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外国人採用には、人手不足の解消やグローバル人材の確保、社員の価値観のアップデートなどさまざまなメリットがあります。一方で、専門用語や手続きが多く、難解で面倒なイメージを持たれていることも事実です。
たしかに複雑な部分もありますが、順を追って体系的に理解すれば外国人採用はそう難しくありません。
この記事は、外国人の採用に興味がある方や、すでに受け入れ準備を進めている方の参考になることを目指して執筆しました。採用を検討するうえで知っておくべき注意点や、雇用の流れをできるだけ分かりやすくまとめています。ぜひご一読ください。
目次
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外国人を採用する企業は年々増加しています。これはすなわち「外国人を雇用するハードルが下がっている」「外国人材の獲得競争はすでに始まっている」という二つの傾向を示しています。
なぜ外国人を雇用する企業が増えているのか? まだ外国人を雇用していない企業はどのような状況に置かれているのか? まずは最新データと共に解説します。
厚生労働省の公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、2023年10月時点で日本で働く外国人労働者数は2,048,675人です。200万人を超えたことが全国誌でも取り上げられましたね。前年と比較すると225,950人増加し、過去最高を更新しています。
次のグラフをご覧ください。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年~2021年にかけて人数の増加は一次的に止まったものの、2022年~2023年には再び大幅な右肩上がりを見せています。
引用:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
グラフから読み取れることはそれだけではありません。グラフ内に記載のある「製造業」「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「医療、福祉」は人材の確保に苦戦している業界ですが、いずれも外国人労働者数は前年度比で110%から120%ほどに増加しています。グラフ内の「その他」に含まれる業界としては、「情報通信業(IT)」や「運送業」での外国人雇用にも注目が集まっています。
また、外国人を雇用している事業所の36.1%は従業員30人未満の中小規模事業所であり、人材不足が懸念される事業所ほど外国人雇用に積極的です。
こうした需要に合わせて、外国人に特化した人材紹介事業や、人手不足解消を目的として創出された「特定技能」制度の受け入れを支援する団体も増加しています。また、自治体が主催する外国人就労のマッチングイベントも増加傾向にあります。このように、外国人雇用に関する諸問題を外部サービスの力で解消できる状況も整ってきています。
今後も外国人材の需要はさらに高まっていくと考えられます。獲得競争が激化する前に受け入れ態勢を整え、採用ノウハウを蓄積することで、競合に対するアドバンテージを得られるでしょう。
関連記事:「人手不足の業界とは?企業で起きやすい問題や原因と対策を解説」
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)
外国人を採用する主なメリットには以下が挙げられます。
日本は労働人口が減少し続けており、多くの業界で売り手市場の状況です。人材はネームバリューのある大企業や報酬の良い都心の企業に集中し、地方や中小企業にはなかなか応募が集まりません。
そうした状況を打破しうるのが外国人採用です。
外国人材の多くは「お金を稼ぎたい」「スキルを磨きたい」といった明確な目的意識を持って日本に来ています。そのため、条件や仕事内容が合っていれば企業の知名度は気にしない傾向が日本人より強いのです。
同じ理由から地方にも人材が集まりやすい点も魅力といえます。差別やハラスメントが起こらないよう徹底し、外国人向けの研修制度を整えることで、安定して外国人社員を採用できている地方企業が増えています。
若年層を採用しやすいのも外国人採用のメリットです。仕事を目的に来日する外国人は20代~30代が多くを占めています。
日本の少子高齢化は進む一方で、今後若年層を採用するのはさらに難しくなるでしょう。今のうちから外国人採用をスムーズにできる体制を整えておけば、今後も安定して若い人材を確保できます。
