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日本の外国人労働者の数は年々増加し続けています。一時は新型コロナウイルスの影響で増加率が著しく低下しましたが、2023年にはほぼコロナ禍前の水準にまで戻りました。
あらゆる業界で外国人材の活躍が見られますが、特に多く集まる職種も存在します。
この記事では、外国人労働者が多い職種をランキング形式で紹介。自社が属する業界における雇用状況を確認してみましょう。
目次
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2023年の厚生労働省の調査によると、日本で働く外国人労働者の数はついに200万人を突破し、204万8675人になりました。
前年同時期からは22万5950人増加しており、対前年増加率は12.4%でした。新型コロナウイルス感染症が流行する以前の勢いを取り戻したといえます。
引用:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)」
国籍として最も多いのはベトナム人で、割合は外国人労働者全体の25.3%。あとに中国人(香港・マカオを含む)、フィリピン人と続きました。なお、増加率で見るとインドネシア人(前年比56%増)やミャンマー人(同49.9%増)が目立っています。人材市場においてこれらの国を「ベトナムの次の有力候補」と考えている企業も少なくありません。
データを見る限り、円安による外国人労働者の日本離れが懸念されているなか、依然として日本での就労に魅力を感じている人は多く存在していることが分かります。
外国人労働者の働きやすさに配慮した職場づくりや適切な報酬、福利厚生を整えれば、安定して応募を集められるでしょう。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」
外国人労働者が就労先に日本を選ぶ理由はさまざまです。高い賃金を得るために日本で働くことを選ぶ人が多いのは確かですが、全員がそうというわけではありません。
たとえば、日本で働くことが自身のキャリアアップに直結するため来日する人もいます。日本企業が多数進出する国では、日本語を話せることや日本での就労経験が大きなアドバンテージになるのです。
このほかには、アニメや漫画などのカルチャーをきっかけに日本に興味を持って「住んでみたい」という気持ちを優先して来日した人もいます。
外国人労働者が日本に来た理由を先入観で決めつけず、目的を見極めたうえで適切なキャリアプランや働き方を提案することが、外国人雇用を成功させるコツです。
ここでは、厚生労働省による「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」の調査結果をもとに、外国人労働者の多い職種をランキング形式で紹介します。
情報通信業で働いている外国人労働者は8万5401人です。
通信業界では、ITエンジニアをはじめとした技術職で外国人労働者の雇用が増えてきています。
日本では急激な需要の高まりや技術の進歩に対応しきれておらず、IT人材が不足している状況です。そのため、積極的に外国人労働者の受け入れが進められています。
海外では早期のIT教育が進んでおり優秀な人材が豊富です。外国人雇用にはただ人員不足を解消できるだけでなく、高いスキルを持った人材を確保できるというメリットもあります。
医療・福祉業界で働く外国人は9万839人で、そのうちの6万6660人は福祉・介護分野で働いています。
高齢化による需要急増と離職率の高さから、多くの事業所が人材不足を感じている状態です。そのため、特に外国人労働者の雇用が進んでいる業界といえるでしょう。
介護業界では「介護」「EPA介護福祉士候補者」「技能実習」「特定技能」の在留資格で外国人の就労が可能です。
近年、特定技能制度を利用して働くベトナム、フィリピン、インドネシア、ネパール出身の介護従事者が増えています。2023年には、福岡県の介護施設でネパール人の施設長が誕生したことがニュースになりました。
関連記事:「外国人を介護職で雇用する方法は?在留資格ごとの特徴を徹底比較」
建設業で働く外国人労働者は14万4981人です。
建設業は体力を必要とし、危険な仕事もあるというイメージから、若年層に敬遠されがちな業界です。建設需要は高まっているにも関わらず、従事者の高齢化が進んでいます。2025年以降は建設業界を支えている団塊の世代が退職していくため、さらなる人手不足が見込まれるでしょう。
建設業界での外国人労働者の雇用は、東京オリンピックの関連設備建設が始まった時期に増え始めました。
