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異文化コミュニケーションを成功させるために重要なのは、相手と自分の相互理解です。関係を良好に保つためには、自分が“常識”だと思っている固定観念にとらわれず、他者の背景にある考え方や文化を知る必要があります。また、伝えたい主張を相手に理解してもらうためには、まず自分自身への理解を深め、考えを正確に言語化できるようになりましょう。
この記事では、異文化コミュニケーションで前提となる心構えやよくある失敗例、成功させるための具体的な方法について紹介しています。「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など多様な在留資格で働く外国人とのコミュニケーションに悩む方は、ぜひご覧ください。
目次
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異文化コミュニケーションは、性別・年齢・出身地・社会的地位など、自分と異なる文化と価値観を持った他者と意思疎通をする行為です。広義に解釈すると、たとえ国籍が同じであっても、文化に差異が見られる相手との間には異文化コミュニケーションが存在しているといえます。
この前提を踏まえたうえでなお、「異文化」という言葉から外国人との交流を想像する人は多いでしょう。この記事では、異文化コミュニケーションの中でも特に、日本のビジネスシーンで発生する海外出身者との交流について取り上げています。
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日本の異文化コミュニケーション研究は、1960年代前後にアメリカの論文や文献の翻訳から始まりました。
研究が加速したきっかけの一つは、1983年に立案された「留学生10万人受け入れ計画」です。1980年代は、国際ビジネスの展開や日本への外国人労働者流入などの異文化交流が盛んになってきた時期であり、日米ビジネスコミュニケーションについての書籍も複数出版されました。
1990年代には、国際ビジネス関連の欧米文献が数多く翻訳されるだけでなく、アジア人とのビジネスコミュニケーション研究へも関心が集まるように。辞書に「異文化」という言葉が採録されたのもこの時期です。1980年代に比べると「異文化コミュニケーション」という言葉が新聞に多用されるようになりました。
このように、異文化コミュニケーションへの認知や研究は、時代背景に応じて進んでいったといえます。2023年10月末の時点では外国人労働者数は 204万8675人で、前年と比べ増加した人数は 22万5950人。外国人労働者が増えている大きな理由の一つは人手不足です。近年、人材不足が顕著な業界としては、ITやホテル、建設、飲食、物流、介護業界などが挙げられます。このなかで、すでに外国人労働者数が増加傾向にある業界も。仕事上で外国人と交流する機会の多い現況では、良好な関係を築くために適切な異文化コミュニケーションが必要とされています。
関連記事:「外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」
「【行政書士監修】外国人採用まるわかりガイド|注意点・メリット・募集・雇用の流れ」
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
日本人同士が日本語で会話をする場合でもすれ違いが生じることもあります。異文化コミュニケーションでは、まず「自分の常識は所属するコミュニティでしか通用しないかもしれない」と疑う姿勢が大切です。そして、自己理解と他者理解を深め、きちんと言葉にして話し合いましょう。
ここでは、異文化コミュニケーションで前提となる心構えを解説します。
異文化コミュニケーションにおいて第一に必要なのは、凝り固まった“常識”を手放すことです。
ほとんどの場合、“常識”とは同じ価値観を共有するコミュニティでしか通用しない固定観念であり、その集団から一歩外に出れば「非常識」になりえます。実際には、誰にでも通用する“常識”などという概念は存在しないのです。
特に、日本の常識は世界の非常識と言われます。例えば、転職に対するネガティブな考え方、空気を読むといったことは、日本では常識に近いのかもしれませんが、世界の多くの国では通用しません。また、日本では先輩の指示に従うのは常識ですが、海外では通用しないこともあります。先輩後輩に上下関係はないという考え方が常識となっている国も多いからです。
相手はさまざまな文化背景を持っているため、自分の中では当たり前の価値観にそぐわない言動をとる場合もあります。そんなとき、互いがそれぞれの“常識”を手放すことができなければ、議論はいつまでも平行線です。
つねに自分の“常識”を疑うことで、異文化コミュニケーションで不都合が生じた際に、「もしかすると前提となる考え方が異なるのかもしれない」と気付けるようになります。その気付きこそが、互いへの理解を深め、合意点を探し出すための第一歩となるのです。
異文化コミュニケーションには、自分と相手の相互理解が必要です。つまり、「相手を理解する努力」に加えて「自分を理解してもらうための努力」も行わなければなりません。
自分の主張を正確に伝えるためには、自分自身の思考と感情を言語化する必要があります。そのうえで、「自分が所属するコミュニティ(国・企業・チームなど)の文化によるもの」と「自分自身の性格や状況によるもの」を整理して考えてみましょう。
例として「頻繁に寝坊で遅刻する外国人の部下にモヤモヤする」というシチュエーションを想像してみてください。モヤモヤするのは一体なぜでしょうか?
