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最悪の場合、倒産の原因となるほど企業の経営に大きな影響を与える人手不足問題。労働人口そのものが減り続ける日本では、やみくもに求人を出していても、深刻な人材不足に立ち向かうことは困難です。
これから先、安定した経営を続けるためには、IT技術や機械に頼った業務効率化を進め、そして何より「これまで会社にいなかった人材」も積極的に採用していく必要があります。
この記事では、外国人採用やDX化といった「人手不足の解決策」を6つ紹介します。それぞれの企業に合ったやり方で健全経営を目指しましょう。
目次
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日本の深刻な人手不足は、主に以下の3つの要因が引き起こしています。
以下で詳しく見ていきましょう。
日本は一部の職種を除いた多くの業界で人手が不足しています。その大きな要因は、15歳~64歳の労働力の中心となる年齢の人口(生産年齢人口)が減少していることです。たとえ現在は人気の業界であっても、長期的な視点で見れば少子高齢化の影響からは逃れられません。
以下のグラフをご覧ください。
引用:内閣府「人口減少と少子高齢化」
政府統計によると、生産年齢人口(グラフの赤線)は減少し続けており、2065年には約4,500万人になる見込みです。2020年と比較すると、その数は3分の2以下。2,900万人もの働き手が居なくなると試算されています。
右肩下がりの人手不足はもはや歯止めが効きません。日本国内の労働人口の取り合いはますます激化していくと考えられます。
若者の人材流出の問題は、地方の採用担当者にとって今更聞かされるまでもない悩みの種でしょう。進学を機に都心に出た学生が、地元に戻ることを選ばずそのまま就職するケースは、価値観やライフスタイルの変化によりますます増加しています。
また、都心で働いたことのある人材を地方へ呼び込むのも難しいといえます。優秀な人材が見つかっても、東京と地方の給与水準の違いにより条件面の希望がマッチしないことが少なくありません。
人口が少なくなっている地域では、活発な経済活動がしにくくなります。高い報酬や良い労働環境を整えることが難しくなり、さらに人材確保が難しくなる悪循環が起きているのです。
最後の要因が「大企業への人材の集中」です。人材獲得競争が激化するなかで、大企業と比較して広報や採用コスト面で不利な中小企業は苦戦を強いられています。
また、不況が長引く状況で、多くの就活生が企業の知名度や規模を重視するようになったことも中小企業にとっては逆風です。
若い人材が入社しなければ、未来の幹部候補が育たず、事業の先細りは避けられません。一見すると経営は上手くいっているにもかかわらず、後継者がおらず廃業や事業譲渡を余儀なくされる中小企業が増えています。
業界が人手不足の状態だと、当然ですが各企業での人員確保も難しくなり、さまざまな問題が起きます。具体的には以下の5つの問題が起きる可能性が高くなるでしょう。
紹介を以下で解説します。
企業で必要な人員の人数が確保できていないと、作業が滞り納期や締め切りに間に合わなくなる可能性が高まります。また、細やかな部分にまで目が行き届かなくなりミスやトラブルが起きやすくなるでしょう。
こうなると、事業への影響は計り知れません。取引先や関係各所からの信用を失うことも大いにあるのです。
従業員の人数に余裕がなければ、品質やサービスが低下する場合があります。少ない人数でタイトな納期に間に合わせようとすれば、丁寧に仕事に取り組むのは困難です。サービス業の場合も、一人ひとりの顧客に向き合う余裕や時間がなくなり、高いホスピタリティを維持できなくなります。
必要な数の人員が確保できていないと、当然ですが一人当たりの業務量が増えます。必要な業務を終わらせるために、従業員に残業や休日出勤を依頼するしかない企業も少なくありません。そのような状況が続けば、従業員はストレスや疲労を溜めてしまい、心身の不調に繋がる恐れがあります。
一人あたりの業務量が多い状況が続けば、従業員のモチベーションは低下します。人手不足で負担が増えても、一時的なものであれば不満は出にくいでしょう。しかし、慢性的に続けば長く頑張ってくれている従業員ほど、フラストレーションを溜めてしまうのです。