前述のように、外国人材の多くは「母国を離れて日本で働く」という大きな覚悟と選択の末に日本に来ています。
そのため、仕事に対するモチベーションが高く、自身のスキルアップにもポジティブです。あらゆる言語の中で特に難しいとされる日本語を習得していることも、頭の良さや学習意欲の高さを裏付けています。
募集ポジションと本人の理想のキャリアが合致する人材を雇用することで、人一倍に活躍してくれるでしょう。
国際化が進む昨今、インバウンド事業の拡大や海外進出を狙う企業にとって、外国語を話せる人材の存在は欠かせません。グローバルに活躍できる語学力も外国人材の強力な武器です。
ただ外国語を話せるだけでなく、海外(母国)の価値観や文化に対するネイティブな理解も魅力的です。海外向けの市場調査を行う際に大いに活躍してくれるでしょう。
通訳者や翻訳者として採用する場合も、教育コストこそかかるものの、商材や顧客を理解したうえで最適な対応をしてくれるため、長い目で見ると外部の業者に依頼するよりメリットがあります。
古くからの非効率的な慣習が根強く残る日本企業は少なくありません。印鑑が必要な書類や、残業を美化する文化、不必要な定例会議などがその一例です。こうした「日本の当たり前」に疑問を投げかけ、新しい風を呼び込んでくれる可能性を外国人材は有しています。
事実として、弊社サービスをご活用いただいている企業の中には「なぜペーパーレス化しないのか?」「業務を効率化する方法はないか?」という外国人社員の意見に真摯に耳を傾けることで、業務効率化や業績向上を果たした企業もあります。
もちろん考え方の違いによって生じる問題もありますが、互いに歩み寄る姿勢を持つことで、企業の価値観をアップデートさせられるかもしれません。
価値観のアップデートは組織のダイバーシティ(多様性)を促進するためにも欠かせません。
人材不足が加速する日本で安定的な経営を行っていくためには、年齢・性別・国籍・宗教・身体的特徴などの属性に左右されず、あらゆる人が活躍できる環境を作っていく必要があります。
外国人採用もそのひとつ。たとえば、礼拝や食事制限の戒律に従うムスリム(イスラム教徒)の社員を採用することは、企業にとって挑戦かもしれません。しかし、全く異なる文化圏の仲間が自分らしく生き生きと活躍している姿は、それを見た周囲の社員にも良い刺激を与えるのではないでしょうか。
関連記事:「外国人採用のメリットとは?日本企業が人材を雇用する際の注意点も解説」
ここまで外国人採用の利点を紹介してきましたが、雇用を検討するうえで知っておくべき注意点も存在します。
採用時の手続きに関する注意事項から留意すべき法律、コミュニケーションやマネジメントの実態まで、6つの観点で解説していきます。
「在留資格」とは、外国人に日本での活動を認める資格のこと。在留資格にはさまざまな種類があり、種類に応じて就ける仕事が決まっていたり、そもそも就労が認められていなかったりと、採用の可否に大きく影響します。
外国人材を採用する場合は(1)自社の業務で就労可能な在留資格を既に持っている人を募集するか、(2)自社の業務で就労可能な在留資格の取得をサポートする必要があります。
とはいえ、一般企業の採用担当者が把握しておきたい在留資格は数種類しかありません。詳しくは「外国人採用における8つのステップ」で後述します。
外国人採用では在留資格の手続きが発生するため、内定から入社までに、どうしても時間が掛かりがちです。たとえば、海外から外国人を招へいして雇用する場合、在留資格の審査に数ヶ月掛かることがあります。
在留資格の審査の後もビザ(査証)の発給や入国準備などの対応があるため、日本人よりも手続きに掛かる時間が長いことを覚えておき、余裕のある採用スケジュールを立てましょう。
外国人採用を行う際に課題になるのが言語の壁です。思いもよらない場面で、入社後に業務上や人間関係でのトラブルが起きてしまう可能性があります。
日本人同士ならお互いの表情や雰囲気、身振り手振り、前後の発言などから察してもらえる話も、外国人相手だとうまく通じないこともあるでしょう。また、日本人としては特に意識していない言動も、外国人にとっては不快に思うケースもあるのです。
上記のようなトラブルを防ぐために、外国人を採用した段階で、従業員にコミュニケーション上の注意点を周知しておくのをおすすめします。お互いに円滑に業務を進められるよう、分かりやすく簡単な日本語での指示や説明を心掛けましょう。
社内のルールや環境が変わることに対して、既存の社員が不安や不満を感じる場合があるため、なぜ外国人社員の力が必要なのか説明する機会を設けることも大切です。