まずは上司という立場から「取引先との商談にも遅刻したり、納期を破ったりして、いつか業務上の損失を引き起こすのではないか」「チームの他のメンバーから信頼を失ってしまうのではないか」と心配になります。日本には時間を厳守する文化が根付いており、特別な理由のない遅刻は悪いこととする価値観があるからです(=所属するコミュニティの文化)。
そのうえで、もしも私の性格であれば「自分は毎日がんばって早起きしているのに、相手は遅くまで寝ていられて不公平だ」というように、自分が損をしている状況に苛立ちを感じてしまうかもしれません(=自分自身の性格や状況)。
このように、自分の内面を言語化して整理することで、主張を通じて相手に納得してもらいやすくなります。
日本企業の価値観を説明したうえで、遅刻は相手自身のためにもならないことを話せば、なぜ時間を守る必要があるのか理解してもらいやすいでしょう。一方で、自分が感じている苛立ちを混同してしまうと、主張が正しく伝わらないどころかパワハラに発展してしまう可能性があります。
なお、時間に対する意識以外にも、日本企業には以下のような文化が存在するとされています。
自分の内面を言語化できるようになったら、次は相手への理解を深める番です。相手の主張の裏に存在する価値観を理解することで、互いに納得できる結論を見つける助けになります。
そのためには、相手の文化に関する情報を事前に仕入れておくことが重要です。具体的には、善悪の判断に関わる社会通念、信じられている宗教、教育制度、気候風土、国際交流の歴史などをできるだけ細かく調べましょう。
たとえば、東南アジアには時間に対して大らかな国が多くあります。一説によれば、一年中温暖で四季による変化が少ないため、田植えや収穫を急がなくとも食べ物に困りにくかったことが影響しているようです。
また、現在進行形で経済成長が著しい国では、急速な都会化に交通インフラの整備が追いつかず、渋滞のせいで遅刻が当たり前になっている現状があります。
このような背景を把握しておけば、先ほどの部下の遅刻に対しても、価値観の違いをより正確に理解できるのではないでしょうか。
ただし、調べた情報に固執するあまり、相手の文化に関するステレオタイプ的な先入観を膨らませることも誤った理解につながります。自分の目の前にいるのはあくまで「○○さん」という個人であり、類型化された「アメリカ人」や「ベトナム人」ではないのです。
遅刻の例にしても、実際は想像したような価値観の違いではなく、本人の努力や意思ではどうにもならない体質や病気が原因という可能性もあります。
異文化コミュニケーションも突き詰めれば、個人対個人のやりとりであることに違いはありません。
他者を理解しようとする努力は必要ですが、そのうえでなお、正確なことは対話を通じてしか分からない点を意識しましょう。
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自分の主張を正確に言語化できるようになり、相手の主張に考えを巡らせる準備が整ったら、いよいよ互いが納得できる合意点を見つけるための対話に入りましょう。
まずは相手の主張にしっかりと耳を傾けましょう。その主張の裏側にはどのような価値観が存在するのか、用意した予備知識と擦り合わせながら、ここでも「相手自身の性格や状況によるもの」と「相手が所属するコミュニティの文化によるもの」を切り分けて整理します。
重要なのは、たとえ相手の話した内容が自分の“常識”とどれだけ食い違っていても、多様な価値観を否定せず、一旦は受け入れることです。そのうえで、自己理解をもとに自分の主張を正確に伝えましょう。言葉を使わずに態度や表情で考えを察してもらおうと期待する姿勢は、それ自体もある意味で日本特有の文化であり、異文化コミュニケーションでは誤解を招きかねません。また、異文化コミュニケーションでは「多数派の価値観に少数派がいかにして合わせるか」が着地点になりがちです。しかし、そのようなコミュニケーションばかりでは、多様性のある組織を作ることはできません。
