の業務に限らず幅広い業務を担当することが可能です。現状では、外国人ドライバーを雇用している運送会社やタクシー会社の多くは、この「身分に基づく在留資格」を持つ外国人に限定して採用活動を行っています。
弊社が運営する「WeXpatsAgent」では、在留資格の各種申請に関するご相談を無料で承っております。経験豊富な担当者のサポートにより、初めての外国人採用も安心して挑戦していただけますので、外国人雇用・採用を考えている企業様はぜひ一度お問い合わせください。
関連記事:「外国人特化の人材紹介会社を比較!日本人採用と同じ選び方はNG」
参照元
国土交通省「自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて」
警察庁の「外国の運転免許をお持ちの方」によると、外国人が日本で運転するには、以下のいずれかの免許が必要です。
日本の運転免許
ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証
日本と同等の水準にあると認められる国の運転免許(政令で定める者が作成した日本語翻訳文が必要)
日本の運転免許を取得するには、「外国で取得した運転免許を切り替える」「日本で新しく運転免許を取得する」といった方法があります。
一般的な切り替え手続きの流れは以下のとおりです。
申請書類の提出
適性試験を受ける
交通規則の知識確認
運転技能の確認
日本の運転免許取得
東京都居住者を対象にした、外国の運転免許を切り替える方法について説明します。切替手続きでは知識確認や技能確認などを受けますが、国によってはこれらが免除される場合も。「有効な外国の運転免許証」「運転免許証の日本語翻訳文」「運転免許を取得した国に、取得後、通算3ヶ月以上滞在したことが確認できるもの」などが必要書類です。
日本で新しく運転免許を取得する場合、一般的な流れとしては自動車教習所に通ったあと運転免許試験を受け、運転免許証の交付を受けます。教習所に通うと1~3ヶ月程度かかりますが、合宿では15日前後での卒業が可能です。
外国語に対応している教習所もあり、また警視庁(東京都)では、第一種・第二種・仮免許学科試験は、20言語に対応しています。
参照元
警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」
警視庁「外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切替えるには」
警視庁「外国語により受験できる学科試験について」
ドライバーは道路標識の瞬時の理解や安全運転などを業務中に一人で行わなければならず、それに加え、タクシーやバスの運転手は利用客とコミュニケーションを取る機会も多々あります。たとえ免許や一定水準の日本語能力を持っていても、実践的な対応ができるようになるにはしっかりとした研修が必要です。ここでは、外国人ドライバーの研修について意識したいポイントを紹介します。
案内標識や補助標識には漢字が使われているため、運転しながら短い時間で理解するには日本語能力が必要です。翻訳アプリを使えばリアルタイムで意味を読み取ることは可能ですが、操作に気を取られてしまうと事故のリスクが高まるおそれもあります。曖昧な日本語の理解や読み間違いによる交通違反を防ぐためにも、日本語研修が必要です。
トラックの場合、高速道路を走行する際に、出入口の案内標識に書かれた地名を読み取る機会が多いでしょう。ローマ字表記が併記されているものの、瞬時に認識するためには地名の読みに対応する漢字を覚えてもらわなければなりません。
タクシーの場合は利用客の希望を聞きながらも、違反にならない道を選ばなければなりません。「聞く」「読む」を同時に行う余裕を持てる程度の語学力を養成することが必要です。
日ごろから安全運転研修を行っている会社は多いでしょう。しかし、外国人ドライバーを採用する場合は文化的差異に注意しなければなりません。交通ルールが違うことは広く知られていますが、交通マナーや遵法意識も異なる可能性があるのです。たとえば、クラクションを鳴らす頻度や理由など、文化によって感覚は異なります。
実際に働く前には、その国の交通事情や文化背景をヒアリングしながら、日本で安全運転するために必要な交通マナーを確認したり、遵法意識をすり合わせていったりすると良いでしょう。