また、募集をかける時点で日本語能力の基準を設けておくことも重要です。最も一般的な目安であり、受験している外国人の数が多い「日本語能力試験(JLPT)」を基準にする場合、日常的会話ができれば十分ならN3レベル、日本語でのビジネス会話が必要ならN2レベル、ネイティブに近い自然な会話やライティングの能力を求めるならN1レベルで採用するとよいでしょう。
ただし、外国人材が全員JLPTを受験しているわけではないため、資格を重視しすぎても優秀な人材を逃す可能性があります。また、JLPTの試験は筆記とリスニングのみで構成されているため、実際の会話場面でのコミュニケーション能力とは異なる場合がある点にも注意してください。
外国人特化の人材紹介サービス「WeXpats Agent」では、求職者ひとりひとりと面談を行い、実際の日本語レベルを把握したうえで企業に推薦しています。募集ポジションに必要な日本語能力を持っている方と確実に出会いたい採用担当者様はこちらからお気軽にお問い合わせください。
外国人雇用では、日本人雇用にはない法律や制度に注意しましょう。外国人の在留管理は「出入国管理及び難民認定法」によって行われています。これは、外国人および外国人を雇用する企業に関係する法律です。入管法に基づいて、外国人の就労や日本での在留について細かく取り決められています。
このほかにも、日本人雇用では発生しない届出や手続きが多数。専門家のサポートを受ける場合であっても、ある程度内容を理解しておく必要があります。詳しくは後述の「外国人採用における8つのステップ」で説明するので、ぜひ参考にしてください。
外国人の研修では、仕事の指導のほか、日本語やビジネスマナーなども教えていかなければなりません。日本での就労経験が浅い人を採用する場合、日本人の研修よりも時間がかかる場合があります。
少しでも育成をスムーズに進めるために、外国人の受け入れが決まった時点で教育担当を選定し、外国人研修用のチェックリストを作成しましょう。
また、外国人社員と関わることが多い日本人社員に対して、コミュニケーションに関する指導やハラスメント対策を行っておくことも重要です。特に「肉やアルコールは口にできない」「決まった時間にお祈りを行う」といった宗教上の把握事項があれば事前に共有しておきましょう。
外国人の賃金や労働時間は、同じ仕事をする日本人と揃えなければなりません。国籍を理由に待遇に差を付ける行為は、法律で禁止されています。同じ業務をする外国人が社内にいない場合は、周辺地域で働いている同業他社の日本人の賃金を参考にするのがルールです。
就労に関する在留資格の多くは「日本人と同等以上の賃金を受け取る」ことが取得の条件になっています。外国人の賃金設定を誤ると、在留資格が得られない可能性があるので十分注意しましょう。
外国人雇用における注意点に関しては、企業側が解決すべき課題と外国人雇用で発生したトラブルに分けて関連記事でも解説しています。
外国人の正社員採用は、以下の8つのステップで進みます。
以下でそれぞれの項目を詳しく解説します。
まずは、自社で外国人に任せる業務がどの在留資格に当てはまるかを知りましょう。在留資格は全29種類ありますが、そのうち一般企業で採用する可能性がある在留資格はわずか数種類しかありません。
関連記事:「就労ビザ(在留資格)は難しくない!全19種類のうち外国人採用に関わるビザはどれ?」
ITエンジニア、デザイナー、マーケター、営業職、通訳者などに付与される在留資格で、一般的なオフィスワーカーはほとんどの場合この在留資格を取得します。製造業、ホテル、外食、小売業などでも採用が可能ですが、清掃や調理のような単純労働は許可されていません。
関連記事:「「技術・人文知識・国際業務」で採用可能な職種一覧は? 申請方法や不許可事例も紹介」
特定の分野のなかで単純労働を含めた幅広い業務に従事できます。特定技能1号では最長5年、2号に移行すれば、事実上無期限で日本に在留可能です。
特定技能での就労が認められる業界は以下の12業種に限られます。
また、2024年以降、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野も追加されます。
関連記事:「【2024年6月最新】特定技能とは?制度や採用方法をわかりやすく解説」
自社の業務が技能実習の対象職種に該当すれば、技能実習生を受け入れることも可能です。技能実習生は、職種にもよりますが最長で5年間の受け入れが可能で、そのあと前述した特定技能の在留資格に移行すれば、引き続き雇用できます。