日本企業で外国人との異文化コミュニケーションを行う場合には、自分が多数派側にいる自覚を持ち、相手の価値観に合わせてチームの意識や制度を変えていけないか検討する姿勢も必要となります。
ここからは、外国人労働者の雇用におけるさまざまな問題のなかでも、正社員やアルバイトとして同じ職場で働く外国人従業員との異文化コミュニケーションにおける失敗例を紹介します。雇用した外国人材の早期離職を防ぎ、帰属意識や生産性を高めてもらうために、失敗しやすいポイントを抑えておきましょう。
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日本のコミュニケーションはハイコンテクスト文化と呼ばれ、全てを言語で説明しなくてもお互いに察し合おうとする特徴があります。
コンテクスト(context)を日本語に訳すと、背景、状況、場面、文脈、前後関係といった意味になります。つまり、具体的な事象を指すものではなく、その事象の周りにある曖昧なものを指します。ハイコンテクスト文化とは、曖昧性が強い文化であり、その逆のローコンテクスト文化は、曖昧さが少ない文化であるとも言えます。
「空気を読む」「阿吽の呼吸」「察しが良い」「以心伝心」「忖度」「暗黙の了解」……etc。これらはすべてハイコンテクストなコミュニケーションに関する言葉です。言外のやりとりを重視する国は他にもありますが、日本は特にその傾向が強く、業務上のやりとりにも影響しています。
たとえば同僚が微妙なアイデアを出してきた際に、日本人は気を遣って「私は好きですけど……」などと含みのある表現を使いがちです。もちろん、その後には「顧客はどう思うでしょうか?」といった苦言を続けたいわけですが、そこまで言葉にせずともニュアンスや表情、言い方で察してもらえることを期待して、あえて前置きしか言わないこともあるでしょう。
一方で、アメリカのようなローコンテクスト文化のコミュニケーションでは、伝えたい内容は言葉で明快に表現することが良しとされます。
そのような文化圏の人に上記のような指摘を行えば、文字通りに「好きと言われたということは、良いアイデアなのだな」と受け取られてもおかしくありません。相手が傷つくのではないかと気を回すよりも、はっきり言葉にして伝える方が建設的な議論になる場合もあるのです。
ほかの具体例として、「すぐに作業を終わらせて」「できるだけ早く書類を作って」などの曖昧な指示があります。「すぐ」「できるだけ」という表現は抽象的で、想定する優先度が伝わりません。期限と理由をはっきりと示すことが重要です。
また、YESかNOかが分かりにくい「大丈夫です」「いいです」のような日本語は、意味が明確でないため伝達ミスにつながります。意識して使用を控えましょう。
関連記事:「日本語能力試験(JLPT)とは?N1~N5レベルの難易度と可能な業務」
日本では協調性やチーム全体での成功が重視されますが、外国では個人が成果をアピールするのが一般的です。そのため、外国人従業員の個人での成果が良かったにも関わらず、チームでの業績が不振だったからと評価を上げない場合、不満を覚える人もいるでしょう。
謝罪についての考え方も、日本と外国では異なります。日本では相手との争いを最小限に抑えるために、まず謝るのが一般的です。しかし、外国では謝罪すれば全ての責任を負う必要があると考える場合や、メンツを守るために謝らないことが多い国もあります。
外国人従業員がすぐに謝罪しないことに日本人が怒りを覚え、摩擦が生じる場合もあるでしょう。外国人にとっては、自分は悪くないのにすぐ謝る日本人に対して不信感を感じることもあるはずです。