新たな人材確保の見通しが立たず業務量が多い状態が続けば、既存の従業員の離職にも繋がります。
必要な人数の従業員を確保できず、事業の縮小を余儀なくされる企業は少なくありません。なかには、倒産する企業もあるほどです。帝国データバンクの調査によると、2023年に従業員数の減少が原因で倒産した企業は過去最多の260件でした。
現場が回らなかったり新たな仕事を受注出来なかったりすれば、経営そのものが立ち行かなくなる可能性もあるのです。
参照元 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2023年)」
人手不足が顕著な業界は建設業界や医療・福祉業界、飲食業界、運送業界などです。ここでは、厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況 」をもとに、正社員の人手不足の状況を解説します。
なお、説明に登場する「(業界別)労働者不足係数」とは、正式名称を「労働者過不足判断D.I.」といいます。これは、各業界の事業所に労働者数の過不足について質問し、人材が「不足」と回答した事業所の割合(%)から「過剰」と回答した事業所の割合(%)を差し引いた値のことです。シンプルに数値が大きいほど人手不足が深刻と捉えていただければ問題ありません。
全体の「労働者不足係数」は51ポイントです。これよりも数値が大きい業界は人手不足の傾向があるといえるでしょう。以下では特に人手不足が深刻な業界をピックアップして紹介します。
建設業界の「労働者不足係数」は65ポイントであり、全体の51ポイントを大きく上回っています。
建設業界は時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」の影響を大きく受けた業界です。一人あたりの働ける時間が減るため、今後さらに多くの人材を確保していく必要があります。
また、若者からの応募が少ないのも、人手不足の大きな要因といえるでしょう。建設業界で働くには体力はもちろん、専門的な知識や技術が必要です。また、未だに「きつい・汚い・危険」とマイナスなイメージを持つ方も多いため、応募者がなかなか増えません。新規入社数が少ないうえ入社後すぐに退職してしまう若者、あるいは高齢になった従業員の退職などが後を絶たず、人手不足が続いています。
情報通信業界の「労働者不足係数」は62ポイントと、ここ1~2年で大きく数値を延ばしています。
経済の発展とともにITニーズが増加する一方で、常に進化する技術に対応できる人材が圧倒的に足りていないのが現状です。
また、日本は世界の先進国と比較して、自社でエンジニアを雇用せず、業務委託や外注に頼る傾向があります。輝かしいキャリアを築いているハイクラスエンジニアもいる一方で、納期やトラブル対応により残業や休日出勤が発生する職場もあり、待遇の格差が広がっています。
運輸業 ・郵便業の「労働者不足係数」は59ポイントです。近年、インターネットショッピングやフリーマーケットアプリなどで運送会社を利用する人が増加しており、人手不足感が高まっています。
運送業も2024年4月1日から時間外労働の上限規制が設けられたため(2024年問題)、需要は増加する一方にも関わらず、人手不足はより深刻になっていくと考えられます。
2024年には、労働者不足の業界で外国人に働いてもらうための「特定技能制度」の対象として、タクシードライバーやトラック運転手が新たに追加されることが決定しました。
宿泊・飲食業界の「労働者不足係数」は56ポイントです。
宿泊業界は元々「長時間労働になりやすい」「休みが自由に取れない」などの理由から、人材が集まりにくい業界でした。さらにコロナ禍で業界が一時的に縮小したことで、人材の獲得がストップし、外出自粛が解かれた後の需要復活やインバウンド観光客に対応できていない状況が発生しています。
飲食業界も賃金が上がりにくく、離職率が高い業界です。多くの人材をアルバイトやパートで賄っており、その分社員にかかる負担が大きくなりやすい構造があります。
医療・福祉業界も、慢性的な人手不足が続く業界の一つです。「労働者不足係数」は59ポイントでした。