外国人労働者の雇用は若年層を採用しやすくなるため、建設業界のニーズともマッチしています。
外国人労働者のうち23万3911人、割合にすると11.4%が宿泊業・飲食サービス業に従事しています。このうち19万8901人は飲食サービス業、3万2403人は宿泊業で働いており、割合に差はあるもののどちらもインバウンド需要が高まりを見せている業界です。
飲食業界では留学生の資格外活動、つまり留学生アルバイトの割合が高くなっています。また、身分に基づく在留資格をもつ、日本在留歴の長い外国人労働者も多い傾向にありました。
宿泊業界の外国人雇用の割合は飲食サービスと比べると低めです。しかし、コロナ禍以降の急激な需要急増に対応すべく、外国人の雇用を進める動きが高まっています。そのため、今後増加していく可能性が高いでしょう。
関連記事:「人手不足のホテル・旅館で外国人雇用が進む理由は?可能な業務や採用方法」
卸売業・小売業では、26万3555人の外国人が働いており、全体の12.9%を占めています。
海外から商品を仕入れる際のやり取りにおいて、他言語に精通した外国人材の存在は今や欠かせません。取引国の出身者を雇用すると、言葉だけでなく文化や価値観を深く理解しているため他国とのやり取りがスムーズに進むというメリットもあるのです。
小売業では、インバウンドの増加により外国語で接客・販売できる人材の必要性が高まっています。特に繁華街や観光地では、さまざまな言語に対応できる人材の確保が急務です。
また、都市部の小売業、特にコンビニエンスストアでは、留学生の資格外活動、つまり留学生アルバイトの割合が高くなっています。
その他サービス業で働く外国人は、32万755人で全体の15.7%です。その他サービス業には、宿泊・飲食サービス以外のすべてのサービス業が当てはまります。たとえば、警備、自動車整備、ビルメンテナンスなどです。
なお、その他サービス業に従事する32万755人のうち、16万3555人は派遣形態で働いています。
最も外国人労働者が多かった業界は製造業で、55万2399人が働いていました。この人数は外国人労働者全体の27%を占めます。
製造業界では後進育成が上手くいっておらず、生産ラインで活躍する技能人材が慢性的に不足している状態です。また、24時間稼働の工場においては日勤、準夜勤、夜勤の三交代制のシフトがあるなど、業務がハードなイメージから若者からの応募が集めにくくなっています。
なお、食品製造業で働く外国人労働者が最も多く、16万9483人でした。次いで輸送用機械器具製造業(9万5338人)、金属製品製造業(5万5132人)と続きます。
製造業は、技能実習制度を利用して外国人労働者を受け入れている企業が多いのが特徴です。製造業で従事している外国人労働者の48.3%は、技能実習生として日本で働いています。
製造業は接客業などと比較すると日本語でコミュニケーションを取る機会が少ないため、外国人労働者の参入が比較的容易です。また、作業中心の業務なので企業としても教育に掛かる負担が少なく、雇用をスタートしやすいという事情もあります。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
「在留資格」とは、外国人に日本での活動を認める資格のことです。
外国人労働者の在留資格には身分に基づく種類と就労に基づく種類があります。身分に基づく在留資格は「永住者」や「日本人の配偶者等」が該当し、働く職種に制限がありません。しかし、就労に基づく在留資格はそれぞれ就ける職種が決まっているのです。
ここでは、就労に基づく在留資格のうち、特に取得者の多い「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」で就ける職種について解説します。
引用:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)」
厚生労働省の「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によると、204万8675人の外国人労働者のうち、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人は36万6168人います。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、以下の条件を満たさなくてはなりません。
学歴や職歴と業務内容に関連性があること
海外の大学、日本の大学、日本の専門学校卒業の学歴を有すること
報酬や待遇は日本人と同等以上であること
雇用企業の経営状態が安定していること