こういったすれ違いに対しても、相互理解を深めることは有効でしょう。自分の常識内で相手の行動を判断せず、文化的背景を理解したうえで話し合えば、摩擦が生じる前にお互いの妥協点を見つけられるはずです。
日本は上下関係が重んじられる階層主義の社会だといわれます。平等主義の文化背景を持つ人にとって目上の人への反論は普通のことですが、階層主義の日本ではあまり良く思われません。このような上下関係の捉え方の違いから、問題が生じることもあります。
たとえば、会議中に外国人従業員がストレートな言い方でクライアントに反論した場合です。日本には「お金を払う側は、貰う側よりも上の立場にある」という価値観が根強いこともあり、自分への反論に驚いたり、失礼な態度を取られたと感じるクライアントもいるでしょう。
こういった場合、日本の文化ではストレートに伝えるのは好ましくないとただ説明しても、外国人従業員は「じゃあどのように自分の意見を通せばよいのか」と困惑してしまう可能性があります。価値観が異なる会議への不満が募り、モチベーションの低下にもつながりかねません。
ここで必要となるのは、クライアント目線での注意ではなく、外国人従業員の目線に立った本人へのフォローです。外国人従業員には、ひとまずクライアントに思うことがあっても一度言葉を飲み込んでもらい、商談後にあらためて振り返りを行いましょう。外国人従業員が発言したかった内容に対して、上司や先輩が「自分ならどう意見を伝えるか」を教えることで、日本企業の作法を具体的に理解してもらうのです。
また、上司である自分自身が、外国人の部下から失礼な物言いをされることもあるかもしれません。その場合には、問題点を「自分が感じた不快感」と「価値観の違いによる業務上のリスク」に分けて言語化し、後者に基づいて冷静に説明することが大切です。
くれぐれも、叱ることや命令することなどによって、こちらの方針に無理やり従わせてはなりません。なぜなら、無理やり従わせれば相手に恐怖心や反発心を植え付けてしまうのみで、根本的な解決には至らないためです。
また、人前で叱責することもNGです。指導が必要な際は、別室などで相手と一対一の状況を作ると良いでしょう。
雇用スタイルには大きくメンバーシップ型とジョブ型があります。日本企業の多くは、個人の業務範囲が明確でなく、仕事内容が柔軟なメンバーシップ型です。一方、ジョブ型の国では社員一人一人の業務内容や責任範囲がはっきりしています。
海外での就労経験がある外国人の中には、実際に「担当外の業務はやりたくない」と明言する人もいます。日本人としては、もっとチームワークを意識してほしいと感じるかもしれません。
ジョブ型の考え方の人にも柔軟な働き方をしてもらうためには、「周囲を手伝うことも自分の担当業務である」という認識を持ってもらう必要があります。
同僚の仕事をサポートしたり、担当者が決まっていない雑務を積極的に引き受けたりすることが、直接的に評価される評価制度を整えましょう。たとえば、近年多くの企業で取り入れられている「コンピテンシー評価」は、モデルとなる行動特性に沿った行動(ここでは「周囲を積極的に手伝う」「担当外の業務も引き受ける」)を取れているかどうかを昇進や昇給の指標とする手法です。
その量に差はあれど「残業が全く無い」という日本企業は非常に珍しいのではないでしょうか。
しかし、海外には「定時で帰るのが当たり前」という国も数多く存在します。オンオフの線引きが明確で、就業時間外はすべてプライベートという価値観の人であれば、業務時間外の残業指示や飲み会に抵抗感を覚えてもおかしくありません。
そこで相手を不真面目だと捉えたり、関係を築くつもりがないと判断したりするのは溝を深める結果につながります。
残業が常態化している場合、そもそも「なぜ残業する必要があるのか」を考える必要があるでしょう。規定の業務時間内で目標とする成果を上げられないのであれば、目標設定を誤っているか、成果を上げるための生産性が不足している可能性があります。