医療・福祉業界で人手不足が続く原因には、需要の拡大に人材の数が追いついていないことが影響しています。医療や介護を必要とする方が年々増加する一方で、専門知識と技術を持つ若者の人数が足りません。また、仕事にやりがいを感じつつも、「拘束時間が長い」「業務がハード」などの理由から、医療・福祉業界を離れてしまう方も多くいます。
参照元 経済産業省「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況」
人手が不足している企業は、以下の6つの解決策を実践してみましょう。
各項目でそれぞれの詳細や具体例を解説します。
人手不足の業界は、自社の労働環境を見直すことが重要です。従業員が長く働きたいと思えるような環境を整えましょう。たとえば、出産や育児に関する支援制度の拡充やテレワークを導入して従業員の負担を減らすといった対策は有効です。人手が足りない状況でもできる対策を見つけて実践していくことで、業務負担による従業員の離職という悪循環を減らせます。
こうした労働環境の改善を目的とした補助金や支援金もあります。ぜひ活用しましょう。
業務のDX化(デジタルオートメーション化)を進め、人手が少なくて済む仕組みを作るのも効果的な解決策です。DX化とは、データやデジタル技術を用いたビジネスモデル変革のこと。
DX化により人手不足を解消した事例として、以下のような改善が挙げられます
DX化は初期費用がかかるうえ、すぐには結果に結びつかない可能性もあります。しかし、長期的な視点で見れば、人件費削減や業務効率化などに繋がるため、実践する価値は十分あるでしょう。
なかなか人材が集まらない場合は、社内で行っている業務の一部をアウトソーシングすることで、自社の従業員の負担を軽減できるでしょう。専用マニュアルの作成やセキュリティ強化、窓口となる人材の配置などの準備が必要ですが、社会保険料の負担がなかったり専門性の高い人材を、必要な時だけ雇用できたりと多くのメリットがあります。
自社の採用市場におけるブランド力を高めて応募者を増やす取り組みも、人手不足の解決策として有効です。
たとえば、近年では一部の企業がTikTokやYoutubeのショート動画を広報に使い成功しています。普段の業務の様子やユニークな社員のやり取りを短い動画で見せつつ応募を促すことで、求職者の興味を引きやすくなるでしょう。
動画は難しいという企業は、自社オウンドメディアやブログを活用する方法もおすすめです。
さまざまな立場の人が働きやすい体制を整えていくのも効果的な解決策です。育児や介護が必要な家族をかかえている人や心身に障がいのある人、高齢者のなかには、労働意欲があっても個々の事情により難しい人もたくさんいます。それぞれの事情に企業側が柔軟に対応することで、活躍してもらえる可能性も十分あるのです。
人材不足を解決するために、外国人採用をスタートする企業が増えています。興味はあっても「手続きが複雑そう」「管理が大変そう」などの理由から、採用を躊躇してしまう企業は珍しくありません。しかし、しっかり人手不足解消のための対策を取っている企業は、すでに外国人を雇用するための体制が整っているといえます。
たとえば、DX化が進んでいる企業は、外国人社員を受け入れるうえでネックとなる言葉の壁を容易に乗り越えられるでしょう。また、さまざまな立場の人が働きやすい環境が整えられている企業が、外国人を採用しやすいのはいうまでもありません。
ここで注意していただきたいことは、日本人の応募がないから、しかたなく外国人を雇用するという考えだと、失敗します。外国人雇用には、人手不足の解消だけでなく、さまざまなメリットもあります。詳しくは後述しますが、こうした外国人雇用のメリットも十分理解した上で、外国人の入社を歓迎すると、彼らもその期待に答えてくれるでしょう。
関連記事:「外国人を雇うにはどうしたらいい?雇用に必要な手続きや採用方法を紹介」
外国人を採用するメリットは、単に人手不足が解消されるだけではありません。ほかにも以下の利点があります。
それぞれ詳しく解説します。
外国人採用を始めると、若年層を雇用しやすいメリットがあります。前述したとおり、日本は少子高齢化の影響で若年層を雇用するのが容易ではありません。一方で海外は必ずしもそうではなく、仕事を探している若者が多くいるのです。日本人だけに採用を絞るよりもずっと簡単に若く意欲のある人材を雇用できるでしょう。