なお、技能実習制度は廃止が決定しており、2027年頃を目途に人材確保と育成を目的とした「育成就労制度」に変わる予定です。育成就労制度は特定技能への移行を前提にしており、分野も特定技能に合わせて変更されます。
業務の種類によっては、専門的な在留資格が当てはまる可能性があります。たとえば、介護福祉士であれば「介護」、外国料理のコックであれば「技能」などです。
「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格は、本人の身分に基づいて与えられる在留資格であり、どのような仕事で雇用しても問題ありません。つまり、日本人と同じルールで採用できます。
また、留学生の場合は、出入国在留管理官署で「資格外活動許可」を得れていれば、決められた範囲内(原則、週28時間以内)でアルバイト雇用ができます。
外国人採用では、以下の募集方法を活用すると応募を集めやすくなります。
まずは自社サイトに外国人向けの採用ページを作る方法があります。求める人材の日本語レベルが高くない場合は、英語版のページを用意したり、やさしい日本語を用いたりすると良いでしょう。
たとえば、外食大手のすかいらーくは、やさしい日本語で作成したアルバイト募集ページがSNSで大きな話題を呼び、大量の応募を獲得できました。詳しくは下記のインタビュー記事をご覧ください。
関連記事:「【企業紹介】猫ロボットが実現させた「JLPT N4で働けるファミレス」 ガストやジョナサンのバイトが外国人に選ばれる理由」
海外では、Linkedln(リンクトイン)やFacebookなどのSNSを活用した採用活動が、日本以上に盛んです。日本で働きたいと考えている外国人求職者の多くも、SNSで求人を探しています。高度人材を募集する場合はLinkedln、特定技能で働きたい方や留学生を探す場合はFacebookを活用するのがおすすめです。
外国人専用の求人サイトを使うのも、応募を集めるのに効果的でしょう。外国人専用の求人サイトの多くは「多言語対応が可能」「日本語レベルごとに求人を探せる」など、外国人が使いやすい仕様になっています。日本人向けの求人サイトとあわせて活用するとより効果的です。
新卒で外国人を採用する場合は、大学や専門学校、日本語学校に求人を出すのが効果的です。定番の方法ではあるものの、外国人の目にも留まりやすくスムーズに応募を集められます。また、教育機関と提携して、学校内で企業説明会を開いて募集を増やしている企業もあります。
外国人専用の人材紹介会社(転職エージェント)を利用するのもおすすめです。自社に適した人材を紹介してもらえるほか、外国人採用に必要な各種申請のサポートが受けられる場合もあります。
外国人から応募が来たら、履歴書や職務経歴書などで自社で就労できる人材なのかを確認しましょう。特に重要なのは、自社で就労可能な在留資格を持っているか、もしくはこれから取得できるかです。
例えば「技術・人文知識・国際業務」を新たに取得する場合、大学もしくは日本の専門学校を卒業しているか、10年(国際業務の場合は3年)以上の実務経験が必要です。
「採用後に在留資格が取れず、入社できなかった」とならないよう、きちんと確認しましょう。
面接では実際の日本語スキルをよく確認しましょう。また、ミスマッチを防ぐために、日本で働く理由やキャリアプラン(いつ頃まで日本で働きたいか)も確認しておきましょう。
なお、スキルや経歴について訪ねる際は、履歴書に書かれている内容が本当かどうか、できるだけ具体的な質問で確かめるようにしましょう。就職・転職活動で自分の経歴を過度にアピールすることが一般的な文化の国もあるからです。
また、面接の際に宗教に関する質問を行うのはNGです。たとえ能力面を判断して不採用にした場合であっても、本人が「宗教を理由に落とされた」と捉えてしまい、就職差別に発展する可能性があります。
関連記事:「外国人採用の面接質問例!聞いてはいけないNG質問もあわせて紹介」
採用したい外国人材が現れたら、在留カードの「在留資格」および「在留期限」を確認しましょう。また、念のため、印字されている書体や手触りなどもチェックし、不審な点がないかを見ます。万が一、偽装の在留カードだった場合、大問題になります。雇用契約を結ぶのは、しっかりと在留カードを確認したあとです。
外国人雇用の際に在留カードを確認するのは事業主の義務。確認を怠り外国人が不法就労していた場合、企業は「不法就労助長罪」に問われ、3年以下の懲役か300万円以下の罰金もしくはその両方が科せられます。罰則を受けるだけでなく、企業の信用や今後の外国人採用にも悪影響を及ぼすので、十分注意しましょう。