タクシーやバスの場合、車内で一対一で接客をすることになります。よく使う定型文を覚えられたとしても、臨機応変に日本語を使いこなすのは至難の技です。急な対応が求められる業務なだけに、十分な語学力がないと外国人本人が仕事に不安を覚えることも考えられます。
想定されるトラブルや利用客の要望などへの受け答えをロールプレイで練習しておきましょう。接客場面を何十パターンも事前に経験しておけば、急な事態に焦ることが減るはずです。
練習の際、台本のように細かく会話例を示すのは参考にはなりますが、定型文の暗記にとどまってしまう可能性も。会話文にブランクをつくり自分で内容を考えて発言する練習や、例文を使わずに場面や行動などを指示するだけの自由度の高い会話練習を行うといったように、ステップアップしていくのがおすすめです。
文法の正確さをどの程度求めるかは会社の方針によると思いますが、完璧を求めすぎてしまうと外国人が日本語を話すことに躊躇してしまう可能性もあります。肯定的なフィードバックを投げかけるよう意識すると、練習に取り組みやすい環境が作れるでしょう。
外国人ドライバーを雇用する際に意識しておきたいのは、コミュニケーションの取り方や労働環境の整備、日本人と同等の待遇を設定することなどです。労働関係法令を遵守できるよう、そして、入社した外国人が定着してくれるように、下記の注意点を認識しておくと良いでしょう。
日本と外国、個人間においても常識として考えられていることは異なります。自分の考えに固執してしまうと、すれ違いが生じてトラブルに発展することもあるのです。
たとえば、日本のコミュニケーションは「ハイコンテクスト文化」と呼ばれており、すべてを言葉で説明しなくても察し合おうとする特徴があります。一方、アメリカなどの「ローコンテクスト文化」でのコミュニケーションでは、明快に伝えたい内容を表現することが良いとされるのが特徴です。こういった違いにより、日本人の指示する「すぐ」「できるだけ早く」などの表現が相手にとっては抽象的で、意図が伝わらないことがあります。
多様性のある職場を作るためには、さまざまな文化的背景や価値観を知って相手の行動の理由を理解する助けにしつつ、ステレオタイプ的な考えに固執せずに、その人個人の性格に目を向けましょう。そして、こちらの考え方を押しつけるのではなく、お互いに尊重しながら文化的背景や考え方、理由などを言葉にして話し合い、納得できる合意点を見つけるのが大切です。
運送業で人手不足になっている原因の一つに、賃金の低さや長時間労働といった業務の過酷さが考えられます。こういった問題を解消していかなければ、日本人外国人を問わず、入社を希望する人材は限られてしまうでしょう。離職者を減らし人材の定着を目指すためにも、改善策などを調べ、できることから取り組んでいく努力が必要です。厚生労働省のWebサイトには自動車運転者の長時間労働改善事例が紹介されているので、一読することをお勧めします。
外国人労働者にも労働基準法や最低賃金の労働関係法令が適用されます。労働基準法3条には「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と定められており、外国人だという理由で労働条件に差を設けることは禁止です。労働基準法違反として罰則が科される可能性もあるので、日本人を雇用する際と同等の待遇を設定しましょう。
参照元
厚生労働省 東京労働局「トラックドライバーの労働時間の改善事例を紹介します」
厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」
厚生労働省「○労働基準法」
人手不足が深刻化する運送業において注目される外国人ドライバーの雇用。労働力が補えるだけでなく、訪日外国人の利用客と同じ言語でサービスができる場合もあります。外国人ドライバーの在留資格としては特定技能「自動車運送業」「特定活動46号」「身分に基づく在留資格」などがあり、日本語能力や就労制限などの観点から雇用を検討するのが適切です。
定着してもらえるような多様性のある環境づくりや労働環境の整備、一人で業務をこなせる日本語レベルを養うための研修などを行い、相互に恩恵のある雇用関係を築きましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net