顧客に外国人が多い企業や、インバウンド事業を検討している企業は、外国人雇用を検討してみましょう。外国人人材は、ただ語学力が豊富なだけでなく、海外(母国)の文化や価値観、制度などにも精通しています。外部に通訳や翻訳業務を依頼するよりも、自社の商材や顧客に合った売り方やマーケティング方法を提案してくれるかもしれません。
新たな価値観をもたらしてくれる外国人社員の存在は、企業のあり方を見直すきっかけになります。もちろん、日本人のなかにもそのような発想を持つ人材はいますが、異なる環境で生まれ育った外国人のほうが、異なる視点を持っている可能性が高いです。
事実として、弊社サービスをご活用いただいている企業の中には「なぜペーパーレス化しないのか?」「業務を効率化する方法はないか?」という外国人社員の意見に真摯に耳を傾けることで、業務効率化や業績向上を果たした企業もあります。
外国人採用は企業にとって挑戦といえます。しかし、国籍や生まれ育った場所、価値観などが異なる外国人を受け入れることは、企業のダイバーシティ(多様性)が促進されるきっかけになります。
人材不足が加速する日本で安定的な経営を行っていくためには、年齢・性別・国籍・宗教・身体的特徴などの属性に左右されず、あらゆる人が活躍できる環境を作っていく必要があります。
外国人採用は、そうした多様性のある企業への大きな一歩であり、日本人の採用にも良い影響をもたらすでしょう。
関連記事:「外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」
ここでは、人手不足の解消を目的として2019年4月に創設された在留資格「特定技能」の概要を解説します。
※在留資格:外国人が日本で活動するために必ず取得する資格のこと。様々な種類があり、在留資格ごとに就労可能な職種が決まっている。
在留資格「特定技能」の外国人を採用できる業種は以下の12分野です。
外国人が「特定技能」の在留資格を取得するためには、分野ごとに定められた技能試験に合格しなければなりません。日本語能力の資格も求められるため、即戦力としての活躍が期待できます。
なお、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野も、関係省令の改定が完了次第、受け入れが開始されます。これらはすべて、人手不足が深刻で外国人人材の受け入れが必要だと判断された企業です。
在留資格「特定技能」は1号と2号があり、1号は最長で5年間しか日本にいられませんが、1号の期間中に2号に移行すれば事実上無期限に就労できます。
在留資格「特定技能」の最大の特徴は、単純労働に従事できる点です。
通常、就労に関する在留資格では、単純労働が許可されていません。しかし、そのような職種こそ、人手不足の状態であり、外国人人材を求めています。そういった矛盾を解消するために創設されたのが特定技能の在留資格です。特定の分野であれば、単純労働を含めた幅広い業務を外国人に任せられるので、人材不足の企業にぴったりの制度といえます。
関連記事:「【2024年6月最新】特定技能とは?制度や採用方法をわかりやすく解説」
外国人採用では、日本人の採用とは異なる制度や法律が関係してきます。一度体系的に理解してしまえば問題なく進められるものですが、人手不足の企業の場合は工数や人員を割くのが難しい場合もあるでしょう。
初めての外国人採用を成功させるには、その道に精通した人材紹介会社や行政書士のサポートを受けるのが理想的です。自社だけでは対応できない法制度のフォローを受けられるうえ、自社に合った条件の外国人材を紹介してもらえます。
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日本社会の少子高齢化により、人手不足に悩む業界は年々増加しています。特に、人手不足が顕著なのは建設業界や医療・福祉業界、宿泊業界、運送業界などです。人手不足に悩む企業は、労働環境の見直しや業務の自動化を行い人材流出を防ぎましょう。また、外国人を雇用することも、人手不足解消の一つの方法です。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net