外国人と交わす雇用契約書は、可能であれば、相手が正確に理解できる言語でも作成しましょう。雇用契約書をほかの言語で作るのが難しい場合は、翻訳文を添える対応でも問題ありません。
雇用後のトラブルを防ぐために、内容の理解度を都度確認し、外国人の疑問がなくなるまですり合わせてから契約を締結します。
雇用契約が完了したら、必要に応じて外国人の在留資格の手続きを行います。必要となる申請は以下のとおりです。
外国人が日本にいる場合は、本人が手続きをするのが一般的です。もちろん、雇用企業として書類の用意やできる限りのサポートは行わなければなりません。
外国人が海外にいる場合は、雇用する企業や依頼を受けた申請取次者などが手続きをします。
関連記事:「外国人を雇用するには?入社前・入社後の手続きと必要書類」
外国人が入社する前に、受け入れ体制を整えておきましょう。主に教育体制の構築や異文化コミュニケーションへの理解促進が必要となります。具体的な準備の例は、以下のとおりです。
外国人をスムーズに雇用するためにも、採用が決まった時点で準備を始めましょう。
在留資格の手続きが完了したら、業務を開始できます。入社後の各種手続きはおおむね日本人と一緒です。健康保険や年金保険の手続きも忘れずに行いましょう。
外国人特有の手続きに「外国人雇用状況の届け出」があります。外国人を採用した企業は、ハローワークを通して厚生労働省に国籍や在留資格などの情報を届け出なくてはなりません。外国人が雇用保険に加入する際は「雇用保険被保険者資格取得届」を使って届け出が可能です。加入しない場合は「外国人雇用状況届出書」で届け出ます。
「外国人雇用状況の届け出」は外国人の離職の際も必要なので、忘れないようにしましょう。
関連記事:「外国人雇用状況届出を忘れずに!記入例や申請方法を解説【行政書士監修】」
参照元 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
外国人からのたくさんの応募を集めるために、企業は以下のような点を外国人にアピールしましょう。
円安の影響もあり、外国人は日本以外の国で働くことも選択肢として持っています。日本の魅力をアピールして、雇用に繋げましょう。
日本で給料を得ながら技術やハイレベルなサービスを学べるのは、外国人にとって大きなメリットといえるでしょう。
オートメーション化が進んでいるとはいえ、外国人にとって日本はものづくり大国というイメージが強く、一流の技術を学びたいという人が多くいます。また、日本のサービスの質の高さは世界中が知るところ。日本でサービスを学び経験を積めば、もし母国に帰ったときも高待遇で仕事を探せます。
自社でどのような技術や知識を身に付けられるのかを明確にし、求人を作成すると効果的です。
企業の終身雇用制度は安定して働きたい外国人にとってとても魅力的です。就労に関する在留資格は、仕事を失うと効力が無くなります。外国人は日本人のように自由に仕事を選べるわけではないため、失業してもスムーズに次の職場を見つけるのは難しいのです。そのため、長く働きたいという気持ちが強くあります。経営の安定性やキャリアアップ制度を提示し、長く働ける会社であることをアピールしましょう。
日本は社会保障制度が整っているのも外国人の感じる魅力の一つといえます。国内ではさまざまな意見がありますが、「誰でも健康保険に入れる」「少ない金額で福祉サービスを受けられる」といった制度は、世界的に見ると決して当たり前ではありません。
外国人向けの研修を充実させ、求人で積極的にアピールしていきましょう。
外国での就労や語学面で不安を抱えている外国人にとって、研修制度がしっかりしていることは安心材料になります。業務に関する研修はもちろん、しっかりした日本語や日本のマナーに関する研修制度があると、外国人は魅力的に思うようです。
語学スキルや海外出身であることを活かしたポジションを用意していることをアピールすると、やりがいを求めている外国人からの応募を集めやすくなります。
外国人を人手不足解消のための労働力として扱うのではなく、企業や社会に貢献しているという実感を持てる業務を任せることが、採用を成功させるコツです。
外国人採用には、在留資格の手続きや面接時の質問など、注意点が数多くあります。しかし、それを踏まえても多くのメリットがあるのも事実。外国人雇用に必要な準備を把握して、スムーズに受け入れられるように体制を整えましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net