一定レべルの専門知識を要する業務に従事すること
大学もしくは日本の専門学校卒業以上の学歴がない場合、実務経験があれば取得できます。実務経験の必要年数は、技術分野・人文知識分野の場合は10年以上、国際業務分野の場合は3年以上です。
「技術・人文知識・国際業務」は「技術」「人文知識」「国際業務」の3つの分野で就労可能です。それぞれの分野で働ける職種を以下で紹介します。
「技術」分野は、主に理系分野の知識や技能を使う以下の職種が該当します。
CADオペレーター
プログラマー
建築士
航空整備
機械の設計や開発業務
機械工学関連の技術者
情報セキュリティーの技術者
土木や建築における研究開発や設計の従事者
ゲーム開発におけるシステム設計や運用保守の従事者
上記以外にも、理学・工学・自然科学などの技能や知識を要する仕事と判断されれば、在留資格が許可されることがあります。
関連記事:「外国人エンジニアを採用したい企業向け!メリットや必要な在留資格とは」
「人文知識」分野には、法律学や経済学、社会学などの知識を要する職種が該当します。
コンサルタント
マーケティング
広報
営業
経理
会計
法務
人事
総務
企画
広報
一般企業の総合職に該当する職種と考えると分かりやすいでしょう。
海外マーケティングやインバウンド向けの商品やサービスの企画では、多くの外国人材が活躍しています。
「国際業務」分野に該当するのは、国際的な知識や技能を活かした仕事です。
通訳
翻訳
デザイナー
民間企業の語学教師
貿易
外国人を主に使うホテルのフロント業務
このほか、外国人観光客をメインに接客する店舗や空港の免税店での接客業務でも、在留資格が許可される場合があります。
「特定技能」とは、人手不足が特に深刻な以下の分野(特定産業分野)において、一定以上の日本語能力と技能を有していると認められた外国人に付与される在留資格です。
介護:訪問看護以外の身体介護や身体介護に関連する補助業務
ビルクリーニング:建築物内部の清掃
工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業):機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本
建設:土木、建築、ライフライン、設備
造船・舶用工業:溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組み立て
自動車整備:自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する業務
航空:空港グランドハンドリング、航空機整備
宿泊:旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客およびレストランサービスなどの宿泊サービスの提供業務
農業:耕種農業、畜産農業
漁業:漁業、養殖業
飲食料品製造業: 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生の確保
外食業:飲食物調理、接客、店舗管理
※2024年2月に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野の追加が発表されました。
上記の作業は一例です。業務の詳細は出入国在留管理庁のWebサイトで確認できます。
特定技能の在留資格の特徴は、単純労働に従事できること。ほかの在留資格と比べると幅広い業務を外国人労働者に任せられます。
特定技能の在留資格は1号と2号があり、1号の在留期間は最長で5年ですが、2号に移行すれば事実上無期限で在留が可能です(介護は2号以降不可)。
在留資格「技能実習」は、日本で技能実習を行うために来日した外国人に付与されます。技能実習とは、開発途上国出身の外国人が日本の技術や知識を実務実習を通して習得し、母国の発展に活かすための制度です。
技能の習得が目的の制度とはいえ、技能実習生は実際に業務を行いながら実習を行うため、人手不足の企業にとっては大きな戦力になっています。
2024年7月時点では、以下の職種があります。
農業関係:耕種農業、畜産農業
漁業関係:漁船漁業、養殖業
建設関係:さく井、建築板金、とび、左官など
食品製造関係:缶詰巻締、パン製造、牛豚食肉処理加工業など
繊維・衣服関係:紡績運転、織布運転、染色など
機械・金属関係:鋳造、金属プレス加工、めっき、電子機器組み立てなど
その他:自動車整備、ビルクリーニング、介護、鉄道車両整備など
社内検定型の職種:空港グランドハンドリング、ボイラーメンテナンス