本人の生産性を上げるための具体的な方法を上司が一緒に考えた上で、互いが納得できる妥協点を見つけることが大切です。
近年は日本の企業でも、意図せぬハラスメントのリスクを避けるために、たとえ褒め言葉であっても同僚の身体的特徴にはむやみに言及しないことがビジネスマナーとして定着しつつあります。
外国人の同僚とのコミュニケーションでは、この点をより意識した方がよいでしょう。
たとえば「足が長いですね」「顔が小さいですね」といった褒め言葉は日本では一般的ですが、中には「足が長すぎてコンプレックス」という人もいます。そもそも仕事上の付き合いで外見を褒められてもうれしくないという人や、ルッキズムに敏感な文化圏の人にとっては、こうしたコミュニケーション自体が不快かもしれません。
外国人の取引先との間にも異文化コミュニケーションは発生します。社内の従業員とのコミュニケーションとは異なり、社外の人に対しては要求できることが限られるため、予防策をしっかり講じておくことが大切です。
日本企業同士の取引では、契約書に書かれている内容以外も口頭で補完したり、話し合って解決したりといったケースがしばしば見受けられます。しかし、多くの国では契約書に記載された内容が全て。自分がクライアントとして追加の業務を依頼した場合、たとえ相手に非があったとしても料金が発生しかねません。
同じような内容の契約であっても、日本と欧米諸国では、契約書の枚数が全く違います。日本では数ページにおさまるような契約書であっても、欧米では100ページ近くなることも珍しくありません。欧米諸国では異文化の背景を持つ人が一緒に仕事をしているため、細かな点まで決めておかないと、あとあとトラブルになるからです。
また、日本で重要視されるのは予定通りに仕事を進めて締切を守ることです。しかし、国によっては、残業してまで納期を守ろうという考え方がなく、遅れが発生する場合もあります。
仕事への考え方の違いを理解し、起こりうるトラブルを想定して事前に対策を取りましょう。依頼内容だけでなく、トラブルが発生した場合の対応まで契約書に明記しておくのが大切です。納期を守ってもらうためには、定期的に進捗確認の会議を開くと良いでしょう。
信頼構築方法には大きく分けて、「関係ベース」「タスクベース」の2種類があります。日本はどちらかというと関係ベースです。ほかにはインドや中国などが該当し、食事などのプライベートな時間で親睦を深めることで、信頼されるようになるという特徴があります。
タスクベースは、仕事のスキルや業績などが重要視される考え方です。アメリカやオーストラリアなどの国が該当します。
日本では接待がビジネスに利用されることが多いですが、外国の取引相手によっては禁止されていることも。接待が可能でも、日本のように「深めた親睦によって仕事がうまくいく」という考え方ではない場合もあるのです。こういった背景により誘いを断られ、想定していた機会を逃してしまうこともあるでしょう。
相手と信頼関係を築くには、関係ベースとタスクベースの違いを理解し、相手がどちらに該当するのか見極めるのが大切です。相手がタスクベースの考え方だと判断した場合は、仕事上で信頼されるような行動を取ったり、スキルや業績を示したりすると良いでしょう。
異文化コミュニケーションとは、自分と異なる考え方や文化背景を持つ人と意思疎通する行為を指します。外国人従業員や取引先との関係では、すれ違いが起きることもあるでしょう。その際に、自分の常識で相手を判断したり決めつけたりせず、相互理解を深めて話し合うことが大切です。事前に失敗例を知り、対策を練っておくのも有効でしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net