在留資格「技能実習」は、「1号」「2号」「3号」の3つに区分されています。在留期間は「1号」は1年間、「2号」「3号」はそれぞれ2年間で、通算して最長で5年間日本で働けます。なお、技能試験を受け合格すれば、先述した「特定技能」へ移行することも可能です。最終的に特定技能2号に移行できれば、長期的に日本で就労できます。
技能実習制度は2027年を目途に「育成就労制度」に変更されます。受け入れを考えている場合は、最新情報を随時チェックするようにしてください。
関連記事:「在留資格「介護」を持つ外国人の採用について、最新情報を解説」
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」 出入国在留管理庁「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」 外国人技能実習機構「移行対象職種情報」
外国人を採用する主なメリットには以下が挙げられます。
日本は労働人口が減少し続けており、多くの業界で売り手市場の状況です。人材はネームバリューのある大企業や報酬の良い都心の企業に集中し、地方や中小企業にはなかなか応募が集まりません。
そうした人手不足の状況を打破しうるのが外国人採用です。
外国人材の多くは「お金を稼ぎたい」「スキルを磨きたい」といった明確な目的意識を持って日本に来ています。そのため、条件や仕事内容が合っていれば企業の知名度は気にしない傾向が日本人より強いのです。
同じ理由から地方にも人材が集まりやすい点も魅力といえます。差別やハラスメントが起こらないよう徹底し、外国人向けの研修制度を整えることで、安定して外国人社員を採用できている地方企業が増えています。
若年層を採用しやすいのも外国人採用のメリットです。仕事を目的に来日する外国人は20代~30代が多くを占めています。
日本の少子高齢化は進む一方で、今後若年層を採用するのはさらに難しくなるでしょう。今のうちから外国人採用をスムーズにできる体制を整えておけば、今後も安定して若い人材を確保できます。
国際化が進む昨今、インバウンド事業の拡大や海外進出を狙う企業にとって、外国語を話せる人材の存在は欠かせません。グローバルに活躍できる語学力も外国人材の強力な武器です。
ただ外国語を話せるだけでなく、海外(母国)の価値観や文化に対するネイティブな理解があることも魅力的です。海外向けの市場調査を行う際に大いに活躍してくれるでしょう。
通訳者や翻訳者として採用する場合も、教育コストこそかかるものの、商材や顧客を理解したうえで最適な対応をしてくれるため、長い目で見ると外部の業者に依頼するよりメリットがあります。
古くからの非効率的な慣習が根強く残る日本企業は少なくありません。印鑑が必要な書類や残業を美化する文化、不必要な定例会議などがその一例です。こうした「日本の当たり前」に疑問を投げかけ、新しい風を呼び込んでくれる可能性を外国人材は有しています。
事実として、弊社サービスをご活用いただいている企業の中には「なぜペーパーレス化しないのか?」「業務を効率化する方法はないか?」という外国人社員の意見に真摯に耳を傾けることで、業務効率化や業績向上を果たした企業もあります。
もちろん考え方の違いによって生じる問題もありますが、互いに歩み寄る姿勢を持つことで、企業の価値観をアップデートさせられるかもしれません。
価値観のアップデートは組織のダイバーシティ(多様性)を促進するためにも欠かせません。
人材不足が加速する日本で安定的な経営を行っていくためには、年齢・性別・国籍・宗教・身体的特徴などの属性に左右されず、あらゆる人が活躍できる環境を作っていく必要があります。
外国人採用もそのひとつ。たとえば、礼拝や食事制限の戒律に従うムスリム(イスラム教徒)の社員を採用することは、企業にとって挑戦かもしれません。しかし、全く異なる文化圏の仲間が自分らしく生き生きと活躍している姿は、それを見た周囲の社員にも良い刺激を与えられるはずです。
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関連記事:「外国人労働者を取り巻く現状と問題を企業に向け解説!解決策も紹介」
日本の労働力不足が深刻になりつつある昨今、外国人労働者はあらゆる職種で活躍し日本の経済や産業を支えています。なかでも、製造業や卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業への従事が目立っていました。
外国人は在留資格によって働ける職種が異なります。自社の業務が行える種類をよく確認し、雇用時の判断材料にしましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net